ミュージカル「レ・ミゼラブル」息もつかせぬ壮大なあらすじ♪

ミュージカル「レ・ミゼラブル」ってどんなお話なのかな?と思っている方に、ミュージカルのあらすじを、歌のタイトルとともに御紹介します。

壮大なスケールのお話です。
じっくり読んでみてください♪

※は補足文です。ミュージカルでは省略されています☆

■はミュージカルで加えられている箇所です。

 

プロローグ

囚人達の行列

フランス南東部
ツーロン

***********
囚人達が苦しい労役を課せられ、一歩一歩今にも崩れ落ちそうな足取りで列を作って歩いている。

すると囚人番号「24653」が呼ばれた。
刑期終了だ。

「自由なのか?!」
「違う!ただ許可証をやるだけだ。盗人め!」
「妹の子が飢え死にするのを救うためにパンをひとつ盗んだだけだ。あとは脱獄の罪だ」
「飢えはまだまだ続くぞ。24653!」
「俺はジャンバルジャンだ!」
「忘れるなよ、24653!」

 

※飢えのためにパン1つを盗んだ罪と4回の脱獄の失敗により刑期が19年にも延びたジャン・バルジャン。

ようやく刑期終了をむかえた。刑務所では個人の名前で呼ばれることはなく、ただ番号で呼ばれる。そう、24653と。

 

仮釈放

自由になったバルジャン。泉で喉の渇きをいやす。日雇いで労働もしてみた。
しかし賃金がほかの労働者の半分だ。
「なぜ他の奴らの半分だけ?」
「お前は前科者だから他の者と同じにするわけにはいかない」

※バルジャンは旅を続け、ツーロンからディーニュに入った。

 

南フランスのプロバンス地方
ディーニュ

バルジャンが出所の時、渡された黄色の身分証明書(前科者が持つ通行証)のせいで、差別される。食事にもありつけない、泊まるところもない。野良犬にも劣る。泥まみれで疲れ果てたバルジャン。

 

※うずくまるように座っていたところ、ある婦人が教会へ行くように奨めてくれた。

 

 

司教

教会を訪ねると
「さあお入りなさい。外は寒かったでしょう。たいした食事ではありませんが分け合って食べましょう。ワインもどうぞ。ベッドも用意しましょう」
と司教が親切にしてくれた。

真夜中、バルジャンは目を覚ます。そして教会にあった銀の食器を盗んで逃げた。

ところがすぐに憲兵に捕まってしまう。首根っこを捕まれて教会へ連れ戻されたバルジャン。

「こいつが銀の食器をもらったなんて言っているんですよ」という憲兵に司教は

「そうです、私が差し上げたのですよ。しかし急いでいらしたようで、こちらの銀の燭台を忘れてしまったようですね」と言うので、

憲兵はしぶしぶバルジャンを釈放して帰って行った。

司教はバルジャンに
「さあ、銀の燭台も差し上げます。きょうのことを忘れずにこれからは正しく生きなさい」

と諭します。

 

 

バルジャンの独白

俺はなんていうことをしたんだ!
こんなに親切にしてくれた司教を裏切るなんて!
俺は救えるのか?!
生まれ変わろう!これから生まれ変わるのだ!

とバルジャンは決意をして黄色の身分証明書を破り捨てた。

 

※バルジャンは生まれ変わる決意をした。

 

第1幕

街の中 一日の終わり

フランス・パリの北東
モントルイユ

********************

■街に住む庶民(下層階級)たちの生活

毎日毎日貧乏の繰り返し。
1日働いてなんとか食べている。
仕事がなければ食べられない。
こどもも家で待っている。
飢えの苦しみと借金の毎日。

 

工場で女工として働くファンティーヌ。
やたらとどこかに手紙を出しているらしい。

手紙をとりあげ読み上げる同僚の女。
「こどもが病気。金を送れ だってさ!」

「手紙を返してよ。あんたらに関係ないでしょう」
「なにを?!」
ケンカするファンティーヌと同僚たち。

そこへ工場主兼マドレーヌ市長となったジャン・バルジャンがあらわれる。

「今すぐ二人を引き離しなさい!なんだこの騒ぎは。工場長、君が穏やかに解決しなさい」
と言って去った。

ファンティーヌはクビになってしまう。

 

