内館牧子原作NHKドラマ『すぐ死ぬんだから』キャスト&あらすじ
『すぐ死ぬんだから』は内館牧子さんの長編小説です。2017年12月~2018年3月迄『小説現代』で連載され、2018年8月に刊行されました。
2018年9月からWEBコミックトムで漫画化配信。
2020年8月23日よりNHK BSプレミアムでドラマ放送されました。
いつの間にか漫画化されドラマ化されていましたけれども、本がとてもおもしろいので当然のことかと思います。
読み終えて感じたことは
とにかく
「おもしろかった!」
「さすが!」
ということです。
のっけからおもしろく、中盤も意外な展開に驚かされ、ラストは「どうなるんだ?!」と期待の元、とっても良いラストでした!
多くの人に「読んで」「観て」ほしい!
ミステリーでもなく、人殺しも出てこず、日常生活での、今生きている問題を含んだおもしろい作品です。
以下、NHKドラマのキャストと原作本の主なあらすじ、気になった文章などを紹介します。
目次
キャスト
主人公
忍ハナ
(三田佳子)
ハナの夫
忍岩造
(小野武彦)
ハナの長男
忍雪男
(村杉蝉之介)
雪男の妻
忍由美
(安藤玉恵)
ハナの長女
黒井苺
(松下由樹)
苺の夫?
黒井和夫
(田中哲司)
岩造の妾
医師
森薫
(余貴美子)
森薫の息子
森岩太郎
(溝端淳平)
忍ハナ
主人公の忍ハナは、麻布の酒屋に嫁いだ78歳の女性。
外見に気を使い、おしゃれでセンスもよく、とても78歳に見えないといわれそれを誇りに生きている。
その主人公・忍ハナは、三田佳子さんが演じますが、実年齢と一緒で驚きました!それこそその年齢には見えません。まさにピッタリの配役です。
忍ハナの夫・岩造
忍ハナの夫は、働き者で趣味が「折り紙」というぼくとつで温和な印象。
「俺、お前と結婚したことが、人生で一番よかったよ」とハナに向かってことあるごとに言い、周りの友人知人にもハナのことを自慢して歩く男性です。
小野武彦さんも、イメージ通りですね。
ところが、真面目でハナひとすじだと思われていた夫には妾がいた!
ということで、大もめになるのですが
妾役は
余貴美子さん
原作も60代ですので、実年齢と近い配役です。
妾は、医師で自分の考えをしっかりともって自立していて、薄化粧だけれどもちゃんと手入れしている肌で美しく、だらしなくない服装といった役どころで、余貴美子さんもイメージ通りです。
はっきりものを言う、ハナの長女に
松下由樹さん
その夫、黒井和夫役に田中哲司さん。
気になっているのは、ハナの長男の嫁です。
ハナはいつもファッションや髪形に気を使い、おしゃれして人前に出る主義なのですが、その嫁は着古した服を平気で着て店番したり、買物に出かけたり、アマチュア画家なのに画伯気取り。着古した服と真っ赤なベレー帽といった格好で人前に出たこともあるといった外見に無頓着な役柄です。
その嫁の存在がよっぽど鼻につくのか、原作ではしょっちゅう登場します。
この嫁の変化も見どころにひとつです。
原作・脚本
【原作】
内館牧子
【脚本】
長田育恵
内館牧子さんは大ヒット連発の脚本家でもありますが、今回脚本を担当される長田育恵さんは舞台の脚本を数多く手がけている方です。
タイトル
『すぐ死ぬんだから』
はズバリ、目を引きますし、どんな物語だろうと気になります。
あとがきより
「すぐ死ぬんだから」というセリフは高齢者にとって免罪符である。
それを口にすれば、楽な方へ楽な方へと流れても文句は言われない。
「どうせすぐ死ぬんだからさァ」でみごとに完結する。
私も
「どうせ死ぬんだし」
とは思ったりします。
「すぐ」
とはまだ思えないですけど、すぐと思える年齢にあっという間になってしまうのでしょうね。
あらすじ
主人公ハナは高校の同期会へ参加しに行く道すがら、有名な雑誌のコーナーに写真を掲載したいと撮影を申し込まれ、いい気分で承諾する。
同期会へ行くとおしゃれでとても78歳の同い年に見えない人もいたが、たいがいはそうでない男女のほうがずっと多かった。
友人の雅江と明美にも再会するが、バアサンくささに磨きがかかっていて、おしゃれしてきたハナに「急に色気づいちゃって」とか「よくそんなに派手なスカートはけるよ」などとイヤミを連発する。
ハナは麻布のマンションに夫の岩造と二人暮らしをしていた。代々の酒屋に嫁ぎ必死に店を守ってきたが、いまは息子の雪男夫婦に任せている。
といっても店を切り盛りしているのは雪男だけで、嫁の由美は部屋にこもって一日中絵を描いていて滅多に店には出ない。
岩造は「ハナは俺の自慢」と言って歩く。趣味は折り紙くらいで仕事も真面目。
平凡だけれど、娘と息子をもち、孫も元気にしている。店の苦境はあったけれどなんとか持ちこたえている。年老いて二人で穏やかにすごしていくのだろうと思っていた。
ある夜、二人はベランダで飲んでいた。岩造がうたた寝をし始めたかと思ったがなにか変だと気づいたハナはすぐに救急車を呼んだ。岩造はそのまま息を引き取ってしまった。
岩造の葬儀後、香典返しのリストから疑問をもつ人物が浮上し、そこから岩造に妾と息子がいることが発覚する。
岩造を亡くしてふぬけた毎日を送っていたハナは、岩造の裏の顔を探るようになり、妾に対して「一発かましてやる」と奮起する。
原作本の心にとまる文章
原作本は心にとまる文章がいくつも出てきます。
以下、原作本より
実際、六十歳の時、四十歳の自分は何と若かったかと思った。そして、二十歳の時は自分が四十歳になることは考えられなかった。
私には先がなく、どうせすぐ死ぬことは事実だが、生きている限りは絶対にそこらのバアサンにはらならない。言動も外見もだ。
がんばる女に対して、世間は必ず「寂しい人だった」と言うものだ。世間にとって、これほど気分のいい落としどころはないのだ。
じき白い箱に入る私だ。
思えば、今までは水の中で空気を求めてもがいていた。
その空気とは「若さ」や「若返り」だったと思う。
だが、求めていた空気とは、実は「衰退を受け入れること」だったのではないか。
小汚いジジババは衰退ではなく、老衰だ。
「老衰」のジジババは、自分がそうだと気づかない。
「衰退」のジジババは意識している。違うのだ。
「ママはね、ゆっくり衰退していく意識を持ったらさ、何もかもすっかり楽になっちゃって」
そのほかにも、心にとまる文章連発です!
若い方から高齢の方まで、お薦めです☆