山本文緒『あなたには帰る家がある』中谷美紀主演TBSドラマ原作

TBSで同名のドラマを放送していて、原作者が山本文緒さんだったので久々に読んでみようと思いました。

以前、勤務先の人に勧められて一時期何冊か読んでいたことがありました。

新刊が出るのを楽しみにしていましたが、なかなか新刊が出なくなったと思ったら、ご病気で療養していると何かで読み、しばらくして待望の復帰作を読んで以来、遠ざかっていました。ドラマのおかげでまた読む機会ができました。

結構何冊も読んだ気がしていましたが、この本は初めてでした。

しかし著作一覧を見てみると、どれを読んだのか忘れています。

また読んでいきたいと思いました。

原作では主役の佐藤真弓の子どもは1歳の赤ちゃん。仕事は生保レディ。茄子田家の子どもは8歳と10歳。

ドラマでは佐藤真弓の子どもは中学生。
職場は旅行会社。茄子田家の子どもも中学生で真弓の子どもが恋心を抱くといった設定。

今はネットで生命保険に気軽に入れるようになったので、生保レディってすっかり見なくなりました。

原作でも大変さを表現していましたが、今はもっと大変な世界だと思われます。

子どもたちを中学生以上に設定したことで、ひとりの人間としても感情の機微を表現できるので新たなストーリーが加わって良いと思います。

原作での生保会社の支部長はなかなか良いキャラだったので、ドラマで存在しないのが残念です。

この本の山場は、綾子が佐藤家に乗り込むところでしょう。

こんな非常識な人は聞いたことはありませんが、小説ならではでしょうか。

ドラマでもとりあげていたので、おもしろかったです。

読みやすいしですし、繊細な表現が抜群です。

ミステリーでもないのに次がどうなるか読むのが止まらなくなります。

ドラマの原作になるのは、ストーリー自体が意外性があっておもしろいからだと思いますが、ときどきこうやってドラマの原作者として名前をお見かけすることは嬉しく思います。

文句なく、おもしろい本でした。

〈あとがき〉より
書き終わってから気がついたのだが、ジュニア小説を書いていた時代から数えると、この本は私の二十冊目の本となるようだ。ひとつの区切りとなる本が、自分の作品の中で一番長いものになったのは嬉しい偶然だった。

世の中には、例えば五百枚の作品を書くのに五百一枚しか原稿用紙を使わなかったという天才作家さんもいらっしゃるようだが、私は原稿用紙にして六百二十枚のこの原稿を完成させるのに、その五倍は紙を使っただろうと思う。それでこの程度かと言われると返す言葉がないのだが、それでも今自分にできる精一杯のものが書けたと充実感でいっぱいである。

 

 

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