映画『三島由紀夫vs東大全共闘』迫力ある映像に釘付け!
公開初日の一番早い時間帯でしたが、稀にみる人の入りで驚きました。
年齢層は高めでした。
1960年代頃に大学生だった方たちは、現在70歳代くらい。
そういった人たちはこの映画の公開をどういう思いで迎えているでしょうか。
懐かしい思いがするのでしょうか。
目次
練られた構成
映画は1960年代に何が起こったのかをニュース映像のように映し出しながら時代を追って説明してくれています。
ですから、学生運動などまったくわからない人でも、この映画を観ると理解できるといった、わかりやすい流れになっています。
三島由紀夫vs東大全共闘の学生の討論も4部構成に分けてドラマチックに展開していきます。
解説コメント
また三島由紀夫の演説をただ流すだけでなく、かかわりのある人たちのコメントを随所に散りばめています。
そのコメントは当時のことを振り返った発言であったり、感想であったりです。
それが解説者のような役割にもなっていて、映画を観ている方としては、一段とわかりやすく理解を深める手助けになっています。
というのも、三島由紀夫と東大生の討論の内容が一筋縄ではいかない、難しい内容だからです。
映画終了後、私の前を歩いていた御夫婦も
「いや~、難しかったね」
と言っていました。
中でも作家の平野啓一郎さんのコメントは的を得ている上にわかりやすいと感じました。
器の大きさを感じる
三島由紀夫は学生をやり込めようとか、やっつけようといった意識はなく、学生の話もよく聞き、肯定もして、学生の心をくすぐるかのような褒め言葉も盛り込み、会場を笑いで沸かせ、自身もときには笑い、挑発にも乗らず、堂々と学生と向き合っていて器の大きさを感じました。
だからこそ、割腹自決はもったいない。
瀬戸内寂聴さんも
「もったいない」
と言っていましたが、本当にそう思います。
ネットでみた映像だったか、学生のひとりが
「(三島由紀夫の小説は)ちっともおもしろいと思ったことがない。まったくわからない」
というような挑発的なことを言っていたのを見て、どんな回答をするのか観てみたかったのですが、映画では映されていなかったです。
映画を観た感じで考えると、きっと否定されたからといって怒り出すことはしていないかと思います。この映像の続きはあるはずなのでいつか知ることができたらラッキーです。
挑発
挑発と言えば、元東大全共闘の芥さん。
赤ちゃんを壇上で抱っこしながら討論に参加された方。
終始挑発的でしたね。
最後は「退屈だから帰るわ」といって立ち去る。
あの赤ちゃんはほほえましかったですね。
頭の回転が早すぎて口も達者です。
“随一の論客”
というのもうなづけます。
学生運動はまったく理解できないですが
三島由紀夫が盾の会を作ったのも理解できない。
なにか小説の世界を観ているようです。
が、こういった史実はあった、だから映像も残っている。
不思議な感覚です。