映画「ほんとうのピノッキオ」の感想とあらすじ

「ピノキオ」は誰でも知っている物語のひとつだと思いますが、映画のタイトルが「ほんとうのピノッキオ」というからには、童話にありがちな、なにか略しているストーリーがあるのだろうか?

ということが気になり、まず本を読んでから映画を観てみました。

 

 

物語「ピノキオ」の特徴

最大の特徴は
「ピノキオは木でできた人形の子供で嘘をつくと鼻が伸びる。最後はよい子になって人間の子供になる」
ということ。

作者はおもしろいことを考え出しましたよね。

これさえつかんでおけば「ピノキオ」はなにかを語れるかと思います。

 

 

ストーリー概要

さらにどんなお話かというと

・貧乏なジェぺットじいさんが木の枝からピノキオをつくった。

・ピノキオは人間の言葉をしゃべりだし足ができるとたちまち町へくりだしてしまう。

・家にもどってきたピノキオが足を暖炉に向けて眠ってしまったので足が焼かれてしまう。

・足を戻通りにしてもらったピノキオはまじめに学校へ行くとジェッペットに誓う。

・ジェペットは学校へ行くというピノキオのために一着しかない自分の上着を売り教科書を買ってあげる。

・ピノキオは教科書をもって学校へ行く途中に巡回の人形劇小屋を見つけ、教科書を売って芝居代に換え、小屋へ入る。

・仲間が来たと大喜びした人形たちは芝居をめちゃくちゃにしてしまい親方が激怒しピノキオを食事の丸焼きの薪にしてくべようとする。

・ピノキオは懇願すると親方はピノキオの父親のことを想い許して金貨5枚をくれる。

・家に帰る途中、ピノキオは猫とキツネに金貨を増やせると言われて一緒に宿へ行くと猫とキツネはたらふく食事をして支払いをピノキオにさせる。

・宿の人に夜中に起こされ猫とキツネを追いかけたら布をかぶった強盗2人に会う。

・ピノキオは口の中に金貨を飲み込んでいたので強盗は取り出せず、ナイフを刺しても体が硬くて刺さらず、首を木につるされた。

・ピノキオは妖精に助けられたが、嘘をついたため鼻がのび、キツツキに鼻をけずってもらって元通りになった。

・ピノキオは妖精によいこになったら人間になれると聞き「よいこになる」と約束をする。

・ピノキオは猫とキツネに再会して騙されて金貨を土に埋めて盗まれる。

・騙されたことを裁判所で訴えるが「無実が悪い」ということで牢屋へいれられる。

・友だちに誘われて怠け放題の国へ連れていかれ怠けていたらロバになってしまう。

・ロバになってサーカス団へ売られてしまう。

・サーカスの最中に足を怪我してしまい、サーカスでは使えなくなり、皮をはぐために海の中へつるされる。

・魚たちにロバの姿をついばまれ、木の人形のピノキオがあらわれる。

・おおきなクジラに飲み込まれてしまうが中にお父さんが暮らしていた。

・中にいたマグロに協力してもらい、お父さんと一緒にクジラから脱出する

・まじめに勉強して働くようになったピノキオは人間の子供になる。

 

 

紆余曲折

ピノキオが人間になるまでには、紆余曲折いろいろありますね。

知っているエピソードはどのくらいありましたか?

ピノキオは木でできた人形だから、脳みそも木でできている。だから知恵がないからだまされるんだ。

知恵がないとこんなめにあうんだ。だから勉強しなきゃね。

という教訓も含まれていますね。

 

 

映画の登場人物

物語には、コオロギやカタツムリ、黒いウサギ、ゴリラなど動物がたくさん登場します。
ほとんど人間の言葉を話し会話をします。

動物たちはCGを使わず特殊メイクです。

コオロギやマグロのかぶりものは学芸会かと思いました。

猫もキツネもかろうじて長いひげをつけていますが、人間の姿をしたままです。

「猫」「狐」という名前の人間として表現しているのかとも思いました。

しかし、カタツムリは殻をつけています。

人形芝居の人形たちは小さい大人を起用しています。

ピノキオの顔は木の模様が残り、あまり表情がでないような顔にしています。

ピノキオの体は木っぽくありません。人間そのものですね。

2020年の「ドクター・ドリトル」の動物たちを観ているせいか

あえてなのか、技術的な問題なのか?

