渡る世間は鬼ばかりスペシャル2019〈期待通りのおもしろさ!〉

9月16日、渡る世間は鬼ばかりスペシャル2019が放送されました。

2010年の最終シリーズ以降のスペシャル放送は、毎回“これで最後の放送”といいつつかれこれ9年目に突入しています。

橋田壽賀子さんはバラエティ番組に出演されるたびに「もうやりたくない」発言を繰り返しますし、高齢ということもあって、「本当に最後かもしれない」という思いを抱きつつ欠かさず見ています。

 

 

2019年版スペシャルは

9月半ばの連休最終日の祝日、夜8時からの放送という時間帯から見ても、まだまだ人気番組であり、目玉ドラマなのでしょう。

前回放送は2018年でしたので、1年ぶりの放送になりますが、ドラマの内容も少しずつ進んでいます。そこで各家族にどんな変化があるのか、まずそこが興味津々です。

たとえば五女・良子の長女・日向子はもう22歳になっていたり、次女・五月の長女・愛の娘は小学生になっていて、スマホを持ちながら登場。おおっと時の流れを感じます。

今放送もたくさんの俳優さんが出演されましたが、それでも「あれ?あの人はどうしたかしら?」と思うほどでした。

たとえば、愛の娘が小学生になっていたならば、真の子供も大きくなっているのでは?と思いましたが、嫁に「子育てと家事で幸楽とのつきあいまでやってられない」と言われると、「あれ?まだ小さかったっけ?」と思ったり、前回出演していた四女・葉子の双子の娘たちは残念ながら出演なしで、見たかったなぁ~と思ったり。

こんな感じでまず2019年バージョンの年齢設定、特に子供たちの成長ぶりを見るのが楽しみです。それに加えて今放送でどんな事件が起きて、どんな風に解決して終わるのか、見ないわけにはいかないのです。

橋田壽賀子さんの終末医療に対する思いは、本間先生のセリフに乗せていましたね。少しでしたが。

安心して見ていられて、しかもおもしろい。まあ、以前のシリーズのように何度も見るということはしなくなりましたが。

来年も続けてほしいのですが、もしこれで終了になったとしてもおかしくないような終り方になっています。

 

 

『渡る世間は鬼ばかり』が始まったばかりの頃

『渡る世間は鬼ばかり』がこれほどの長寿番組、国民的ドラマになるとは誰も予想しなかったと言われています。

私は脚本家・橋田壽賀子さんのファンですが、「作品はほとんど見ています」とまったくいえないファンです。というのは、若い頃はテレビをほとんど見ない生活だったということもあります。たまに見たドラマがおもしろいと感じて脚本家の名前をみると“橋田壽賀子”とあり、“橋田壽賀子”という人の書いたドラマはおもしろいんだという印象を持っていました。

『おしん』という化け物ドラマが大評判ですごいということを耳にしていましたが、時間的に見ることができずにずっと気になっていました。随分経ってから引っ越した街の図書館にあったので思い出して借りて全巻見て、大感動したものです。

その橋田壽賀子さんの新ドラマが始まるということでとても楽しみにしていたのを今でも思い出します。当時はちょうど時間にいくらか余裕ができ、録画もできるような環境になったので、ほぼ欠かさず見ていたと思います。

期待通りのおもしろさでしたが、回りの身近な人たちにこのドラマの良さを話しても誰一人として関心を示さず、寂しい思いをしました。まあ視聴率は悪くないみたいなので、たまたま私の回りは無関心なだけで全国的には見ている人もいるだろうからとひそかに楽しみにして、次回シリーズを願っていました。

すると嬉しいことに第2シリーズが始まりました。「なんで私の回りの人たちは、このドラマの良さがわからないんだろう」と不思議に思っていましたが、あるときすごく嬉しいことがありました。

 

 

