映画『ストーリーオブマイライフ/わたしの若草物語』感想と原作

久々に映画館で新作映画を観てきました!

『ストーリーオブマイライフ/わたしの若草物語』

です。

 

有名なアメリカ小説「若草物語」をベースに

アカデミー賞6部門ノミネートされた話題作です。

 

アカデミー賞に!

本年度のアカデミー賞に6部門ノミネートされ、そのうち

衣装デザイン賞

を受賞しました。

ほかノミネートされた部門は5部門

・作品賞

・主演女優賞

・助演女優賞

・脚色賞

・作曲賞

 

主演女優賞 シアーシャ・ローナン

次女ジョー役。美しく豊かな髪が自慢でしたが、家計のために髪を売ってしまいます。作家を目指している役。

 

助演女優賞 フローレンス・ピュー

四女エイミー役。四姉妹の末っ子。天真爛漫なカワイらしさをもつ。

 

脚色賞

ルイーザ・メイ・オルコットの小説「若草物語」の脚色が評価されました。

 

作曲賞 

このときの作曲賞は『ジョーカー』で納得しましたが、ほかにノミネートされたのは、『1917命をかけた伝令』『スターウォーズ・スカイウォーカーの夜明け』などでしたから、これらと並んでノミネートされました。

 

衣装デザイン賞 

映画の舞台はアメリカ南北戦争時代といいますから、日本でいったら明治時代です。

コルセットをつけたドレスなど、昔風の衣装がたくさん出てきます。これらが評価されたのでしょうか。

 

 

原作『若草物語』

19世紀後半、個性的な四姉妹の日常生活を描いた物語です。

 

四姉妹

長女:メグ
次女:ジョー
三女:ベス
四女:エイミー

 

何度も映画化、ドラマ化、アニメ化、漫画化、舞台化されてきた小説です。

 

 

四つの「若草物語」

原作「若草物語」はマーチ家の四姉妹の子どもの頃のお話です。

「続若草物語」はタイトルどおり、その後成長した四姉妹のそれぞれの結婚についてのお話です。

「第三若草物語」はマーチおばさんが遺贈したお屋敷を改装した学校や甥っ子などのお話。

「第四若草物語」は更にその後のお話。母親は亡くなりジョーの子どもも描かれ学園ものに。完結作です。

 

映画の構成

映画のベースは「続若草物語」です。

大人になったジョーを主役として、ストーリーは展開していき、回想部分に「若草物語」のエピソードが現われる

という構成になっています。

 

原作者

ルイーザ・メイ・オルコット自分の体験を物語に表現し、見事に大成功しました。

英題名は「Little Women(リトル・ウィメン)」=小さな婦人たち。

「ただ自分たちの日常に1年間が描いているだけ」という思いで本題をつけました。

冒険や殺人もの、刺激的なストーリーでなければ本が売れないと言われていた中で爆発的に支持された作品になりました。

 

映画冒頭

映画はジョーが自分が書いた小説を“友人が書いた”と言って出版社に持ち込むところから始まります。

小説はだいぶ手直しが入りましたが、採用されます。

ジョーはうれしさいっぱいで街の中を駆け抜け賄い付き下宿に戻ります。

 

区別がつきにくい

直前に原作「若草物語」を読んでいたのでわかりましたが、それでも「これは回想なのか、今なのか、どっち?」と迷う場面が多々ありました。

それは、少女の頃(回想部分)も、今も、同じ役者が四姉妹を演じているからです。

エピソードを知っていたおかげで区別がついたくらいで、ごちゃまぜ感がいなめなかったです。

それはお顔が日本人じゃないから、余計にわかりづらいというのもあるかもしれません。

でも邦画でもこういったことはよくあります。

20代半ばをすぎた役者が制服を着て高校生役を演じるとか。

コントじゃないんだし。

どうなんでしょう?

といつも思います。

 

 

話は映画「若草物語」に戻って

 

 

映画の「今」に対しての回想部分は7年前の設定のようです。

10代から20代にかけては特に外見の変化が大きく現われます。

たった7年だとしてもその差は大きいのです。

 

たとえば

15歳=中学3年生と22歳=大学4年生は7歳差ですが、随分違います。

 

なので、映画においても、同じ役者で演じるとしたら、なにかもっとわかりやすい外見の変化を表現してほしかったです。

 

最初は売れると思っていなかった

映画でもジョーが自虐的に

「ふつうの人の日常を書いた小説を誰が読みたいと思う?きっとダメ(採用されない)よ」

と言います。

出版社も「これじゃダメだ」

と言いますが、出版社の人が自分の家に原稿を置いていたらそれを娘たちが読んで物語の続きをせがみます。

それで出版社はジョーに出版の交渉をしますが、「売れる」保証がないため、交渉は難航します。

「物語の最後は主人公が結婚しなければ、本は売れない」

と言われて、ジョーは条件をのみます。

 

佐野洋子さんの解説

〈佐野洋子さん〉1938-2010

絵本『100万回生きたねこ』(1977年)の作者。

「私たちが少女だったころ、総理大臣の名前を知らなくても『若草物語』の少女たち、メグ、ジョー、ベス、エミーの名前をいえない女の子はいなかったのではないか。私たちは『若草物語』に夢中になった。

