池井戸潤『下町ロケット2』現実にも存在してほしい!
「下町ロケット」を初めて読んだとき、感動の連続で、途中から思わずフレーズを書き留めました。こんな話は小説だから成り立つのであって、まず現実にはないだろうと思いつつも、読後は爽快感と感動でいっぱいになったものです。
直後に直木賞作品となったと聞いて「やっぱりね」と思ったものです。こんな素晴らしい作品は、なにかしらの賞を獲ると思っていました。候補となったと聞いたとき、獲らないとおかしいとまで思っていました。
その後、WOWOWで映像化されたのを観て、主演の三上博史氏の熱演がぴったりハマっていて魅力的で、素晴らしいドラマに仕上がっていて、思わずディスクを購入してしまいました。
周りの友人知人にも「絶対にいいから!!」とこの作品をすすめていましたら、部品メーカーに勤める知人が「そういえば職場においてあったよ」と。誰でも借りたい社員が借りられるコーナーにずっと置いてあるとのこと。
「えー、誰も借りないの~??」
「んー、そうだね。ずっとあるよ」と。
しばらくしたら、
「借りて読み出したよー。おもしろいね」
とメールがきました。
「そうでしょ!!」と。
そのうちTVドラマで「半沢直樹」が始まり、池井戸潤氏は大人気に。
図書館でも、だんだん小説棚に作品が置かれることがなくなりました。
※人気作家さんの本は予約者の間を回るため、棚に戻ることはほとんどなくなります。
「下町ロケット2」が発売されたときは、予約の波に乗り遅れてしまい、他にも読みたい本は山ほどあったこともあり、すっかり忘れておりました。
先日「空飛ぶタイヤ」の映画を観てから、思い出したように、図書館の池井戸氏の棚を見てみましたら、「下町ロケット2」を見つけたのです。
「下町ロケット」を読んでからもう6~7年以上たっていることになります。
佃社長の人柄は健在でした。
カッとなって思ったことをすぐ口に出してしまう。すぐに社員に頭を下げてしまう。しかしただの人の良い経営者ではなく、言うべき事は言う。にくめない人徳あふれる経営者。
こんなに恵まれた会社なのに不平不満で自ら退職を願い出る社員もいます。まあ人の考え方はいろいろです。なにをもって良い会社と思うのかはそれぞれでしょう。
そして、安泰になったはずの佃製作所はまたまた経営のピンチです。だからこそ物語があるのですが、やはりおもしろく一気に読み終わりました。
今回も、読んでいて途中から思いました。
「こんな会社、ないよね」「こんな社長、いないよね~」
物語だから、理想を描ける。
こんな会社、こんな社長、ありえないと思いつつも、どこかに存在してほしい。