映画『魔女がいっぱい』おもしろく楽しいが、中世の魔女狩りが根底に
アン・ハサウェイ主演ですが、よくこの役を引き受けたな~と終始思いながら鑑賞しました。
それは特殊メイクもそうですが、いままでにないくらい「悪者」ですし、みっともない姿もみせます。
その女優魂にあっぱれ!です。
目次
あらすじ
子どもの頃、近所に住む女友だちが魔女の魔法によってニワトリにされてしまったという過去を持つおばあちゃん(オクタヴィア・スペンサー)。
おばあちゃんといっても見た目が若く、そんな感じでもないのですが、孫が小さい(小学生くらい)なので、まあありえるかなといった設定です。あとで調べてみると演じた女優オクタヴィア・スペンサーは50歳でした。
おばあちゃんは、ハーブや民間療法に詳しいということで、最初は「良い魔女」なのかなと思いましたが、ふつうの人でした。その知識をいかして魔女の薬を解毒しようとしますが、なかなか困難でした。
そのおばあちゃんの孫の「ぼく」は交通事故で両親を亡くしてしまいます。「ぼく」はおばあちゃんと一緒に暮らすことになります。
あるとき、おばあちゃんと買物にいったお店で、「ぼく」は魔女に遭遇します。
魔女はお菓子をちらつかせ誘惑してきました。そのお菓子を食べていたら「ぼく」は動物にさせられていたところでした。
そう、おばあちゃんの子どもの頃のお友達のように!
そのことをおばあちゃんに伝えると「この家にいては危ない!」ということで、ホテルに避難します。
ところがそのホテルに、大勢の魔女が集まってきていたのです。
そうとは知らずに「ぼく」は誰もいない大会議場でペットのネズミと一緒に遊んでいました。
そこに美しくオシャレに着飾った魔女たちが次々と入ってきました。
あわてて舞台の下にかくれる「ぼく」。
すると魔女たちは、大魔女の大号令のもと、いっせいにカツラをはずします。
魔女たちは本来はスキンヘッドで、ふだんはカツラをかぶっているので、かゆくてたまらない。頭皮がただれている者もいます。カツラをはずしてみんなスッキリ!
つぎにハイヒールを脱ぎます。魔女の足の指はないということで、ハイヒールを脱いでくつろぎます。
そして長い手袋をはずします。魔女の手の指は3本しかないということで、ふだんはひと目を気にして手袋をしています。
手の表現問題
(ウィキペディアより)
大魔女の手先の指は3本しかない設定となっているが、この事が手の先天異常である「欠指症」を連想させ、「同じような手を持つ子どもを含め、腕や手足に違いを持つ人たちの気持ちを傷つける」として、本作公開後に身体障害者や国際パラリンピック委員会などから批判を受けた。それらを受け、ワーナー・ブラザースは直ちに謝罪声明を発表し、「原作に描かれている『猫のような鋭い爪』を、この映画のために再解釈してデザインしたが、決して身体的障害を持つ人を表現するつもりではなかった」と釈明した。
という問題が起きていたのですね。
魔女とは
このお話では、魔女=怖い者・悪者
に描かれています。
そして世界中の魔女をこらしめる、撲滅することが「ぼく」の生涯の目標となり、世界中で広めようと活動します。
まるで「魔女狩り」を連想します。
人間も良い行ないを心がける人間もいれば、悪いことをしても平気な人間もいます。
ということを考えると「魔女」も良い行ないを心がける魔女もいれば、悪いことをする魔女もいる
と考えられるかと思います。
そう考えると中世の魔女狩りも「魔女っぽい」というだけで一斉に処罰したのはどうかと思いますが、この作品の根底に流れる考え方はそれです。
エンターテイメントとしておもしろおかしく観れば楽しいのですが、こういうことを考えると「なんだかな~」と思ってしまう映画でした。
ねずみはもどらない?!
こういったお話はラストに人間に戻るものですが、戻らないのですね・・・。
映画
『魔女がいっぱい』
2020年12月4日
日本公開