映画『武士の献立』けなげに生きる姿が感動を呼ぶヒューマンドラマ

江戸時代、武士の料理人の家に嫁いだ女性(上戸彩)と長男死去のためしぶしぶ跡を継いだ夫(高良健吾)、家の存続を切実に願う両親(西田敏行・余貴美子)がそれぞれの思いを持ちながら生きる姿を描いた作品です。

とくに春(上戸彩)の苦悩、けなげな姿、懸命さに感動を覚えます。

 

2010年興行収入15億円と大ヒットした映画『武士の家計簿』の次作で、2013年に公開されました。興行収入は前作の半分ほどですが、ストーリーも良く練られていておもしろく鑑賞できました。

 

上戸彩さんは久々の主演でしたが、ぐっとかみしめ我慢する表情などちょっとした繊細な演技は魅力的です。適役でした。

主な登場人物

舟木春(上戸彩)
主人公。
お貞の方に仕えていた。
一度は商家に嫁いだものの離縁される。

 

舟木安信(高良健吾)
伝内の次男。
春の夫。

 

舟木伝内(西田敏行)
安信の父。
腕の良い料理人。

 

舟木満(余貴美子)
安信の母。

 

今井佐代(成海璃子)
剣術道場「養心館」の跡取り娘。
安信のかつてのいいなずけ。
定之進の妻

 

今井定之進(柄本佑)
佐代の夫。

 

お貞の方(夏川結衣)
加賀藩6代藩主吉徳の側室。春が仕えていた。

 

大槻伝蔵(緒形直人)

 

前田土佐守直躬(鹿賀丈史)

 

 

 

あらすじ

春(上戸彩)は料理の腕を買われて、舟木伝内(西田敏行)から「嫁に来て欲しい」と懇願されます。

 

舟木家の事情

舟木家は料理をお役目とする武士でした。

ところが跡継ぎの長男が急死してしまいます。そのため次男・安信(高良健吾)が跡継ぎになりましたが、料理の腕はからきしダメな上にまったく料理に興味がなく、料理は「女こどもがやる仕事」と馬鹿にして励もうとしません。

しかも安信は次男ゆえ、幼い頃より剣術道場「養心館」の跡取り娘・佐代の婿になるつもりでおりました。安信も佐代も双方の家も承知のこと。兄の急死のせいでそれは破談、舟木家を継ぐという人生に余儀なくされたのでした。

佐代も家の跡取り娘ゆえ、嫁にはいけません。安信も佐代もお互いに気持ちがありながらも家の事情でひきさかれたのでした。

それに安信は料理よりも武道、武術が性に合っている。春を嫁に迎えてもなお、未練が残っているのでした。

春のほうはお仕えしていたお貞の方(夏川結衣)のそばを離れたくないと一度は拒否したのですが、まわりの強力なすすめで覚悟を決め嫁ぐことにしました。

 

結婚初日

舟木家は当主の伝内は江戸勤め、安信と母・満(余貴美子)は加賀藩(石川県)に住んでいましたので、春は江戸からはるばる加賀まで歩いていきました。

満からは「お家のために一日でも早く子どもを産むように」と言われ、夫・安信からは「夏」と名前を間違えられ、安信より4つ年上の姉さん女房ゆえ「ふるだぬき」と悪口を言われます。

 

 

親戚の食事会

親戚が集まった食事会では、安信の料理は酷評。次から次へとダメだしをされます。

見かねた春が次の汁物の味見をしたところ、匂いがキツくてどうしようもなかったので、かつおぶしを削り加えたところおいしくなりました。

親戚もこの汁物は「おいしい」と褒めちぎります。

自分の料理に勝手に手を加えた春に安信は激怒。そして「なんとつまらん役目だ。包丁侍とは」と愚痴をぶつけます。

 

 

料理対決

春は「勝手にやったことは謝ります。しかしいただいたお役目をそのように言ってはいけません」と安信をたしなめ、「包丁使いの勝負」を持ちかけます。

春が勝ったら、安信は春の指導をうけて料理をちゃんと覚えること、安信が勝ったら春とは離縁。

勝負は『刺身』。

双方が魚をおろして刺身を作り、安信が味見をします。

出来上がった春の刺身に目を見張る安信。

結果は春の勝ち。

 

春いわく

「安信さんは包丁の引きが遅いのです。そのため断面が荒くなり、醤油がつきすぎてしまうのです」と。

 

約束通り、安信は春から指導を受け料理作りの研鑽に励み、腕をあげていきました。

 

 

いいなずけ

しかし一向に夫婦のきずなは深まりません。

そんなとき、春は安信と佐代がかつていいなずけだったことを知ります。

そして安信がいまだ佐代のことを想っているのだと感じるのでした。

 

 

大槻伝蔵

1年後、安信は幼なじみで佐代の夫・今井定之進(柄本佑)の紹介で大槻伝蔵(緒形直人)と出会います。

定之進は大槻伝蔵を尊敬していました。

安信もその仲間になりますが、まもなく大槻伝蔵は失脚してしまいます。

春がお慕いしていたお貞の方は大槻伝蔵とは恋仲だったと春に明かし、大槻伝蔵が自害した後を追ってしまいました。

 

 

暗殺計画

大槻伝蔵を追い込んだのは前田土佐守直躬(鹿賀丈史)だと知った安信は定之進たちの暗殺計画に加わろうとします。

それを聞かされた春は安信が身を清めている隙に刀をうばって逃走します。

刀を探していた安信は出遅れてしまって仲間のところに駆けつけたときには誰もいませんでした。

安信は暗殺計画に参加できなかったのです。

暗殺計画は失敗、定之進たちは討たれます。安信は生き延びたのでした。

 

しかし安信は「春を許さない」と激怒。

春は「生きていてほしかっただけです」と必死に訴えます。

 

 

能登へ食材探しの旅へ

間もなくして伝内が倒れてしまいます。

そのころ舟木家は徳川家をもてなす「饗応料理」の担当を仰せつかっていました。

 

伝内は安信と春に

「代わりに二人で能登へ食材探しに行ってほしい」

と病床から頼みます。

 

二人で能登半島を巡っているうちに、足を血に染めても愚痴も言わずに旅を続ける春を見て、安信は愛しい気持ちがわいてくるのでした。

 

 

饗応料理

そして無事に「饗応料理」を務めあげた舟木家でした。

しかし春の姿が見えません。

春は

「私の役目はこれで終わりです。舟木家にもっとふさわしいお嫁さんをむかえてください」

と書き残して舟木家を去って行ったのでした。

 

安信が自分に愛情がないことを寂しく感じていたこともあるでしょう。

定之進が死に後家となった佐代と一緒になるのが安信のためでもあると想ったのかもしれません。

 

ところが安信は今さらになって春に愛情がわき、なくてはならない存在になっていたのです。

 

 

再会

安信は懸命に春を探して回りました。

すると以前訪れていた能登に春はいました。

ここで働いていたのでした。

二人はようやく心が通ったのです。

 

 

 

スタッフ

監督:朝原雄三

脚本:柏田道夫、山室有紀子、朝原雄三

音楽:岩代太郎

映画
『武士の献立』
2013年12月公開