※バルジャンは旅の途中のモントルイユで大火事の中、二人の憲兵隊長の子どもを救出したことにより、通行証を調べられずにこの町へ住むことができた。そしてこの町の産業だった装飾品の新しい製造法を発明し一財産を築いた。

バルジャンは名前をマドレーヌと変え、市長兼工事主として町に貢献していた。

夢やぶれて

※ファンティーヌは好きだった男性との間に子ども(コゼット)が出来たが、男性はファンティーヌの元を去っていった。

真実の恋だと思っていたのは自分だけ。
男性は去って行ってしまった。
待っていたのに戻ってこない。
幸せになれると思っていたのに。
その夢はやぶれてしまった。

 

 

波止場

船から降りて余暇を満喫している水平と娼婦が駆け引きをしている。

※ファンティーヌは幼いこどもと一緒では仕事につけないと思い、旅の途中で寄った宿屋に預けていた。その養育費を送るためになんとかしてお金を得なければならなかった。

ファンティーヌが道を歩いていると老女が近づいてきて「綺麗な飾りをつけているね。ちょっと見せて」という。

「売りますよ」とファンティーヌ。
「4フランだったら買うよ」と老女。
「それじゃぁ、安すぎるわ」
「じゃあ、5フラン。それがイヤなら買わないよ」
「わかったわ」とファンティーヌ。

娘を預かっている宿屋から娘が病気だから高い薬代を送金するように手紙がきた。

別の日。

またファンティーヌが道を歩いていると老女が近づいてきて
「あんたの髪は綺麗だ。10フランで買うよ」
「!!(どうしよう、これだけあれば病気の子供も助けられるかも)」
と自慢の美しい髪を売ったファンティーヌ。

美しかった髪の毛もバッサリ切って、真珠のようだった白い歯も売ってしまったファンティーヌ。もう売るものはなにもない。とファンティーヌは娼婦になった。

あるとき、ファンティーヌのもとに近づいてきた男がファンティーヌの背中に雪を投げ込んだ。びっくりしたファンティーヌは罵声とともに男の顔に爪を立てた。このファンティーヌの激しい罵声を聞いた野次馬たちが集まってきた。そしてジャベールもやってきてファンティーヌを警察署へと連行した。※原作では男はこの隙に姿をくらました。

■男は男がワザと自分で血をつけて傷を負ったようにした。

 

 

ファンティーヌの逮捕

そこにジャベール警官がやってきた。

男は自分でつけた傷を見せて
「見てくれ、傷をつけられた。血も出ているだろう」
という。

ジャベールは
「女には罰を受けさせる。裁判にもかけるから拘留する」
と言い出した。

ファンティーヌは
「病気のこどもがいるんです。牢屋に入ったら働けなくなってしまって子供に仕送りを送れなくなってしまう。そしたら子供は死んでしまうかもしれません。どうかお情けを」
と懇願する。

しかしジャベールは
「やめろ、泣き言をいうのは。言い訳をするな」
と冷たい。

そこにマドレーヌ市長がやってきた。
「この娘の話は本当じゃないのか」
と助け船を出してくれる。

「しかし、市長」とジャベール。

市長は
「君の任務は終わった、放しなさい」
と去るように命じた。

そしてファンティーヌに
「どこかで会った気がする。どうしてこんな目に遭っているのか」
と言う。

ファンティーヌは
「からかわないで!あなたのせいでしょう。あなたが私をクビにしたんだわ」
と市長の顔にツバを吐きかける。

市長は
「それは知らなかった。なんとかしよう。子供も助けよう!」
とファンティーヌに約束する。

 

※ファンティーヌは自分がクビになったのはマドレーヌ市長のせいだと思い込んでいた。マドレーヌ市長は知らなかった。

思いがけない市長の言葉にファンティーヌは気を失ってしまう。

 

馬車の暴走

街の中では、馬車が暴走して事故が起こり、フォーシュルバンという男性が下敷きになってしまった。

「誰か、助けようとする者はいないのか!」
と市長が回りに促すが、誰も名乗り出ない。

「市長、重くてとても無理ですよ。こちらが死んでしまう」
とその場にいた者が言うと、市長自ら馬車を持ち上げるという怪力を見せてフォーシュルバンを助けた。

フォーシュルバンは
「市長さま、命の恩人です!」
と感謝を述べた。

するとジャベールは
「市長の年齢でこれほどの怪力を出せるとは信じられません。こんな怪力の持ち主はひとりだけ知っています。仮釈放で逃げていましたが、また逮捕されたと聞いています。きょう法廷に連れ出されてきます。その男は違うと言っているようですが、あいつこそジャン・バルジャンに違いないです」
と市長へ伝えた。

