テレ朝ドラマ「黄金の刻」原作から見るドラマの見どころ
「黄金の刻」は「セイコーグループ」の創業者・服部金太郎の成功物語です。原作の小説「黄金の刻」は金太郎の70歳の古希の祝賀会から始まり、丁稚奉公時代の回想へ。
紆余曲折の人生を歩み亡くなる直前の様子で結んでいます。
今は安価な腕時計もいろいろありますが、私も10代で腕時計を初めて持ったときは父親に買ってもらったSEIKO製でした。
それ以来国産の時計といえばSEIKOが一番よくて海外にも名が轟いている。
松田聖子の芸名の「聖子」も「世界のSEIKOのように成功してほしい」という願いからつけたとも聞きました。気づいた時から存在するSEIKOです。
しかしその創業者が「服部」という人で、どんな苦労をして世界のSEIKOになったのか本を読むまでまったく知りませんでした。といいますか興味がなかったです。
ドラマになることで大勢の人が知り、日本にもこんなすごいところがあるんだ!と改めて誇りに思わせてくれる機会になりますので、いいところに目をつけたなと思います。
服部金太郎は非の打ち所がない立派な人物に描かれ、さまざまな困難を前向きな精神で乗り越えていきます。
目次
ドラマのキャスティング
金太郎役はまじめでいい人役が続いている西島秀俊さん。
金太郎が若い時代はNHK朝ドラ「ブギウギ」の主役・スズ子の内縁の夫役を演じた水上恒司さん。純粋でまじめな役で好印象です。
服部金太郎もまじめで人柄も良くひねくれたところがない人物像ですのでお二人は適役でしょう。
金太郎の妻・まん役に松嶋菜々子さん。
“まん”は後妻ですが、群馬出身でのちに金太郎を支える生涯の友・吉川鶴彦を引き合わせます。
その生涯の友・吉川鶴彦役に、山本耕史さん。どんな役も無難にこなしますが、今回はまじめな技術肌の職人役です。
金太郎が10代の頃、丁稚奉公した洋服問屋「辻屋」の店主・辻粂吉を船越栄一郎さん。
その娘の浪子の少女時代を吉川さん。晩年を高島礼子さんが演じるとのこと。
辻浪子は辻粂吉の妹ですが、ドラマでは娘になっています。そしてドラマでは初恋の相手となるようです。
辻粂吉は金太郎が丁稚奉公から卒業した後もなにかとアドバイスをしてくれ人生の師匠ともいえる存在になります。
辻粂吉は金太郎と浪子が一緒になって洋服問屋「辻屋」を盛り上げてくれることを望みますが、金太郎の器の大きさと将来見据えている夢を理解し、「辻屋」を送り出してくれます。
見どころ
私が見どころだと思うのは、
・時計の技術
・昔の風景
・時計の変遷
です。
時計の技術
小説を読んでいていまいちピンとこなかったのが、「小型旋盤を使ったナナコ彫り」。
これは安く仕入れた無地の輸入時計に模様をほどこし売るという金太郎の戦略。
輸入時計を安く仕入れても無地ならば売れ行きは芳しくなく、そこに模様があれば時計は売れるという。
しかし模様がある時計は仕入れも高いので、無地で安く仕入れて社内で模様をほどこせればそれだけ利益もあがるというもの。
その技術をもったのが山本耕史さん演じる吉川鶴彦です。
いったいどういう模様なのか、どんなふうに削るのか?
映像でみられるのか?!
楽しみにしています♪
昔の風景
金太郎の生きた明治・大正・昭和の日本の街の風景をどう描くのか注目です。
また大正12年の関東大震災の火災で服部時計店、精工舎などが全焼し多大なる被害を受けます。
この災害後、金太郎は従業員とともに復興を果たします。ここをどう乗り切るのか重要なストーリーになってくるかと思います。
火事には二度遭います。
一度めの火事の経験を生かして復興するのですが、どう描くのでしょうか。
時計の変遷
今は当たり前のように気づいた時から腕時計がありますが、金太郎が創業した時代はありませんでした。
携帯する時計は懐中時計でした。
時計の生産も
掛け時計→懐中時計→目覚まし時計
の順番で優先度がありました。
一家に一台、掛け時計があるのが最低限だったのです。
それが一家に一台の家の時計が普及したのちに、外出に必要な懐中時計が普及し、目覚まし時計へ人々の需要が高まりました。
時代とともに腕時計の必要性も感じていた金太郎ですが、国民は今まで腕時計をつけるという習慣がなかったのでなかなか売れません。
そこで服部時計店では画期的な販売戦略を立てました。
それは全国の時計販売店の時計の注文数に応じて腕時計を無料でつけるということ。
腕時計をまずつけてもらって、その便利さを国民に知ってもらう。
そのための大戦略です!
もし注文が殺到したら?
そのときは“抽選”にする。
震災からの“精工舎復興記念”とする。
その後も新しい腕時計を開発し、新商品は大幅値下げをして売るということ。
そもそも買った時計に1年間の保証をつけたのも服部時計店だったということです。
今では当たり前のことも最初にやるのは勇気がいります。
そのアイデアも素晴らしいです。
補足
金太郎が修行していた時計店の主人の親せきが破産し借金の請人だったために店をたたまなければならなくなったとき、ほかの従業員は足蹴りにして去っていきました。
そのとき金太郎は将来の自分の店の実現のためにと貯めていたなけなしの7円を「今までの謝礼」として差し出した。
というエピソードもドラマではあるでしょうか。
テレビ朝日ドラマプレミアム
『黄金の刻(とき)~服部金太郎物語~』
2024年3月30日(土)21:00放送