中野京子著『危険な世界史』おもしろエピソード!どこから読んでも

2006年に開始された朝日新聞ブログ「ベルばらKidsぷらざ」に連載された「世界史レッスン」を集めた本です。

フランス革命の前後百年ずつ、つまりこの二百年間というのは、絶対王政の確立、血みどろの革命、市民の台頭ですから、とうぜん社会も文化も目まぐるしく変わり、人間も奇人変人のオンパレードで、エピソードには事欠きません。けっきょく歴史の面白さは、人間とその関係に尽きますね。[あとがき]

ひとつひとつのエピソードが短編で、読みやすくなっています。

これから世界史を学ぶというお子さんから、学生時代にちょっと学んで久しい人まで、難しいこと抜きに楽しめる内容になっています。

 

世界史ということですが、比較対象として日本のエピソードもたまに出てきます。

昔のパリは不潔だったとは、聞いたことはありましたが、

医者が「入浴すると頭は鈍く、身体は弱くなり、毒素が皮膚から浸透する」と言うものだから、人々は水恐怖におちいり、入浴しなくなった

とは驚きです。

 

 

ルイ十三世は宮廷医から年に2回の入浴しか許されなかったし、大の入浴嫌いで、日に5回もシャツをとりかえていたとか。

 

 

日本が江戸時代の頃の、パリの美容書には「歯は最低1週間に1度、髪は2ヶ月に1度、足は隔週ごとに洗うべし」とあったというので、

実際はもっと不潔だったのでしょう。

 

今の日本人が18,19世紀のパリ都市部へ連れて行かれたら、鼻が曲がるか、場合によっては窒息死してしまうかもしれない。何しろ当時のパリっ子でさえ、トイレの毒気にあてられて、ほんとうに死んだ者がいたというのだ。

 

一見、華美に見える中世のヨーロッパもこんなに不潔だとは!生まれなくて良かったと思うエピソードです。

 

また

「いつの時代もファッションは」

では、

ダヴィット制作「ナポレオン戴冠式」の絵画の中の、女性たちの髪形と服装から時代背景を解説しているところがさすがです!

 

すなわち、豪華で過剰な宮廷ファッションは過去のもの。この絵では、モスリン(柔らかい薄地の毛織物)の生地、ハイウエストで襟ぐりも大きくひらき、腕もむき出し。つまりは、バストが豊かで、ウエストが細く、ヒップのあがっている若い女性にしか似合わない服装をまとっている。

 

生地も薄く、身体の線がよくわかる服装なので、よっぽどスタイルのいい人しか見栄えしない。現代で言ったら、ひと昔前のボディコンといったところでしょうか。

 

というわけで、このファッションの寿命はあんがい短かった。

若くてもスタイルがいい人ばかりとは限らないし、コルセットでごまかそうにも生地が柔らかいのですぐばれる。「これだと寒くって」とかなんとか言い訳しつつ、この絵が完成した4,5年後からはもう、ビロードだの毛皮だの、あたたかで豪華で、身体の線がさほど目立たない衣装が徐々に復活していく。

 

現代でいえば、長いこと君臨している『チュニック』でしょうか。

おなかやおしりも隠せるし、楽だし・・・。

 

ということで「いつの時代も」になるわけですね。

 

 

 

また童話で有名なアンデルセン。

子どもの頃は、学校もろくに通わず、仕事もすぐにやめてしまい、家の手伝いもせず、ぶらぶら過ごし、かと思ったら「有名になる!」と言いだし、心配した親がアンデルセンを占い師の元へ連れていった。

 

すると、占い師は

「この子はエライ人になる。いつかオーデンセの町は、この子のためにイルミネーションを飾って祝うだろう」

と言ったという。

 

卓越した予知者だったのか、たんにお世辞を言ったのか。

占い師の予言通り、アンデルセンは世界中で有名な作家となり、オーデンセの町はイルミネーションを飾って祝った。

 

 

 

その他、おもしろいエピソード満載です!

時代的にはあちこち飛び順序だってないのですが、それが「ああ、あのときの!」と結びつき、いろんな角度から楽しむことが出来ます。

 

どのページから読み始めてもOKです。