マドレーヌ市長は心の中で
「その男は“自分は違う”と言い続けるだろう。なぜなら私がバルジャンだからだ。しかし私の代わりにバルジャンにさせられ、牢獄へ入れられてしまう」
と思う。

ジャベールは
「バルジャンのことはよく知っています。囚人だった印に胸に焼き印もあるはず。白状させますよ」
と言って去った。

 

 

裁き

ジャベールが去ってから、バルジャンは自分に問う。

「俺と間違えて捕まってしまった男がいるなんてラッキーだ!

長い年月をかけ苦労の果てに築いた今のせっかく地位、幸せ。

捨てるのは惜しい!

もし俺が捕まれば工場に働いている大勢の人の仕事がなくなって路頭に迷う。

見殺しにはできない。

正直に名乗れば、即座に逮捕だ。牢獄入りだ。

しかし黙っていても、心苦しい。

その男はバルジャンではないのに、俺の代わりに奴隷にさせてしまうのか。

俺の過去、罪をその男に追わせて知らんぷりして生きるのか、俺は。

死ぬまでおのれを偽って生きるのか。

それは許されるのか、恥ずかしくはないのか」

と苦悩するバルジャン。

そして髪の毛が白くなるほど悩んだあげくその裁判が行なわれているというアラースに向かった。

 

フランス・パリの北179キロ
アラース
********************

裁判所へ駆けつけたバルジャンは

「さあ、皆よく見ろ。俺こそ“24653”、ジャン・バルジャンだ!」

胸元の焼き印を皆に見せながら告白した

■胸元に焼き印をつけたりしたら、熱さと痛さのあまりショック死してしまう囚人もいるのではと思うくらい現実にはありえないことですよね。舞台なのでわかりやすいように演出したのでしょうけれど、恐ろしいことを疑問も持たずに受け入れて舞台を見ていることになりますね。

 

ファンティーヌの死

※裁判所内ではマドレーヌ市長がジャン・バルジャンだと自白しても混乱のため、すぐに逮捕にはいたらなかった。そこでバルジャンは裁判所を出て所用を済ませファンティーヌの病床へ駆けつけた。

ファンティーヌは娘・コゼットの幻を見ていた。
バルジャンを見ると
「見て、コゼットが外で遊んでいるわ」
と遠くを指さす。

ファンティーヌはバルジャンに
「あの子をお任せします」
とお願いする。

バルジャンは
「命賭けてコゼットを守り通そう」
と約束する。

ファンティーヌは
「目覚めたら、あの子に会いに行くわ」
言い残して亡くなってしまった。

 

※原作ではジャベールを見て、恐怖と驚きのあまり死期が早まる。

■ミュージカルでは、ファンティーヌが亡くなった後にジャベールが現われる。

 

 

対決

するとそこにジャベールが現われた。
「バルジャン、ついにまた出会ったな」

バルジャンは
「ジャベール、逮捕する前に俺の頼みを聞いてくれ。やり残したことがあるんだ。

母が死んでしまった子供を救えるのは俺しかいないんだ。

頼むから三日の猶予をくれないか。三日の間に子供をなんとかしてこよう。

それから逮捕するがいい」と言うが

ジャベールは

「嘘をつけ。そんなこと言って逃げるつもりだろう。お前みたいなウジ虫、死ぬまでクズだ。つべこべ言うな」

と言って捕まえようとする。

バルジャンは、鉄の棒をふりかざして、ジャベールから逃げた。

※原作ではここで逮捕され労役につく。そこから脱出してコゼットの元に向かう。

 

 

幼いコゼット

フランス・パリの北東
モンフェルメイユ

********************

コゼットはティナルディエの店で働いていた。
ボロを着せられ、ほうきを持って掃除をしていた。

そこにティナルディエ夫人がやってきて
「コゼット、水を汲んどいて」
と命令する。

水を汲むには暗い森の奥へ行かないといけない。
「暗くて怖いわ。行きたくないわ」
とイヤがるコゼットに

「おだまり、サッサと行きな」
と無理矢理外へ出すティナルディエ夫人。

 

