映画『家なき子』実写ならではの描写が素晴らしい!名作を凝縮!
フランスの作家エクトール・アンリ・マロの代表作小説「Sans famille(家族なし)」を原作に実写映画化した作品です。
作品が発表された1878年といえば、今から150年くらい昔、日本では明治時代ころです。
実写映画の醍醐味は、昔の生活ぶりを目の当たりにできるということもあります。
当然スタッフが時代考証をし、アイデアをだしてセットを作っているでしょうけれども、本当にそのころに時代にタイムスリップしたような昔の建物、衣装、風景、小道具などがすばらしいです!
原作「家なき子」は長編小説です。
これでもかというくらい主人公の少年レミに不幸がふりかかってきます。
どうして人は安泰な物語より、不安定で不幸がふりかかる物語にのめり込んでしまうのでしょうか。レミにも幸福は訪れるのですよ。しかし長続きしません。もろくも崩されてしまいます。それをなんとか乗り越えます。しかしまた困難がやってきます。この繰り返しで読者として目が離せません。長編小説はあっという間に終わりを迎えます。最後こそ幸せになってほしい。そう思いながら。
目次
作家マロ
原作作家マロは37年間の作家生活で約60編もの長編小説を残しました。
大変なことです。実力もあったでしょうし、当時の人気作家だったのでしょう。
マロはまず新聞に連載してのちにまとめて刊行するという手法だったそうです。
物語が長編になり、山あり谷ありになるのもわかります。
長編「家なき子」を映画用にギュッと縮めていますので、もちろん全部のエピソードは入りません。どのエピソードが用いられるのかなという点も楽しみでした。
原作と映画の違い
また登場人物や設定も変えています。
原作と違う主な点は
〈原作〉
主人公の少年レミは楽器のハープを得意としますが、あまりウマイとはいえません。
↓
〈映画〉
レミは歌声がすばらしく、人々を感動させる歌の才能がある
〈原作〉
レミの師匠ヴィタリスはイタリアで有名な歌手だった。
↓
〈映画〉
有名なバイオリニスト
〈原作〉
レミがお世話になった花農家のきょうだいの末っ子がリーズ。足が不自由で川上の船で暮らしていたお金持ちのこどもは少年アーサー。
↓
〈映画〉
足が不自由で川上の船で暮らしていたお金持ちのこどもがリーズ。
細かいところをあげると、ほかにもありますが。
大筋は原作に寄せている感じです。
動物の活躍が魅力的
ヴィタリス一座は
猿のジョリクール
犬のカピ、ドルチェ、ゼルビノ
少年レミ
座長ヴィタリス
で寸劇をするのです。
犬のカピが後ろ足で立ち上がり前足を曲げておじぎをしたり、見物料を集めて回ったりするのです。
実写映画だったらSFXで実現してくれないかな~と期待していましたが、そこまではいきませんでした。
寸劇はしなかったですが動物たちはSFXは使っていましたね。
犬はカピだけが映画には登場しました。
泣けるエピソード
・育ての母親バルブランとの再会
農家のバルブランが最も喜びそうなものはなにかと知恵を絞り、おいしいミルクを出す雌牛だと決め、お金をため、牛売りにダマされないように獣医に見立てを頼み、サプライズでバルブランと再会。見事大成功!(ここだけは成功してほしかった。良かった!)
※映画では省略
・ヴィタリスの死
まさか前半でこんな不幸が待ち構えているとは!
原作もおすすめ!
『家なき子』は1994年安達祐実さんが子役主演で当時一大ブームを巻き起こした大ヒットドラマのタイトルでもありますので、そちらのほうがピンと来る人もいるかもしれませんね。
しかし原作はとてもおもしろい!
波乱万丈のエピソードはもちろん、丁寧に描写された登場人物の心理状態や風景やその場の様子など、素晴らしいと思います。
これは名作ですね!!
お薦めです!