と不思議でたまりません。

 

 

世の中の風刺

原作者はイタリアの作家です。
1883年に最初の本が出版されました。
1883年といえば、日本では江戸時代です。

ジェペットじいさんは貧乏という設定です。

というか、ひどい貧乏です。

清潔な暮らしではありません。

人にたかって生きています。

ジェペットだけでなく、登場した猫とキツネも食堂に残飯をもらいにいっている常連のようです。

ピノキオが通う学校は答えが間違っているとぶちます。ひどい先生です。

こんな学校ならば子供たちは「行きたい」とは思うわけがありません。

ただのおとぎ話の映画ではないところが新鮮な印象を持たせます。

映画「ほんとうのピノッキオ」
2021年11月5日公開

 

 

本の詳しいあらすじ

『新訳 ピノッキオの冒険』
大岡玲訳 2003 角川文庫

アントニーオ親方は、拾った棒切れでテーブルの足を作ろうしたが棒切れが「あんまりひどくぶたないで」と何度もいうので友人のジェペットじいさんにあげた。ジェペットじいさんはその棒切れで人形を作ったが逃げ出してしまったため町まで追いかけていった。

町ではジェペットじいさんが「人形のしつけが悪い」と言われ警官に捕まって牢屋に入れられた。

家に戻ったピノキオはコオロギから説教されて腹が立ったためコオロギを殴り殺してしまった。

ピノキオは火鉢の上に足を置いて眠ってしまったため両足がすっかり焼けてしまった。そこにジェペットじいさんが戻ってきた。

ジェペットじいさんは自分の食事のために梨を3個持って帰ったがピノキオがあまりにもお腹が空いたというので3つともあげてしまった。

ピノキオは今度こそ学校へいってしっかり勉強するという。ピノキオがABCの連絡帳が欲しいというのでジェペットじいさんは1着きりのジャケット売ってABCの連絡帳を買ってきた。

学校へ行く途中ピノキオは芝居が見たくなりABCの連絡帳を売って芝居を見に行った。

芝居に出ていた人形たちは仲間が来たと大喜びしたため、芝居がめちゃくちゃになってしまった。

怒った人形使いの親方は大きな羊の丸焼きを焼くために ピノキオを火にくべてしまおうとした。しかしピノキオがあまりにも泣き叫ぶためかわいそうになってやめた。その代わり別の人形を燃やそうとしたが ピノキオがあまりにも懇願したためそれもやめた。

親方はピノキオを心優しい親孝行な子供だと感心した。そして5枚もの金貨をピノキオへあげた。ピノキオは意気揚々と家へ帰る。

その途中で片足を怪我したふりをしたキツネと目が見えないふりをした猫に出会う。金貨5枚をもっと増やす方法があるとのせられてついていく。

途中の宿でごちそうをたくさん食べたキツネと猫は 寝ているふりをして先に宿を出てしまう。

夜中に宿屋の主人に起こされたピノキオは全員分の宿の支払いをしてキツネと猫を追う。

途中死んだはずのコオロギから忠告受けたが耳を貸さず頭巾をかぶった人殺しに襲われる。ピノキオは人殺しの手を食いちぎると猫の前足が転がり落ちた。ピノキオの体は硬い木で作られていたためナイフが刺さらなかったので樫の木に吊るされた。

トルコ石のように青い髪をした少女の仙女がタカとプードルと馬をつかわしてピノキオを助けてくれた。そして自分の家へ運びカラスとフクロウとコオロギの医者を呼んでくれた。

回復するための苦い薬を飲まないピノキオの元に真っ黒なウサギが4羽棺おけを担いでやってきた。それをみたピノキオは怖くなってようやく薬を飲んですっかりよくなった。

仙女に嘘のいきさつを話しているうちにどんどん鼻がのびてしまった。仙女は足が短くなるウソと鼻が長くなるウソがあると笑う。ピノキオがあまりにも泣くので仙女はキツツキを呼んで鼻をもとどおりにしてくれた。

今度こそおとうさんに会いに向かった先でまたキツネと猫に出会い《阿呆だましのまち》へ一緒に行き《不思議の原っぱ》に金貨を埋める。

騙されたピノキオはゴリラの判事に訴えたが「金貨4枚盗まれた刑」で牢屋に入れられた。しかし皇帝が戦争に勝ったので放免となり仙女の家へ向かった。

道端に大きな蛇がいて飛び越えようとしたらピノキオがおかしな格好で倒れてしまったのを見た蛇が大笑いしすぎて死んでしまった。

腹がへったピノキオは通りすがりの畑からマスカットブドウを失敬しようと人間がしかけたイタチの罠に捕まってしまう。夜になると蛍がやってきたので助けてほしいと懇願した。