 

宿屋の主人

ティナルディエが営む宿屋兼酒場。
ティナルディエが客に愛想よく接客している。

「いらっしゃい。
この町一番の宿屋ですよ、ここは。
俺のような紳士は滅多にいないですよ。
正直でまっとうでごまかしなんてしません」
というティナルディエ。

客はよくご存じで
「なにをいうか、ごますりオヤジめ。
右の手で握手して、左手でお金を巻き上げるじゃぁないか。
サービスだってタダじゃしてくれない。
酒は薄める。ちょっとした物はくすねる。
抜け目ない。エライ人、貧乏人、相手に合わせて調子良くヘイコラが得意。
意外に哲学的なところもある」

ティナルディエ夫人は
「いつか巡り会えると思っていた私の王子様。だけどあいつが私の王子様?!
口先ばかりのタヌキじゃないか。うぬぼれ野郎もいいとこ。私は我慢しているんだよ!」
と不満をぶちまける。

それでも酔った客たちで盛り上がるティナルディエの宿の夜。一見、繁盛している様子に見える。

 

 

取引

コゼットは水の入った重い桶を持ちひとりで暗い森を歩いていた。

突然、桶が軽くなる。大きな男の人が持ってくれたのだ。

「さあ、怖がらないで。いい子だ。名前は?」
「はい、コゼット」
「コゼット!」
バルジャンはコゼットを見つけた。

ティナルディエの宿へ着くと、バルジャンは

「コゼットを守るとこの子の母親と約束している。
いい値で払ってやるから、この子は連れて帰る」

と告げる。

 

 

裏切りのワルツ

ティナルディエ夫妻にとってコゼットは
金のなる木。
渡すのは惜しい。
そこでバルジャンに言い訳をする。

「この子は家族同様に育ててきました。年中病気にもかかるし、お金もいっぱいこの子にかかったんですよ。薬代はバカにならないですからね。それに疑ってはなんですが、悪い企みがあるんじゃないですか」と。

「1500フラン払おう。これだけ払うんだから、もう何も言うな」と押し切る。

そしてコゼットに
「さあ、コゼット。今日からは私と一緒だ」
と言って宿屋を出る二人。

 

 

乞食たち

フランス首都
パリ
***********

街には乞食があふれている。
「乞食を見ろ。恵んでくれ。ボロクズを見ろ」

浮浪児のひとりガブローシュが仲間を引き連れて駆け回る。

若い娼婦と年寄りの乞食がケンカを始める。

若い男性のマリウスとアンジョルラスが
「この国をなんとかしなければいけない」
と立ち上がる。

「俺たちは誰について行けばいいか?」
「それはラマルク将軍だ」
「しかしラマルク将軍は重病で7日ももたない」
「今こそ俺たちがバリケードを作って戦おう!」

 

 

強奪

ティナルディエ夫妻の宿屋は倒産していた。そして別の商売を始めていた。

街中でカモを見つけたらしい。
「持ち場につけ!」
と仲間に指示を出す。

マリウスの元にはティナルディエ夫妻の長女エポニーヌが近づいてきた。

エポニーヌはマリウスのことが好きなのだ。
しかしマリウスはエポニーヌの気持ちに気づかない。

ティナルディエにカモ呼ばわりされていたのは、バルジャンとコゼットだった。

マリウスのそばを二人が通りすぎる。マリウスとコゼットはすれ違ったときお互いにひと目ぼれした!

