映画「平場の月」の感想、あらすじ

映画は想像以上に、良かった。

何気ない日常を描いた原作を、「半沢直樹」や「真田丸」、「VIVANT」や「リーガル・ハイ」などでイメージづいた”突出した個性的なキャラ”の堺雅人さんがどのように演じるのか。

井川遥さんは、セクシーで大人な女性のイメージ。

この強いキャラの二人が埼玉県を舞台とした地味な役どころを演じるギャップ。

こんな役もできるんですよと。

それが狙いだと。

まあ、狙いどおりでしたね。

演技力があるお二人の演技がぶつかりあって、本で読んだ風景が立ち上がって目の前に迫って見えました。

堺雅人さんは平々凡々な役に徹し、井川遥さんは低音ボイスで無愛想なセクシー感ゼロの役作り。

今までのイメージとは真逆の役作りのお二人だったからこそ、良かったのかな。

評判通りの素敵な作品でした!

 

ネタバレ注意 ***************

私が一番気になっていた箇所は、堺雅人さん演じる青砥健将が、井川遥さん演じる須藤にプロポーズをするシーン。

須藤の大腸ガンが発覚して治療して落ち着いてきた頃の検診の結果が出た日。

須藤の大腸ガンは再発していた。

もう長く生きられないと悶々と悩み苦しんでいる真っ最中に、プロポーズ。

これって健将が自分のことで頭がいっぱいで須藤のことを考える余裕がなく言うだけ言っちゃうっていう。

須藤はサインだしてたよね。

なぜ気づかない。気づけない?

須藤より「それ言っちゃあかんやつ」と言われても気づかない?

原作本を読んでいて腹が立った箇所。

どんな風に映画になっているんだろう?

やっぱり、うまかったね。お互いとも。

こんな表情にするのか!

こんな風に見られるのが、映像の醍醐味ですね。

やっぱり腹が立ったけど、そういう原作だし、ありえる話ですしね。

 

キャスト

青砥健将:堺雅人

須藤葉子:井川遥

 

 

原作

「平場の月」
著作者:朝倉 かすみ
第32回山本周五郎賞受賞
第161回直木賞候補
第4回北海道ゆかりの本大賞受賞。

そして2019年時点で8刷でした。
現在はもっと増刷されているでしょう。
ひそかな大ヒット作品だったのですね!

 

あらすじ

青砥健将は中学時代の同級生・須藤葉子と地元の病院で再会する。

青砥は胃の内視鏡検査で病院を訪れ、須藤はその病院の売店で働いていたのだ。

須藤も青砥もそれぞれかつて結婚したが、今は独身同士。出身の埼玉へ戻ってきて青砥は実家で、須藤はアパートで独り暮らしをしていた。

青砥は中学時代、須藤に告白したが「いやです」「だれともいやなので」ときっぱり振られていた。

青砥はそういったワケありの元同級生との偶然の再会にわくわくし、須藤を飲みに誘った。それからちょくちょく会い、つきあうようになる。

青砥の検査の結果はなんともなかったが、須藤も検査を受けたところ大腸癌だった。

須藤は手術を受けストーマをつける生活になる。慣れない生活に不安をかかえる須藤を献身的に世話をやく青砥は須藤から「おかあさんみたいにやさしい」と言われ
る。青砥は須藤の初恋の相手だったとも須藤の妹から聞かされ振られていただけに驚く。

須藤の抗がん剤治療は来年の3月に終わる予定だった。

二人の合言葉は「はい、来年の3月」。

青砥は「須藤とふたりで乗り切るんだ」と心に誓う。

抗がん剤治療が終わり須藤は三ヶ月おきに定期検診を受けることになっていた。

検査結果がわかった日、須藤は結果をハッキリ言わなかった。Vサインをして見せただけだ。それを見た青砥は「なんでもなかったんだな」と判断した。それは間違いだった。

夕食後、青砥は須藤にプロポーズをした。須藤は「それ言っちゃあかんやつ」と言った。青砥はバカにされたと思い頭に血がのぼった。ケンカになった。

須藤は
「もう青砥は一生会わない」
「偶然行き合っても声をかけるな」
とも言った。

驚いて慌てた青砥は以前来年温泉に行くと約束したことを持ち出した。

「1年は我慢してやる。1年はおまえの言う通りにする」
と強がって言った。

青砥はそれから1年我慢した。長かった。いろんな思いや後悔が何度も頭をよぎった。

そして思いがけず須藤の死を知った。

あのプロポーズした日、検査の結果をちゃんと聞いていなかった。すでに腹膜播種がみつかって転移がわかっていたんだ。

だから青砥のプロポーズを「それ言っちゃあかんやつ」と言ったんだ。

青砥は自分がプロポーズすることで頭がいっぱいで須藤の気持ちを、検査の結果をちゃんと聞くことが頭になかったのだ。

生前、須藤はハーブを自給自足していた。少ししか使わず余ったハーブを水に差して根が出てきたらアパートの隣りの駐車場の狭いスペースに植えていた。

青砥はその菜園へ行って穴を掘ってみた。折りたたんだ封筒が出てきた。青砥が須藤にプレゼントしたネックレスが入っていた。青砥の家の合鍵も通してあった。

「雑なんだよ、おまえ」
須藤との思い出が走馬灯のようによみがえった。

 

映画
「平場の月」
2025年11月14日公開