すると人間がやってきて昨日死んでしまった犬の代わりに番犬をするようにと首輪をはめられ家の前に置かれた。

そこに4匹のイタチがやってきた。イタチは犬が死んだことを知るとピノキオに犬の代わりに協定を結ぶように持ちかけた。それはイタチたちがこれから鶏を8羽失敬する。そのうちの1羽を与えるから見逃してくれというものだった。

ピノキオはその話にのったふりをしてイタチたちがニワトリ小屋へ行ったときに鍵をかけてイタチたちを閉じ込め吠えまくって人間を呼んだ。

やってきた人間はイタチを捕まえて袋に入れた。そしてピノキオを「よくやった」と褒めて頭を撫でて許してくれた。

ピノキオは再度仙女の家に向かった。しかし仙女の家はなくなっていた。悲しんでいると大きな鳩がやってきてジェベットじいさんと海岸で別れたばかりだという。もう4ヶ月以上もピノキオのことを国中歩いて探し回っていて、とうとう遠い大陸まで探しに行くために船に乗って行ったという。

ピノキオはその鳩にまたがって海まで連れてってもらった。海岸に着くと小さな船に乗ったお父さんの姿が見えた。ピノキオは お父さんに向かって盛んに合図をするとお父さんも気づいたようだったが波に飲まれてしまった。ピノキオはお父さんを助けに海へ飛び込んだ。

一晩中必死で泳いである島にたどり着いた。イルカに道を聞いて ≪働き蜂の国≫という小さな村へ着いた。

お腹が減ったピノキオは働かずに食べ物を恵んでもらおうと道行く人に声をかけたが手伝わないものにはあげられないと2回断られた。3回目には水瓶を持った女の人が現れたので水を飲ませてもらった。女の人はもう一つの水瓶を家まで持ってきてくれたら美味しいパンとオリーブオイルとお酢で味付けしたカリフラワーとロゾーリオ酒の入ったボンボンキャンディーもあげるというのでピノキオは仕方なく家まで水瓶を運んで行きごちそうになった。

お腹が落ち着いたところで顔を上げて見てみるとその人は仙女だった。ピノキオは仙女にいい子になって人間になると誓う。

ピノキオは町の学校にまじめに通っていた。ある日近くの海に大きなサメがきているといわれ札付きの悪ガキどもと一緒に学校へ行かずに見に行った。するとサメはいなかった。悪ガキどもがまじめに学校で勉強しているピノキオを仲間に陥れるためについた嘘だった。

そこでピノキオと悪ガキどもはケンカになった。悪ガキどものひとりがピノキオの分厚い本をピノキオめがけて投げたところ別の悪ガキにあたり倒れてしまった。ほかの悪ガキどもは逃げてしまいピノキオだけが残り看病していた。そこに警官がやってきてピノキオを捕まえてしまう。

ピノキオは飛んで行った帽子を拾う口実でそのまま逃げた。警官の犬がピノキオを追いかける。もうだめかと思ったところ海岸に着き犬は溺れてしまう。助けを求めた犬をピノキオは助けてあげる。

ピノキオは泳いでいき洞窟を見つけた。洞窟から煙があがっていたので体をあたためようと中に入っていったら漁師につかまった。フライにされ食べられるところだったがさっきの犬が助けてくれた。

犬と別れてひとりになったピノキオはある老人にピノキオが看病していた子供が助かったかたずねた。老人は「助かった」と答えたためピノキオは喜んだ。

老人が「ピノキオはどういう子どもか」とたずねたとき「すごくいい子だ」と答えるとピノキオの鼻が10センチも伸びた。あわてて「それは嘘だ」と言い直すと鼻は短くなって元の長さに戻った。

ピノキオは仙女の家に向かった。家からカタツムリが顔を出し夜が明けるころ9時間も待ってようやくドアを開けてくれた。

仙女に会ったピノキオはいよいよ明日人間になれると聞く。うれしくなったピノキオは町へいって友だちを招待してきたいと仙女に頼み1時間以内に戻ってくると約束した。

多くの友だちを招待したあと「ランプの芯」というあだ名の友だちの元へ行くとこれから「おもちゃの国(1週間のうち6日が休みで勉強しなくてもいい)」に行くという。

到着した馬車は12組24頭のロバがひいていた。ロバは人間がはくような白い皮のショートブーツをはいていた。

誘われたピノキオが背にまたがろうとしたロバは鼻づらでピノキオを押したためピノキオはひっくりかえった。御者はロバにキスをするふりをして右の耳を半分ほど食いちぎった。