ティナルディエのほうは、バルジャンを見てすぐに気がついた。

「俺の宝を連れ去った男だ!」と。

バルジャンは
「なにかの間違いだ。君のことは知らない」
と言う。

そこに警察が現われる。ジャベールだ。

 

 

ジャベールの介入

ジャベールは
「またケンカか。逮捕するぞ。あれ、被害者の男性は?消えたのか?」
とティナルディエたちを逮捕しようとしたが、被害者の男性バルジャンは姿を消していた。

ティナルディエは
「逮捕をするのは、俺じゃなくて、あっちでしょ。胸の焼き印が見えたよ。
旦那が追いかけている悪人でしょ。
俺が教えてあげたんだからね。
俺は帰ってもいいでしょ」
と帰ろうとする。

ジャベールは
「仕方がない。泳がせておいて、必ず捕まえてやるからな。ティナルディエたちは逮捕だ!」

と命じる。

 

 

星よ

ジャベールは星に誓った。バルジャンの逮捕を。

ガブローシュはジャベールが気に入らない。この街を仕切っているのはこの俺だ。俺に任せておけばいいんだと。

 

 

エポニーヌの使い走り

エポニーヌはコゼットに気がついた。思い出したのだ。コゼットがティナルディエの家で暮らしていた子供の頃を。私はあの頃とは違う。みじめな私。

そこにマリウスが来た。

「あの娘は誰?」
「金持ちの娘よ」
「捜してくれないか?」
「見つけたら何をくれるの?」
「ほしいもの、なんでもあげるよ」
「ふん、どこがいいんだか。すっかり夢中ね。お礼にお金なんてくれても嬉しくないからね」
「エポニーヌ、必ず見つけ出してくれ。どうしても遭いたいんだ。もう狂いそうなくらいだ」

マリウスは目の前にいるエポニーヌが自分のことを好きなのに気づかずに、こんなことを平気で言うのだ。

エポニーヌはこんなマリウスと自分の恋の行方に笑うしかない。

 

 

ア・ベ・セー・カフェ

ABCカフェには、若者が集まっていた。
いまこそ革命を起こそうと血気盛んだ。

そこにマリウスがうかない顔をしてやってきた。
どうやら恋わずらいのようだ。
仲間にからかわれるマリウス。
しかし真剣なマリウスは
「君もあの娘に会うとわかるよ、僕の気持ちが」
と訴える。

リーダー格のアンジョルラスがマリウスに
「気持ちはわかるけれど、僕らには使命がある。自分のことより今は民衆のために前進しよう!」
と促す。

若者達はいっそう盛り上がる。

そこにガブローシュがやって来た。
「みんな、静かに!ラマルク将軍が死んだ」

アンジョルラスが言った。
「ラマルク将軍の死を無駄にしないように立ち上がろう!市民も僕らと一緒に立ち上がるに違いない!」と。

 

 

民衆の歌

戦う者の歌が聞こえるか?
砦のむこうに自由の世界がある!
悔いはしないな。たとえ倒れても。
明日のフランスのために!

 

 

プリュメ街

コゼットもマリウスに恋心を抱いていた。マリウスに出会ったことによって、自分の人生がようやく始まった、そんな気がするほどに。

でも自分の人生のこと、こどものころのこと、なぜいつもお父さんと二人だけなのか、過去のことをお父さんはおしえてくれない。もう大人なんだからおしえてほしい。

バルジャンがコゼットを心配そうに見る。
「いずれ時がきたら、わかるときがくるだろう」
と思いながら。

マリウスはコゼットへの恋心を押さえられない。

エポニーヌは傷つく。けれどエポニーヌもマリウスへの恋心は消せない。

 

 

心は愛に溢れて

マリウスとコゼットは再会する。

エポニーヌがコゼットを捜し当ててマリウスを導いたのだ。

名前も知らなかった二人。ようやくお互いに名乗り合う。

再会できたのは、夢?いえ夢ではないわ。

エポニーヌは片思いをかみしめる。

 

 

プリュメ街の襲撃

バルジャンの住まいには、マリウスだけでなく、ティナルディエとその仲間達もたどり着いていた。強盗を働くつもりだ。

ティナルディエが言うには10年前に二束三文の安い値段でコゼットを売ってしまった。だから今度はその分も取り返してやるんだと。

ところがバルジャンの家の前にエポニーヌもいる。

仲間は
「なんでてめえの娘までいるんだ?」
と言うとティナルディエはエポニーヌが手伝いに来たんだと勘違いして
「エポニーヌ、なんでいるんだ?お前がいなくてもやれるから帰れ」と追い払う。

エポニーヌは
「ここは金持ちなんかじゃない。けちくさい暮らしをしているじいさんの家だよ」と言うが

ティナルディエは
「余計なことするなよ」
とやめる様子はない。

エポニーヌは
「やめないと悲鳴をあげるからね!」
と言って本当に悲鳴をあげた。

キャーーー!!!

