映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』感想~意外にも大ヒット!

日本国内で最も本が売れている作家は?

というと

実は、太宰治だそうです。

時を重ねるごとに、ひっそりと、最も日本で本を売っている作家なのです。

『芸術家に聖人君子ぶりを求めるのは違う』

という説があります。

”芸術家は破天荒で非道徳的であっても、作品さえ素晴らしければいいのだ”

という意味です。

葛飾北斎は片づけ嫌い、掃除嫌いで、いまでいう汚部屋に住んでいて、どうしようもないくらいに家がゴミだらけになったら引っ越ししていた

ベートーベンは偏屈でトラブルメーカー、人間関係を築くのが苦手だった

モーツアルトは幼稚で下ネタが大好き、金勘定が苦手だった

など、嘘かほんとか真偽はわかりませんが、偉人と呼ばれている芸術家たちの破天荒ぶりはよく聞きます。

太宰治はというと

女性関係と自殺未遂抜きでは語れない作家

といわれています。

太宰治が今の世に生きていたら、どうだったでしょう。

週刊誌の格好の餌食になっていたでしょうか。

映画『人間失格 太宰治と3人の女たち』は、太宰に影響を与えた女性の中から3人を抜粋しています。

映画の始まり

映画の冒頭は海でおぼれかける太宰と女性のシーンから始まります。

この女性が亡くなる直前に太宰治の名前ではなく、他の男性の名前を呼んだ

ひどい話でしょう

と言っているシーンがあることから

最初に太宰が心中未遂を起こした

田部シメ子

という銀座の女給

であることがわかります。

 

 

小山初代は出てこない

太宰治は青森県で生まれ育ちました。

東京帝大進学のため上京します。

そして青森の芸妓・小山初代を呼び寄せ同棲を始めます。

小山初代が太宰との結婚の準備のためにいったん青森に戻ったことを勘違いして、太宰は銀座の女給・田部シメ子と心中未遂を起こしてしまった

ということになっています。

その後、太宰と小山初代は結納を挙げるのですが、入籍する前に別れてしまいます。

小山初代は映画には出てきません。

 

 

3人の女性とは

小山初代と別れたあと、結婚した

石原美知子(演:宮沢りえ)

 

ベストセラー本「斜陽」の原本とされる日記を提供した歌人で作家志望の

太田静子(演:沢尻エリカ)

 

太宰が命を落とした最後の心中相手・美容師の

山崎富栄(演:二階堂ふみ)

 

が映画の中心となる女性たちです。

 

 

蜷川実花監督の特徴

蜷川作品の特徴といえば、色づかいです。

ハッキリとした色が主張する映像です。

太宰治の書斎で見られた真っ青な壁

これはありえないでしょ。

と突っ込みたくなりますが、映画だから良いのです。

太田静子(演:沢尻エリカ)と訪れる劇場のピンクの照明

逢い引き部屋の日本画の壁画

桃畑と富士山のコントラスト

ロウソクを何本も立てたダイニングなど

その色づかいにハッとさせられます。

 

 

演出

これは誰が演じても正解がないので、結局は観る側の好みで評価されてしまうので仕方がないのですが

太宰治がボソボソと台詞が聞き取れるかどうかぐらいの小声で話すという演出が気になりました。

私は違うイメージなのですが、会ったことがないのでなんともいえません。

 

妻の石原美知子(演:宮沢りえ)は、芯があって気丈でしっかりとした女性

太田静子(演:沢尻エリカ)は派手でオシャレでお嬢様風

山崎富栄(演:二階堂ふみ)は地味だけど一途で強さを秘めている

というふうにわかりやすく分けていると感じました。

 

 

太宰治と女性たち

 

周知されているだけでも太宰治は4度も自殺を図っています。

3度も助かったのは奇跡ですね。

 

 

昔は簡単に死んだ

今でこそ「命の大切さ」を耳にしますが、古今東西昔は「死」を軽く考えていました。

日本でいったら武士の時代はたった150年前です。

第二次世界大戦はたった75年前。

捕虜になるくらいなら自決するようにと言われていた、特攻隊で突撃するように国から命令されていた時代。

太宰治が尊敬していた芥川龍之介は、太宰が学生の頃自殺し衝撃を受けます。

太宰治が簡単に自殺を図ってしまったのも時代もあるのかなと考えます。

 

 

その他キャスト

太宰治:小栗旬

太田薫:千葉雄大

三島由紀夫:高良健吾

坂口安吾:藤原竜也

伊馬春部(作家):瀬戸康史

以上は歴史上の人物

佐倉(編集者):成田凌はオリジナルキャスト

 

 

見どころ

蜷川実花監督の演出。とくにアート感覚、色づかい

3人の女優の熱演。3人とも素晴らしい演技です。

二階堂ふみさんは2019年の日本アカデミー賞・優秀助演女優賞を受賞しています。

三島由紀夫(演:高良健吾)とのやりとり

太宰治の人気と蜷川実花監督の個性的な演出、人気俳優を総動員し、ヒット映画となったようです。