映画『免許がない』教習所物語~懐かしい時代を感じさせてくれる
映画公開は1994年ですので、バルブ景気の少し後、今から約26年前・平成初期の自動車教習所をめぐるストーリーです。
その頃の自動車教習所の様子や映画作りの現場は興味深いものがあります。
今は亡き名優さん、今も活躍されている俳優さんたちの若かりし頃のお姿も見どころです。
目次
こんな方におすすめ!
✔ 自動車教習所の昔の様子を知りたい方
✔ 昔の型の車が好きな方
✔ 館ひろしさんや五十嵐淳子さんのファンの方
✔ 森田芳光監督のファンの方(脚本で参加)
✔ 名優さんの昔の演技を観たい方
(片岡鶴太郎さん、春風亭昇太さん、西岡徳馬さん、江守徹さん、秋野太作さん、故・中条静夫さん)
✔ 懐かしい時代を感じたい方
高級車で教習?!
教習所の車自体がレトロな型です。
細長く四角く、昔のアメリカ映画に出てくるような車です。
車にMARKⅡと見えたので調べてみましたらトヨタが1968年から2004年まで製造販売していた高級車とのこと。
高級車が何台も教習所にあるということはあり得るのでしょうか?
映画だからでしょうか。
それともそういう時代だったから?!でしょうか。
合宿免許取得
主役の南条弘(館ひろし)は合宿で免許を取得しようとします。
そういえば昔、免許合宿ってありましたね~。
広告もたくさん目にしていましたが、めっきり見なくなりました。
ネット検索してみましたら、まだあるようですね。
「合宿免許」は短期間で安く取得できるというメリットがあります。
多くの場合は近所あるいは通える範囲内の自動車教習所へ通います。
1ヶ月で取得できたら早いほうで2ヶ月くらいかかるでしょうか。
それが合宿に行くと2週間、3週間で取得できてしまう!
しかも安い!
ということでお金がなく、長い休みがとれる大学生に人気でした。
しかし合宿所にこもりっきり、環境も良いか悪いかわからないとなると、尻込みしてしまいます。
よっぽど急いで取得する事情がある人、環境は気にならない人、どうしても安く取得したい人が行く
といったイメージでした。
映画の主役・南条弘(館ひろし)も映画の撮影をストップしてもらい無理して取得するため合宿を選んだのでした。
そして若者たちと一緒にお寺に寝泊まりして、質素な食事をいただきます。
パワハラの教習所
いまではおそらくありえないことでしょうが、確かに昔の教習所の先生はパワハラは当たり前と思われていました。
生徒も「そういうものだ」と割り切っていました。
先生の気分ひとつ、さじ加減ひとつでハンコをもらえるかどうか。ハンコというのはその時間の講習が合格で次に進んでいいという印。
いじわるな先生やおこりんぼの先生に当たらないように願っていましたし、そういう情報はひそかに伝わってきたものです。
昨今は若者の車離れが言われていますから生徒さんも減っています。
パワハラでいじわるな先生の教習所というウワサが立ったら教習所もつぶれてしますでしょうし、そんな先生はクビになってしまうでしょうから、パワハラもなくなっていると思いたいです。
ですが、どの時代、どこでもそういったことはなくならないのは世の常ですので、なんともいえませんが。
運転免許
いまでは運転免許を持っていなくてもなんということはありませんが、映画の当時は持っていない大人の男性は馬鹿にされるということもあったかもしれません。
大人の男のステータスのひとつだったかと思います。
いまだったら平気で
「車の免許?持っていないよ。必要ないもの」
と言えるでしょうね。
必要のない人は無理に取得することはないものです。
映画は免許を持っていなかった主役の南条弘が相手役の女優から
「あなた、もしかして免許をもっていないの?」
と馬鹿にされるという場面があります。
まるで持っていないのが悪いかのような言いよう。
時代を感じますね~。
主演の館ひろしさんは下手な運転の演技に苦労したそうで、プライベートの運転まで一時下手になってしまったそうです。
逆に片岡鶴太郎さんは免許証を持っていないのに教習所指導員を演じています。
ロケ地
教習所は
栃木県宇都宮市
「トーブモータースクール」
路上検定は
神奈川県横浜市青葉区すみよし台・秦野市本町・秦野市栄町・秦野市寿町付近
筆記試験は
埼玉県飯能市の駿河台大学
主な登場人物
南条弘 / 南すすむ(映画俳優) – 舘ひろし
宇貝京子(教習所指導員) – 墨田ユキ
照屋権三(教習所指導員) – 西岡徳馬
夕顔ルリ子(女優) – 五十嵐淳子
永池進(自動車教習所所長) – 秋野太作
諸星(銀行貸付担当) – 春風亭昇太
岡山松男(新日本映画社長) – 中条静夫
暴田豪(教習所指導員) – 片岡鶴太郎
室田(教習所指導員) – 石井愃一
大政一美(マネージャー) – 江守徹
あらすじ(冒頭)
人気スターの南条弘(館ひろし)は映画撮影の休憩時に共演者の夕顔ルリ子(五十嵐淳子)から車を運転してつれて行ってほしいところがあると言われます。
撮影での車の運転はフリだけで、実際には運転していなかった南条弘はプライベートでは免許さえ持っていませんでした。
車の運転の仕方がわからず躊躇していると
「まさか免許をもっていないの?」
と馬鹿にされたことで格好つけて必死にエンジンをかけエンストしてしまい、大騒ぎに。
そこで一大決意をして「運転免許をとりにいきたい」と撮影スタッフや会社に頼み込むが大反対されます。
それでもワガママを押し通して皆を承服させます。
そして早く免許をするために合宿で免許を取得することを選びます。
最初はスターという身分を隠して、地味な格好と本名の南すすむですごしていた南条弘。
そのためか、合宿所では若者に馬鹿にされたり、教習所でもインストラクターにさんざん言われます。
とうとう我慢できなくなり、身分を明かしてしまう南条弘。
すると教習所はワーキャーの大騒ぎに!
スタッフ
【監督】
明石知幸
【脚本】
森田芳光
【音楽】
大谷幸
映画
『免許がない』
1994年公開