慌てたティナルディエは仲間に
「下水道へ逃げ込め!娘は俺がなんとかする」
と言いエポニーヌには
「なめるなよ、後悔させてやるからな」
と言い放ち自分も逃げた。

マリウスがやってきてエポニーヌに
「助けてくれたんだね。ありがとう」
と礼を言う。

そこにバルジャンがやってきた。
マリウスは隠れる。

バルジャンは言う。
「どうした?悲鳴が聞こえた。道からはわめきあう声も聞こえた。またジャベールか。俺を見つけてしまったのか。コゼット、急いでしたくして。理由は聞かないで。生きるためにはこうするしかないんだ」

 

 

ワン・デイ・モア

バルジャン「きょうも一日をなんとか生き延びた。罪滅ぼしに終わりはない。ジャベールはまた俺を追いかけてくる」

マリウス「ようやくコゼットに巡り会えたのに。今度はいつ会えるのだろうか。彼女と生きるか、革命の仲間のもとに戻るか?」

コゼット「マリウスに愛を誓う」

エポニーヌ「マリウスは私に目もくれない。ひとりぼっち。みじめだわ」

アンジョルラス「自由のために戦おう!隊列を組むときが来た!」

ジャベール「革命を起こそうともどうせ失敗して死ぬのだ、摘み取ってやる!早いうちに」

ティナルディエ夫妻「殺し合い大好きさ!運の悪い奴は歓迎さ」

 

 

第2幕

バリケードを築く

リーダーのアンジョルラスが仲間を鼓舞する。
「さあ、バリケードを築こう!
それに情報も収集しよう!」

そこにジャベールが味方のふりをして紛れ込んできた。

バリケードにはいろんな人がやってくるから、一見、敵か味方がわからないのだ。

そこに男の子の格好をしたエポニーヌもやってきた。

マリウスはエポニーヌに気づく。

「おい、どうしてこんなところにいるんだ?」
「一緒にいたいからよ。でも場違いかしら」
「いまのうちに逃げろ。危険だ!」
「私のこと、心配してくれるのね。(私のこと好きなのかしら?)」

「エポニーヌ、頼みがある。この手紙をコゼットに渡してくれないか」
「(私の気持ちはわかってくれないのね)」

エポニーヌは一瞬でも自分に気が向いたかと思ったが、それは違った。マリウスはこんな状況でもコゼットを想い続けているのだ。

エポニーヌはマリウスが好きだから、マリウスのためならと引き受ける。

家の前にはバルジャンがいて必ずコゼットに渡すと言うので、「必ず娘さんに渡してください」と約束をして手紙を渡す。

マリウスの手紙には
「愛するコゼット
もうあなたは遠くへ旅立つのか
一日のめぐりあいで世界が生まれ変わるとは
戦いで倒れたらこれが最後の言葉
君の愛を知った今、死ぬのは辛い
家へ帰れるよう 神に祈りを
僕も祈ろう 君の恋人 マリウス」
と書いてあった。

バルジャンは、マリウスとコゼットが愛し合っていることを知る。

そしてコゼットの気持ちが自分でなくマリウスに向いていることを悲しく思う。

が、これも娘の幸せのためだとバリケードへ行ってマリウスを救うことを決意する。

 

 

オン・マイ・オウン

エポニーヌはマリウスへの想いを募らせる。
しかし叶わぬ想いだと悟る。

再びバリケードで敵軍が警告をしてきた。
「学生たちよ、よく聞け。市民たちはこないぞ。孤立しているんだぞ。味方はいない。死んでしまうぞ。よく考えろ」と。

アンジョルラスは
「警告は嘘だ。市民は必ず自分たちのところへ駆けつける!」
とみんなを励ます。

 

 

バリケードでのジャベール

敵の偵察に行ってきたといってジャベールがバリケードに戻ってきた。

そして
「聞いたぞ、敵の作戦。今夜は攻めてこない。飢えさせるつもりだ。敵は右からくるぞ」
と伝える。

 

 

