映画『ハケンアニメ』劇中アニメも観られる♪感想・あらすじ
原作は週刊『an・an』に2012年10月~2014年8月に連載され、2014年8月に単行本出版。本屋大賞候補にもあがった辻村深月さんの人気作品です。
目次
“ハケン”とは?
『ハケンアニメ』の“ハケン”とは?
パッと見は「??」ですね。
「派遣」をあてはめると「派遣アニメ」。
ますます「??」。
「派遣」ではありません。
「覇権」をあてはめると「覇権アニメ」。
覇者、競争に勝って第一人者となった者の権力。
“アニメの覇者”
ということです!
なるほど
「アニメのトップ争い」
ですね。
しかし、ただの視聴率争いではありません。
特にアニメの場合、本放送の視聴率の他、ディスクや関連グッズや商品がどのくらい売れるか、総合的な利益がどうだったかを争います。
本放送の視聴率が低くてもその後ディスクの売り上げがいいとかグッズが爆発的に売れるということも「覇権争い」には重要。
表現することを絵にできることは“強いな~”と思います。
いろんな商品に展開でき、利益化は広がりますものね。
原作
原作は四部構成。
第一章
王子と猛獣使い
~王子千晴と有料香屋子の物語。
第二章
女王様と風見鶏
~斎藤瞳の物語。
第三章
軍隊アリと公務員
~並澤和奈と宗森周平の物語。
第四章
この世はサーカス
~「ハケン」をとったのは?
※~以下は副題ではなく内容
アニメ業界で働く人たちの様子が描かれています。
ひとつのアニメ作品ができあがるまで、多くの人たちがかかわることがわかりました。
冒頭はいろんな肩書きのいろんな人たちが登場するので関係性を理解しながら読み進めました。
今まで知ることがなかったアニメ業界で働く人たちの様子がわかり、面白かったです。
しかし、いまだに低賃金で過酷なのですね。
大変だな~。よっぽど好きでなければ続かないでしょう。
仕事が楽ということはないでしょうが、どこでモチベーションを維持するか?
やっぱりなにかしらの充実感、達成感、やりがいがなければ続けていくのは難しいでしょう。
アニメ業界で続けている人たちは、やっぱりアニメが好きなのでしょうね。
見どころ
原作が面白かったので、映画も観たくなりました。
✔ 映画だったら現場(制作現場、スタジオ内など)が見られるかも?!
✔ 原作中のアニメも見られるかも?!
✔ 原作でイケメンとされている登場人物の配役は?
✔ 原作のストーリーを映画用にどうまとめているか?
配役の印象
全体の配役を見たとき
「なんか違うかな」
という印象でしたけど、映画を観てみたらピッタリ!でした。
これは役者さんの演技や演出によるものなのでしょうね。
イメージしていた一部分からの違う側面を見せてくれると「おおっ」となります。
中村倫也さん
私は朝ドラのイメージが強く、映画『アラジン』では「歌が上手いな~」と着々とキャリアを重ねているという印象でした。
本作の王子千晴役。
もう少し若い人を想像していました。
中村さんは飄々としつつ、自分の意志を強く持ち、きちんと伝える王子役のイメージ通りに演じていて「観てみないとわからないものだ」を改めて実感しました。
尾野真千子さん
尾野真千子さんも朝ドラ『カーネーション』の印象があり、強い女性のイメージです。
失踪した王子千晴を辛抱強く待ち、笑顔で立ち回り、ようやく姿を現した王子千晴をぶん殴る、尾野真千子さんお得意の演技でした。
有料香屋子役ももう少し若い人のイメージでしたが、相手役の王子千晴が中村倫也さんだったので年齢的には良かったのかなと受け止めました。
現場
アフレコや制作現場や会議の様子など興味津々で面白かったです。
今はタブレットがあるので持ち歩きながらも絵が描けます。そこにも仕事を詰め込んじゃうくらい時間が惜しいことも伝わってきます。
脚本・構成
原作は斎藤瞳(吉岡里帆)が際立って主人公って感じではなかったので、映画の主役になっていると知って、なにか別の視点からまとめているのかと期待しました。
映画は原作の一部、二部、三部が交互に細かく展開しました。
私は原作を読んでいたので場面転換も即座に理解しましたが、読んでいない人は大丈夫だったかなとは思いました。
でも斎藤瞳(吉岡里帆)主役の映画としてよくまとまっていました。
劇中アニメ
王子千晴(中村倫也)監督の
運命戦線
リデルライト
斎藤瞳(吉岡里帆)監督の
サウンドバック
奏の石
が劇中アニメとして登場します。
初回記念PRのシーンで短編アニメが見られたり、アフレコの未完成のラフが見られたり、おもしろかったです。
ここが原作を読むだけでは味わえない映画を観る醍醐味でしたね♪
あらすじ
プロデューサーの有料香屋子は、もうじき放映される新アニメ番組の監督・王子千晴が忽然と姿を消したことに頭を悩ませていた。
回りには知らせず立ち回っていたものの
「王子監督はどうしたんだ?」
とほうぼうから問い詰められる。
「またもや失踪してしまったのではないか」との噂も立っていた。
それに今注目の新人・斎藤瞳監督との対談イベントも迫っていた。
この日に間に合わなければ万事休す!
と覚悟を決めていたところ、当日イベント会場になにくわぬ顔で王子千晴があらわれた。
驚いて責めるも王子は悪びれる様子もない。
とにもかくにも対談は無事に行われた。
対談で斎藤瞳監督は「覇権をとります!」と大々的に宣言する。
その宣言により、王子千晴監督vs. 斎藤瞳監督の戦いの火蓋が切られた。
キャスト
斎藤瞳 – 吉岡里帆
王子千晴 – 中村倫也
有料香屋子 – 尾野真千子
行城理 – 柄本佑
宗森周平 – 工藤阿須加
並澤和奈 – 小野花梨
関 – 六角精児
群野葵 – 高野麻里佳
根岸 – 前野朋哉
越谷 – 古館寛治
前山田 – 徳井優
川島 – 大場美奈
映画
『ハケンアニメ』
https://haken-anime.jp/