ピノキオは起き上がってまたまたがろうとするとロバが今度は二本の足をはねあげてピノキオを振り落とした。御者はまたキスをするふりをして左耳を半分食いちぎった。

ピノキオがロバに乗れた後しばらくするとか細い声で「今に後悔するぞ」と聞こえてきたような気がした。

ロバが泣いていたのをみたピノキオはびっくりして御者に訊ねたが相手にされなかった。

「おもちゃの国」へ着いた。こどもばかりが住んでいる。一番年上でも14歳。下は8歳。毎日あそびほうけて暮らしていると1時間が、1日が、1週間がいなびかりのようなすばやさで過ぎていった。5か月が過ぎた。

ある朝ピノキオにロバの耳がはえていた。驚いたピノキオは泣け叫んだ。あまりにも大きな声で泣くので上の階のモルモットがやってきて「それはロバ熱だ。あと2、3時間もするとほんもののロバになってしまう」といった。

ピノキオはこうなったのは「ランプの芯」のせいだと怒り会いに行った。「ランプの芯」もロバになっていた。御者がやってきて「ランプの芯」は農家に、ピノキオはサーカス団に売られてしまった。

サーカスで芸を披露していたピノキオは観客席に仙女がいるのを見かけた。が、すぐにいなくなってしまった。

ピノキオは怪我をしていまい太鼓の革にするという楽団に売られてしまった。

ピノキオは海岸へ連れてこられ首に石のおもりをつけられ海へ沈まされた。ピノキオが死んでから皮をはごうとしたのだ。50分が経って海からひきあげたところ木の人形があらわれた。海の魚たちがピノキオの体をつついて食べたせいで骨が残った。それがピノキオの木の体だった。

ピノキオを買った男は怒ってピノキオを市場へ行って薪として売ってやるという。ピノキオはすばやく海へ飛び込んで泳いで逃げた。海の真ん中に白い大理石のような岩が見えた。その岩の上には青いトルコ石のような色をしたヤギがいた。

ピノキオは仙女だと思い勇んで近づくと大きなサメにのみこまれてしまった。15分くらい気を失ったピノキオが気が付くとあたりは真っ暗だった。

そこにはマグロがいて「消化するのを待つしかない」といった。遠く明かりが見えたのでマグロと別れて明かりのほうへ行ってみると老人がいた。それはお父さんだった。もう2年もいるという。お父さんと一緒にサメの体から逃げようと決意するピノキオだった。サメはたいそうな年寄りでひどい喘息持ちなので寝る時はいつも口を開けていた。

ピノキオがのどの入り口から顔をのぞかせて上を見ると夜空が見えた。あと一歩というときにサメがくしゃみをしてまた胃の中へ逆戻り。

お父さんを励ましてサメの口から海へ飛び込んだ。ピノキオは泳ぎ続けたがくじけそうになった。するとマグロも逃げてきて助けてくれ浜辺についた。

歩いているとかつて騙された猫とキツネがいっそう哀れな姿でいた。二匹の口車に乗らずに進むと小さな小屋があった。中にはコオロギがいた。

体が弱ったお父さんに1杯のミルクを飲ませるために近くの農家へ行って5か月もの間、毎日揚水機でバケツ100杯の水をくみあげた。

そこにはロバの姿をした「ランプの芯」がいた。ピノキオは昼は仕事をして節約をして夜は勉強をした。お金が貯まったので新しい服と帽子と靴を買ってこようと家を出ると仙女の家にいたカタツムリがいた。仙女は病気になってお金がないという。ピノキオは持っていたお金をカタツムリにあげ仙女のために使ってと伝えた。その夜夢に仙女が現れた。

次の日起きるとピノキオは人間の子供に変わっていた。部屋も藁でできた壁ではなく家具がそろっていて新しい服と帽子と皮のショートブーツまであった。ポケットからは象牙でできた財布がでてきて仙女にあげたお金を返しますというメッセージと金貨40枚が入っていた。お父さんを探しに行くとジェペットは昔のように健康で活力にあふれていた。椅子には大きな木の人形が寄りかかっていた。