ちびっこ仲間

するとガブローシュが
「嘘つき!」
と叫ぶ。

「こいつ、知ってるぜ。ジャベール警部だ!奴の話はデタラメだぜ。本当は敵なんだからな。ちびっこだからってなめんなよ」
とジャベールの正体を明かす。

「ガブローシュ、よくやった!」
「こいつをどうする?」
「とりあえず、縛っておけ!」

ジャベールは学生達に身柄を拘束させられ、柱にくくりつけられた。

正体がバレたジャベールは開き直り
「好きなときに殺せばいいさ、どうせ子供遊びさ。学生の裁判なんて笑わせるぜ」
とうそぶく。

 

 

恵みの雨

今度は男の子がやってきたが、マリウスはすぐエポニーヌだと気づく。

「エポニーヌ、どうした?逃げろと言ったのになぜ戻ってきた?そうだ、コゼットには会えたのか?」と聞く。

エポニーヌは
「コゼットはいなくて父親が出てきて手紙を渡してくれるっていうから渡した」
と答える。

エポニーヌの髪が濡れていた。マリウスは
「ん?髪が濡れているのか?怪我しているじゃないか。どこも血だらけだ!」
と驚く。

エポニーヌは
「大丈夫よ。痛くはないから。安らかな気分だわ。このまま抱いていてほしい」
と言い残し、眠るように亡くなってしまった。

 

 

苦悩の夜

このバリケードの最初の死者になってしまったエポニーヌ。彼女の死を無駄にしないためにも、くじけずに戦おう!と決意をあらたにする仲間たち。

すると今度は軍服を着た老人がやってきた。
「なんの用だ!?」
「志願兵だ!」
そう、あらわれたのはバルジャンだった。

バルジャンは敵の軍服をどこかで手に入れて、それを着ていたからこそ、バリケードにたどり着くことが出来たのだ。

 

 

最初の攻撃

敵の攻撃が始まった。50人、いやもっと多くの兵隊がむかってきた。

バルジャンは鉄砲打ちの腕がよかった。次々と敵に銃を命中させていった。それも致命傷は与えないやり方だった。しかしそのおかげで敵はいったん引き下がっていった。

アンジョルラスは
「あなたのおかげです」
とバルジャンを称える。するとバルジャンは
「そんなことより、このスパイ・ジャベールの件、俺に任せてほしい」
と頼んだ。

アンジョルラスはバルジャンをすっかり信用してジャベールを任せた。

バルジャンはナイフを取り出した。

ジャベールは「ナイフで殺るのか」と言ったが、バルジャンはナイフで、ジャベールを縛っていた縄をほどいた。そして「出て行け」と命じた。

ジャベールはとまどう。
「何の真似だ。なにかの取引か?!ここで俺を逃がせばまた逮捕されるぞ」
と言う。

バルジャンは
「なにもわかっていないな。君は自由なんだ。取引きなんかじゃない。怨みもない。俺は逃げ隠れはしない。もし俺が生き延びたらプリュメ街55番にいるから逮捕しにこい」
と言ってジャベールを逃がした

そして鉄砲を空に向かって1発撃ち、ジャベールを始末したかのように皆に思わせた。

 

 

その夜(共に飲もう)

夜、バリケードの仲間たちは酒を飲み交わして歌う。

マリウスはひとりつぶやく。
「死んでもいいさ。どうせコゼットは遠くへ旅立ってしまう。コゼットのいない世の中なんて空しいだけ。ぼくが死んだらコゼットは泣いてくれるだろうか」

 

 

彼を帰して

マリウスのひとりごとを聞いていたバルジャンは祈る。

「どうかマリウスを生きて家に帰らせてください。私は年老いていますから、私はここで死んでもいいのです。ですからマリウスは死なせないで下さい」と。

 

 

苦悩の夜明け

アンジョルラスは言う。
「市民は応援にこない。僕らは見捨てられた。命を大事にしよう。こどもがいる人と女性たちはここから去るのだ!」
と。

 

 

第二の攻撃

また攻撃が始まった。しかし弾丸が足りなくなった。死体が身につけている弾丸を取りに行くしかない。するとマリウスは
「僕が行ってきます!」
と志願した。

アンジョルラスは
「ダメだ!危険だ!」
と止める。しかしマリウスは、
「ここにいても同じことだ!」
と言ってひるまない。

するとガブローシュが
「すばしっこい奴のほうがいいから、俺が行ってくる!」と飛び出してしまった。

最初はうまくいって弾丸を回収していったが、とうとう敵の攻撃がガブローシュに命中し、命を落としてしまった。

 