とおっしゃっています。

 

日本でも大反響だった時代があったのですね。

私も最初は小学生の頃に読みましたが、なにが面白いのかわかりませんでした。

そして今回も久々に読み返してみましたが、どういった点が支持されるのかわかりませんでした。

時代もあるのでしょうか。

私の感性がにぶいのもあるのでしょう。

 

ただ映画になると、その時代の衣装や家具や家、風習など映像の見どころが出来たので、小説よりおもしろく感じました。

 

 

若草物語のエピソード

 

映画に回想シーンとして組み込まれている原作「若草物語」のエピソードです。

参考までに。

 

 

・クリスマスの朝、母親から奨められて自分たちがこれから食べようとしていた朝食を近所の貧しい家にプレゼントに持っていってあげる。その様子を窓越しで見ていた隣家のローレンス老人から、もっと豪華な朝食が届けられていた。

 

・ジョーとメグは舞踏会へ行った。しかしがジョーは目立たないようにカーテンの陰に隠れていた。すると隣家に住む青年ローリーと出会う。「なぜ踊らないの?」と聞くローリーにジョーは「背中に問題が(ドレスの背中がちゃんとしていない)」と。「じゃあ、いいところがある」とローリーに連れられ二人は会場内ではなく家の外で楽しく踊り回った。するとメグは足をくじいてしまってローリーが手配してくれた馬車で家に帰ることになった。

 

・ジョーとメグとローリーがお芝居に行くという。エイミーも行きたいとせがんだが聞き入れてもらえなかった。腹が立ったエイミーはジョーがコツコツと書きためていた原稿を燃やしてしまった。それを知ったジョーは激怒。翌日ローリーがスケートに誘いに来たときも「行きたい」とねだったエイミーを無視して出かけてしまう。「後を追ったらいいよ」とメグに言われて、エイミーもスケート靴を持って後を追うが「真ん中は氷が薄くなっているから近づかないように」とローリーが叫ぶ声が届かなかったエイミーは、薄い氷の上をすべり、氷が割れて落ちてしまう。すんでの所で命拾いしたエイミーだったが「わたしの責任だ」とジョーは自分を責める。

 

・隣家とすっかり仲良くなったマーチ家。隣家の老人ローレンスが「(うちに置いてある)ピアノを弾きたい人がいたら弾いてかまわない」と提案すると、ベスが「弾きたい」と名乗りをあげた。それからというものベスはピアノを弾きにローレンス家へ通う。のちに小型のピアノをプレゼントしてもらい、引っ込み思案のベスがローレンス老人にだいたんに感謝をしめす。

 

・学校で塩漬けのライムが流行し、エイミーは「お金が足りない」と愚痴る。メグはエイミーにお小遣いを渡す。原作では学校に持ってくるのが禁じられていた塩漬けのライムをエイミーがこっそり持っていったことを告げ口されて先生より罰を受けるが、映画では先生の似顔絵を描いたことで罰を受け、手のひらをムチでうたれて傷を負う。

 

 

などです。こういった「若草物語」の少女のころのエピソードが回想となり、あらわれます。

 

 

漫画「ガラスの仮面」

美内すずえ著「ガラスの仮面」でも「若草物語」は描かれています。

 

~ あらすじ ~

マンガの主人公・北島マヤは月影千草主宰の劇団つきかげに入団したばかりだというのに、劇団公演「若草物語」の四姉妹・三女ベスに選ばれた。

普段の北島マヤはおっちょこちょいで落ち着きがないように見える。そんな彼女が、おしとやかでピアノが上手なベス役に選ばれるなんて出来るわけがない、私のほうがふさわしいのにと、劇団員のさやかは嫉妬する。

北島マヤは練習でうまく演じられず、やり直しが続く。月影先生から呼び出しを受け「役を降ろすようにと演出の先生から言われた」と告げられる。

そして「これから1週間、ベスの衣装をつけて、ベスとして演技をするように。学校へ行ってもいけません。ベスは内気のあまり学校へ行けなかったんですからね」と言われ、マヤは裾の長いドレスを着て家の中で家事をして編み物をする毎日を送るようになる。

役づかみに成功した北島マヤは稽古に復活する。仲間からは「上達した」とほめられる。

月影先生の稽古が始った。マヤはベスが病気で重篤になるシーンがうまく演じられない。先生からは「出来損ないのベス」とののしられる。

そんなときボーイフレンドの桜小路くんの母親がマヤの悪口を言って交際を反対している場面を見聞きしてしまう。ショックのあまり雨の中を傘もささずにいたマヤは「このまま雨に濡れて病気になってしまえば、ベスの気持ちもわかるかもしれない」とワザと雨に打たれていた。

心配になって探していた仲間に見つけられ介抱されるが、その当日が劇団の公演日だったためそのまま舞台に立つ。高熱のあまりふらついたりセリフが飛びそうになったマヤ。すると月影先生はバケツの水をマヤの頭からぶっかけて「さあ、お行き!」と叱咤する。

ベスが重篤になるシーンは大成功。それもそのはず。本当に高熱を出していたから。

 

 

概要

映画

『ストーリーオブマイライフ/私の若草物語』

日本公開:6月12日

アメリカ公開 2019年12月25日