若い男子ファンの生の声

それは、電車に乗っていたときのことです。私が座っていた席のすぐ前につり革につかまっておしゃべりをしている中学生か高校生の男の子が2人いました。聞こえてきた会話の中で、ひとりが
「おれ、いますっごく楽しみにしているテレビがあってさ」
というのです。へーなんだろうと興味津々で耳を傾けました。すると、
「それって『渡る世間は鬼ばかり』っていうドラマなんだけど」
と言ったのです。その友だちは、
「え、それなに?聞いたことない」
と返します。
「知らないの~?すっげぇおもしろいんだってば」
「へー」
「1回見てみたらいいよ。もう、今すっごいハマってんの」
といった内容でした。

もう、びっくりしたのなんの!あんな若い男の子のファンがいたなんて。しかも生の声。私は、その場で、
「私も見ているんです。おもしろいですよね」
と握手したいくらいでしたが、とりあえずぐっとこらえてやめておきました。

やっぱり世間にはちゃんとファンがいるんだと思った瞬間でした。

 

 

秀逸の夫婦げんか演技

そして私はこのドラマの第2シリーズが一番好きなのです。と申しますのは、藤岡琢也さんと山岡久乃さんの夫婦っぷりが秀逸なのです。特に夫婦げんかの演技は素晴らしい!当時何十回と巻き戻しして夫婦げんかのシーンを見ました。素晴らしい演技なのです。二人の掛け合いが。脂がのった演技とはこのことではないでしょうか。

私は初期の頃、第3シリーズくらいまででしょうかね、必ず2回は見て、多いときで3回は見ていました。

また日本のお母さん女優といえば、私は山岡久乃さんと佐々木すみ江さんなのです。先日爆笑問題がラジオで京塚昌子さんのことを言っていて「確かに~」とも思いましたが、京塚さんは私はうっすらとした記憶(かっぽう着でふくよかなお母さん)です。

昨今でいえば、樹木希林さんなのでしょうか。でも日本のお母さんといった感じではないですね。今は誰でしょうか。

 

 

山岡久乃さんの思い出

そして山岡久乃さんの思い出と言えば、最後の舞台です。

その日私は朝に有給休暇をとったと思います。なんかクサクサしていたんだと思います。それで当日劇場の窓口に行ってチケットがとれたら舞台を見よう、とれなかったら帰ってくればいいやといった気持ちで当日券を求めました。不思議なことに1枚だけ残っていたのです。それも真ん中でした。こんな良い席が当日、舞台が始まる直前に買えるなんて、不思議な話です。早速とびつきました。と言いたいところですが、観劇のチケットは高額です。ミュージカルほどではありませんが、私は端席の安価な席で良かったのです。しかしたった1枚の残席ということもあり、思い切りました。もうこれは当時の私にとって『見るべき舞台』だったのでしょう。

そして『舞台・渡る世間は鬼にばかり』の舞台を初めて観劇しました。藤岡琢也さんと山岡久乃さんの見事な夫婦演技に「これよ、これ」と感動しました。本当に良いお芝居を観ることができたと大満足でした。

しかしこの舞台直後に、山岡久乃さんが降板したのです。驚いているうちに週刊誌やテレビでいろいろ言われ、ガンを煩い亡くなってしまいました。後で知りますがこの舞台が山岡久乃さんの『渡る世間は鬼ばかり』の最後の出演だったそうです。私はこの手の舞台は滅多に見ることはないのですが、なにかに引き寄せられるように観に行ったことは今でも不思議です。

 

 

今後の『渡る世間は鬼ばかり』

さて今後の『渡る世間は鬼ばかり』ですが、2020年も放送できることを心から願っております。オリンピックのネタは放送局から打診があるかもしれませんね。私個人としては、終末医療問題を拡大して取り上げて欲しいと思います。

たとえば、以前テレビで見ましたが、一人暮らしの高齢のしかも1日中ベットに寝ている方が毎朝起きたときに、枕近くにセットされてあるタッチパネルを押すだけで、スイッチが入り、看護師さんの顔が映り「おはようございます」と声をかけてくれ、生存確認もできるといったシステムを取り入れている地区があるそうなのです。そういったこともドラマに取り入れてくれると、認知度が広まると思うのです。

橋田壽賀子さんの「安楽死」は賛成できませんが、終末医療は高齢者やその家族だけでなく、誰もがもっと関心をもってほしいことです。