小松左京「くだんのはは」『文豪ノ怪談』でみつけた傑作!

文豪が書き残した怪談・怪奇小説の傑作をテーマ(夢・獣・恋・呪・霊・影・厠・死)ごとに編纂した8冊のシリーズ『文豪ノ怪談』。

小学校高学年から中学生が読者対象になっています。丁寧な解説付きですので読みやすいと思います。

文豪と呼ばれる人たちの有名な話からあまり知られていない物語まで収録されています。というのは昔は大評判で有名だった話かもしれませんが、現代ではあまり知られていないという意味です。

なかなか貴重なシリーズです。

全巻読んでみて一番衝撃的だった物語は、小松左京著作「くだんのはは」です。

戦時中のお話です。

タイトルからイメージして「九段(という地名の)母の話」なのかと思いながら読み進めました。そして「くだんの」とタイトルをあえて“ひらがな”にした訳がわかり衝撃でした!!

 

小松左京氏といえば、「日本沈没」で有名で、作者とタイトルだけは知っておりましたが、読んだことはありませんでした。第一、日本が沈没する話なんてありえないし、創作だとしても読みたくないと思ったからです。映像やマンガにもなって当時は大ヒットしたようですが、人ごとに思っていました。

 

“また星新一・筒井康隆と共に「SF御三家」と呼ばる日本SF界を代表するSF作家であり戦後の日本を代表する小説家でもあった”

とのこと。

筒井康隆氏は「時をかける少女」が有名で本も映像作品も観ましたし、星新一氏はショートショートが有名で何冊か読んだことがあり、確かにおもしろかったことを思い出しました。

「日本沈没」の小松左京氏だけはまともに読んだことがありませんでした。この本に収められていたので読んだといった感じでした。

が、この1編で考えがくつがえりました!

うーむ、こういう話を書く人だったのか!

 

「くだんのはは」は文庫でもありますが
『文豪ノ怪談』で読むと詳細な解説があるので、お薦めです

 

第4回「呪」
【収録作品】
岡本綺堂「笛塚」
三遊亭圓朝「百物語」
久生十蘭「予言」
小泉八雲「因果ばなし」
田中貢太郎「這って来る紐」
柳田国男「遠野物語」より
小松左京「くだんのはは」
三島由紀夫「復讐」
吉屋信子「鬼火」
郡虎彦「鉄輪」

 

調べてみると「くだんのはは」は朗読カセットテープというものも存在しているくらいなので、当時はよっぽどヒットしたのでしょう。

だから当時を知っている人から見たら「今さらなにをいうのか」と思われるかもしれません。

 

 

こういうきっかけを作ってくれたこのシリーズは、何年かしたらまた全巻読み返してみたいですね♪

『文豪ノ怪談』
汐文社

 

「文豪ノ怪談」テーマでくくった文豪の短編集「恋」

第1巻「夢」
【収録作品】
夏目漱石「夢十夜」
内田百閒「豹」
中勘助「ゆめ」
芥川龍之介「沼」
谷崎潤一郎「病蓐の幻想」
佐藤春夫「山の日記から」
志賀直哉「病中夢」
夢野久作「怪夢」
北杜夫「夢一夜」
小泉八雲「夢を啖うもの」

【幻妖チャレンジ!】
『出雲国風土記』より「黄泉の穴」

 

第2巻「獣」
【収録作品】
中島敦「山月記」
小川未明「牛女」
芥川龍之介「馬の脚」
与謝野晶子「お化うさぎ」
坂口安吾「閑山」
太宰治「尼」
梶井基次郎「交尾」
宮沢賢治「注文の多い料理店」
【幻妖チャレンジ!】
泉鏡花「蛇くひ」

 

第3巻「恋」
【収録作品】
泉鏡花「幼い頃の記憶」
佐藤春夫「緑衣の少女」
小田仁二郎「鯉の巴」
川端康成「片腕」
香山滋「月ぞ悪魔」
江戸川乱歩「押絵と旅する男」
中井英夫「影の狩人」
【幻妖チャレンジ!】
上田秋成「菊花の約」

 

第5巻「霊」【収録作品】
星新一「あれ」
倉橋由美子「霊魂」
岡本綺堂「木曾の旅人」
室生犀星「後の日の童子」
水木しげる「ノツゴ」
三浦哲郎「お菊」
久生十蘭「黄泉から」
【幻妖チャレンジ!】
謡曲「松蟲」

 

「影」
梶井基次郎「Kの昇天」
岡本綺堂「影を踏まれた女」
柳田國男「影」
水野葉舟「跫音」
泉鏡花「星あかり」
北原白秋「影」
山川方夫「お守り」
渡辺温「影 Ein Marchen」
稲垣足穂「お化けに近づく人」
城昌幸「影の路」

 

「厠」
【収録作品】
大坪砂男「天狗」
三橋一夫「湯河原奇遊」
泉鏡花「古狢」
田中貢太郎「料理番と婢の姿」
松谷みよ子「学校の便所の怪談」
吉行淳之介「追いかけるUNKO」
芥川龍之介「尼提」
川端康成「雪隠成仏」
谷崎潤一郎「厠のいろいろ」

 

「死」
【収録作品】
西條八十「トミノの地獄」
原民喜「秋旻」
内田百間「冥途」
三島由紀夫「朝顔」
芥川龍之介「凶」
小川未明「金の輪」
火野葦平「魚眼記」
平山蘆江「大島怪談」
川端康成「不死」