 

最後の戦い

また敵軍からの警告が聞こえてきた。
「よく聞け、市民は寝ているぞ。勝ち目はないぞ。本当に死んでしまうぞ!」

しかしアンジョルラスは
「死のう!ぼくらは敵など恐れはしない!
世界に自由を!」
と残った仲間に呼びかけ、最後は銃殺された。

戦いは終わった。

バルジャンはマリウスを見つけてかつぐと排水溝の蓋をあけ、地下に降りた。

そしてパリ地下の下水道を歩き回った。

 

 

下水道

下水道の出口にはティナルディエがいた。死体から盗みを働いていたのだ。

そこにマリウスをかついだバルジャンが現われた。ティナルディエは驚いて逃げた。

 

 

ジャベールの自殺

バルジャンは下水道から出られた。

しかしそこにはジャベールが待ち構えていた。

バルジャンはジャベールにまたも頼み込む。

「かついでいる青年が死にかけているんだ、あと1時間だけ待ってくれ。医者に渡したら逮捕されに戻ってくるから」

「俺にそんなことを言うか!」
と最初は許さなかったジャベールだったが、バルジャンの必死の思いにふれ、その固い意志が崩れた。

そしてバルジャンを捕まえることなく、立ち去ることを許した。

ジャベールは混乱していた。

自分が人生を賭けて追いかけてきた極悪人バルジャンは、極悪人ではないのか?俺は命を救ってもらった。そしてまたひとり命を救おうとしている。俺は間違っていたのか?これ以上責務を全うしていくことはできない。

ジャベールはセーヌ川に身を投げた。

 

 

犠牲者たち

戦いが終わった街。
たった一晩の戦いだった。
なにも変わらない。
自由などない。

 

 

カフェソング

マリウスはバリケードの戦いで自分だけ生き残ったことの悲しみに暮れていた。

 

 

マリウスとコゼット – 心は愛に溢れて

マリウスはだんだん回復してきた。コゼットはマリウスの元に毎日のように通って癒やしてあげている。二人は幸せそうだ。

しかしマリウスはバリケードの戦いから救ってくれて家まで運んでくれた人はいったい誰だったんだろう?という疑問がぬぐえない。

コゼットは「今は、そんなことは考えないで」と慰める。

バルジャンはコゼットの愛がマリウスに注がれるのを寂しい思いで見つめていた。

 

 

バルジャンの告白

マリウスはバルジャンに結婚後も一緒に暮らしてほしいと願いでる。

するとバルジャンは「話しておきたいことがある」と語り出した。

ジャン・バルジャンという男が昔パンをひとつ盗んで牢獄に19年間も入っていた。それは私だ。コゼットには内緒にしておいてほしい。こっそり私はここから姿を消すことにすると。

マリウスは「行かないでほしい」と懇願したが、バルジャンの意志は固い。

バルジャンの過去をコゼットには内緒にするという約束をしてバルジャンは旅立った。

 

 

結婚式

マリウスとコゼットの結婚式が華々しく開かれた。そこにはティナルディエ夫妻も着飾ってやってきた。テナルド男爵と夫人と名乗って。

マリウスはティナルディエに
「ダマされると思ったか!出て行け!」
と言うが

「すごい情報がある。知りたければ500フラン払いな」と脅す。

それはバルジャンがマリウスをかついで下水道を歩いていたという話だった。

マリウスは自分を救ってくれたのはバルジャンだったとわかった!

ティナルディエには、持っていたお金を投げ与えると、コゼットの手を取って式場を出た。

 

 

エピローグ

バルジャンはひとりぼっちで死の床にいて覚悟を決めていた。

そこにマリウスとコゼットが駆けつけてきた。

コゼットは
「パパ、パパ、大丈夫?」
とすがる。

マリウスは
「許してください。あなたが僕を助けてくれたことを知らずにいました」
と謝る。

バルジャンは死ぬ間際にコゼットに会えて喜びにあふれていた。

そしてコゼットに言う。
「私はおまえの父ではない。預かったのだ」
と告白した。

枕元には既に亡くなっているファンティーヌとエポニーヌが迎えに来ていた。

バルジャンは静かに生涯を終えた。