画家・堀文子〈天寿100歳の珠玉のエッセイ本〉3冊
「99歳、ひとりを生きる。ケタ外れの好奇心で(三笠書房2017)」
「私流に現在を生きる(中央公論新社2015)」
「群れない、慣れない、頼らない(別冊太陽/平凡社2018)」
『徹子の部屋』を何気なく観ていたとき、あるゲストの回で画面中央のバックの絵に触れるシーンがありました。
「徹子さん、あの絵」
「そう、堀さんの」
という一瞬の会話でしたが、
はっ
としました。
確かクリムトのあの有名な絵だったはずです。そして私の記憶ではクリムトが大好きなゲストのときにその絵を紹介していたので、とのときから「徹子さんはクリムトが好きなんだな~」とうっすらと記憶しておりました。それはもう何年も前の話かと思いますが、それ以来ずっと何年もあの絵はクリムトだと思い込んでいました。
しかし改めて見てみますと、確かにクリムトのあの絵ではありません。配色が似ていたので気づかなかったのかもしれません。金色のバックに青い色は使っていますが、まるで徹子さんのよう。とても素敵な絵です。
調べてみるとすぐに判明しました。
『徹子の部屋』のバックの絵は堀文子さんの徹子さんをモデルに描かれた“アフガンの王女”でした。よく見てみるとなんだか見たことがある。この方の絵はきっと今までも目にしているに違いないと図書館で堀文子さんの関連本を借りれるだけ借りて見てみました。
やはり!
代表作は「ブルーポピー」。
82歳という高齢で本物の青い芥子の花を見てみたくて、実際に現地ヒマラヤまで1年のうち2週間しか咲かないというそのブルーポピーを見に足を運んだとのこと。
心揺さぶる感動的なものしか描けないのです。
ブルーポピーの“神々しい姿に感動し”、見事なブルーポピーを描きました。
この絵に代表されるように、色のセンスが抜群です。
バックの黄金色と花の青色の組合せ、あえて地面を描かず、緑色の葉っぱを描かないことで花びらの青が引き立ちます。
著書にもありましたが、絵は才能であり、努力ではないと。シビアな物言いですが、そうなのでしょう。
堀文子さんの絵は、色の組合せに抜群の才能を感じます。
それは若い頃から秀でていました。お若い頃は子供向けの本や絵本の挿絵などを数多く描かれていたそうですが、多彩な色使いの、しかも美しいこと。
子どもたちには最高のものを見せなければいけないと、一心不乱に描きました。
この時代の流行なんでしょうかね。いわさきちひろさんを思い出します。
しかし色の配色のセンスが素晴らしいです。
そしてミジンコ。
これも見たことがあります。
ミジンコを描こうと思った人は他にいらっしゃるのでしょうか。
確かに美しい。独特の世界観です。
私はネコシリーズも好きです。
「99歳、ひとりを生きる。ケタ外れの好奇心で」は、「私流に現在を生きる」のエッセイをまとめたような本で、絵画の代表作も掲載されています。気軽に読め、堀文子さんの入門書といってもよいかもしれません。
「私流に現在を生きる」の表紙の絵も素晴らしいです。
「群れない、慣れない、頼らない(別冊太陽/平凡社 2018/10/29)」はふんだんに絵や写真も掲載されていて堀文子さんの一生を知る本となっているかと思います。
今回ブログで御紹介させていただいた3冊以外にもたくさんの著書があります。やはり図書館はありがたいです。
画家は絵で自己表現をするものですが、エッセイがあると絵の深みが増しますね。
繊細な感受性を持つ、強い、自由な精神の女性が書き残されたエッセイに勇気づけられました。