群ようこ著『ほどほど快適生活百科』たどり着いた100編のエッセイ

短編のOLの日常的なほっこり話が読みたくなって群ようこさんを思い出しました。

 

20代の頃だったかと思いますが、けっこうハマって読んでいました。あまり本を持たないようにしていますが文庫本で、数冊持っていました。

 

身近な、いるいるそういう人、わかる、そういうのってといったお話といったら群ようこさん。アハハではなく、フフッと笑ってしまうようなコミカルな部分もアリ、ようするに大変な名手です。安心して読んでいけますが、この展開はどうなっていくんだろうという楽しみもあります。エッセイのようで実は作り話だったというのも、身近にかんじさせる要因かと思われます。

 

随分ご無沙汰になってしまって、いまどういった御本を出されているのかと検索するところから始めました。そして図書館で借りられる最新の本を予約。回ってきたのが「ほどほど快適生活百科」。エッセイのようです。

 

読んでいくと、群ようこさんは、すでに還暦をこえていたことにびっくり。そして漢方を実践されているとのこと。そういえば、漢方生活はいつだったか、エッセイで読んでいたと思い出しました。ということは、そんなに久々でもなかったと自身の記憶力を反省しました。

 

現在は週に1度、漢方外来に通われていてすこぶる調子がよいようです。なによりです。

 

本書は群ようこさんの身辺を詳細に書き表しています。どういったブランドの洋服を着ているかとか、どういったメーカーのものを愛用しているかとか。群ようこさんのように有名人ともなれば、たくさんのファンの方が真似したいと思うでしょう。

 

本書に登場する衣類、日用品類はすべて著作の私物です。現在では、入手が難しいものもあります。また、漢方薬局に関するお問い合わせにはお答えできません。ご了承ください。

 

との追記は、問合せ殺到に対する先手かと思われます。

 

ここまで詳細に記されたエッセイはほかにあるでしょうか。ある意味、終活エッセイともいえるのではないでしょうか。今まで群ようこさんが興味をもってきたこと、現在たどりついた結論。

沢村貞子さんが残した食事日記と同様、後年の人たちが群ようこさんの小説作品群とともに、御自身の身辺を書かれたエッセイを「いち小説家の生き方」として、興味が絶えることなくずっと読み続けられるのではないでしょうか。

 

人の寿命は、わかりませんが、もし群ようこさんが、今後80歳あるいは90歳などに到達して執筆業を継続されていたら、また書かれても比較になるでしょうし、おもしろいと思います。

 

それにしてもやっぱり、文章のうまさはさすがです。

私がハマって読んでいたころの作品は群ようこさんの初期の作品のようです。

「無印おまじない物語」

「肉体百科」

「半径500mの日常」

「本棚から霜じゃらし」

「姉の結婚」

など。

 

そして本書を読むと

「もう何十冊も資料の本を買うような作品を書かなくなった」

とありますので、長編も書かれているのでしょうか。私が読んでいなかった時期の作品を少しずつ読んでいきたいと思います。

 

また女性エッセイの名手といえば、林真理子さんもそのうちのおひとりですが、群ようこさんとは大変対照的です。

どちらもファンが多いでしょうけれども、どちらも魅力的なエッセイで、どちらも大好きです。