池井戸潤・映画『空飛ぶタイヤ』人気俳優勢揃いが功を奏する

池井戸潤氏 の原作にサザンの主題歌、人気俳優勢揃い。
そろえてきたな～と思いましたが、それが功を奏していました。

原作は読み始めたら止まらないほどおもしろく、最後は勧善懲悪でスカッとします。
しかし長編小説を２時間に凝縮した映画では、細かく画面が切り替わりますし、登場人物も多いので、最初は誰が悪で誰が味方なのか、集中して見ていないとわからなくなるかもしれません。

なので決して寝不足でいかないほうが良いです。
水分のとりすぎで途中でトイレに立ってしまうともったいないです。
（私が行った劇場では何人かいました）

役者は「見てみたい人」ばかりだったので、楽しみでもありましたし、期待以上の演技をして魅せてくれました。

またよくお見かけする人気俳優ばかりを、世間のイメージでキャスティングしていますので、役が覚えやすいという効果があり、ちょっと複雑なストーリーを役者の顔でわかりやすくしてくれてます。

たとえば、岸部一徳さんはクセのあるトップ。
寺脇康文さんは髪型こそ変えていましたが、TV相棒のイメージどおりの正義感あふれる刑事役。
深田恭子さんは夫を心配する優しくかわいい妻役。
ムロツヨシさんはお調子者の情報通で話のわかるいい人。
こんな感じです。

音楽は必要最小限におさえて、印象に残るようなフレーズはありません。
それが映画の最後にサザンの曲を引き立てました。
予告で聞いたときは、原作のイメージとサザンの曲が合わない気がしたのですが、さすが、とても合っていて耳に残りました。

長瀬智也さんは、池袋ウエスト～やタイガー＆ドラゴンなどのやんちゃなイメージから一変、社員をおもんばかる熱血中小企業二代目社長役を見事に演じていました。

大企業のエリートサラリーマン役のディーン・フジオカさんとエリート銀行員役の高橋一生さんは、一見クールに演じながらも、顔の表情で細やかな感情を演じていてすごく伝わってきました。

トラックが事故を起こしてタイヤがはずれる場面は、映像で表現されると、タイヤがころがるスピード感に迫力があり、ゾゾっとしました。