映画『天才作家の妻 -40年目の真実』最後まで一気に!

なかなかの問題作です。映画を観る側の年齢、性別によっても受け止め方が相当違うと思います。

予告で「妻は夫のゴーストライターだった?!」と知らせてくれていたので、それを承知で鑑賞しました。

しかし、こういう内容だったとは!と私は一気に最後まで引き込まれました。

 

主要登場人物

ジョセフ:
現代文学の巨匠・アメリカの作家でノーベル文学賞受賞

ジョーン:
ジョセフの妻

記者:
ナサニエル

 

冒頭のあらすじ

ジョセフ宅に一本の電話が。それはノーベル文学賞受賞の連絡でした。妻と二人で喜び合います。身内でパーティも開いてもらい、その後、ストックホルムの授賞式に息子も連れ向かいました。

ジョセフは回りから
「奥さんは(小説を)書かないの?」
と問いかけられますが

「書かない」
「妻に小説は書けんよ」
ときっぱり否定します。

それを複雑な表情で同意も否定もせずにやりすごすジョーン。

 

 

実はジョーンは女学生時代に小説を書いていました。それを添削、批評する立ち場だったのがジョセフでした。学生と先生の関係でしょう。

ある日卒業生だという女性がやってきて
「女性が小説家として食べていくことはできない。本を出版することが出来たとしてもせいぜい学校の書庫にならぶだけ」
と暗に釘を刺します。

いわく「小説家として食べていけるかどうかは出版社のさじ加減ひとつ。売りだそうと決めた新人を出版社が決めて売り出すから売れる。それは男性に限ったことで女性は選ばれない。だから女性が作家として食べていけることはない」
と。

 

 

ジョセフにはすでに奥さんと子どもがいましたが、のちに別れてジョーンと結婚します。

そしてジョーンはジョセフの妻でありゴーストライターとして生きる道を選択しました。

ジョセフも自分よりもジョーンのほうが小説家としての才能があることを認めざるを得なかったのでしょう。結婚後はジョーンの執筆の手伝いをします。

 

 

 

ストックホルムに到着してから授賞式までの数日間に授賞式のリハーサルがありました。リハーサルには夫婦で行くものだと思っていたジョセフでしたが、妻・ジョーンは「観光でもしながらぶらぶらしたい」というので、ジョセフはひとりでリハーサルに参加しました。

ひとりですごそうと思っていたジョーンでしたが、記者ナサニエルに誘われ、軽く飲み、インタビューを受けます。

記者ナサニエルはジョーンがかつて小説を書いていたことを知っていました。しかも作品を読んでいて賞賛します。また「夫ジョセフの昔の作品も読んだがまるで駄作だ」と酷評します。

しかしジョセフはジョーンと結婚してから別人のように良い作品を次々と発表している。それは昔のジョーンの作品を彷彿とさせるようなものばかり。

そこでナサニエルは仮説を立てたといいます。

「ジョセフが発表している作品は実はジョーンが書いているのではないか。真実をこの機会に発表しませんか」と。

ジョーンは記者ナサニエルに「そんなことはない!」と激怒します。

 

 

 

ナサニエルの発言を強く否定してホテルにもどるジョーン。

その頃、夫ジョセフは若い女性をくどいていました。ジョセフは若い頃から幾度となく浮気を繰り返す常習犯でした。

それもジョーンの我慢の種でした。

帰ってきたジョーンから酒の匂いがしたことで、「飲んできたのか」と言い出すジョセフ。二人のケンカが始まります。

すると部屋の電話が鳴りました。娘が無事に出産したとの連絡でした。二人のケンカは一時中断。

 

 

 

ジョーンはジョセフに「ノーベル賞のスピーチでは糟糠の妻といったふうに私のことは言わないで」と頼みます。ジョセフは「妻のことを言わないと慢心していてイヤなヤツだと思われるから誰だって妻の功績をたたえる言葉を述べるんだ。いいじゃないか」と不思議そうに否定します。

「それでもイヤなものはイヤ」と念を押すジョーン。

授賞式の当日、ジョセフはスピーチで「自分が小説に専念できたのは妻のおかげだ」といった内容を話します。さらに会場にいたジョーンにピンスポットが当てられ拍手喝采となります。

 

 

 

するとジョーンは急に「帰る」と言い出して会場を出ます。ジョセフは慌ててひきとめます。急いで歩いていたジョーンは給仕とぶつかり水をドレスにかけられてしまいます。

ジョセフは「ホテルでドレスを着替えてまた戻ってこよう」とジョーンをなだめます。

ホテルに戻ったジョーンは「離婚する」と言い出して荷物をまとめ始めます。
わけがわからないと混乱するジョセフはジョーンをなだめるのに必死です。

すると大変がことが起こってしまいます!!

 

疑問

ノーベル賞ってチョロい?!

映画の進行上、最も権威のある文学賞といったらノーベル文学賞ということで設定したのだと思われますが、ある意味ノーベル賞に対して失礼のような気がします。フィクションということで許されているのでしょうか。

記者が見抜いた真相はノーベル文学賞の選考する人たちは気がつかないものなの?と思ってしまいます。

 

 

ジョセフと結婚した理由が不明

夫婦げんかのとき、夫ジョセフが
「じゃあなぜ自分と結婚したんだ!」と
ジョーンに問いかけます。

するとジョーンは
「わからない」
と言います。

ここが複雑。

夫にしてみたら、自分のことを愛してくれて結婚してくれたんだと思ってしまうのは当然。

そんな質問をしてしまうのもよくわかります。

妻の「わからない」の真相は

本当にわからなくなってしまったのか

それとも“本当のことは言えない”ということなのか。

しかしここがこの映画の肝!

なぜこのような人生を選んだのか!

ジョーンの気持ちを想像する課題をつきつけられます。

 

 

両名で発表することは出来なかったのか

今では両名で発表している著者も見かけます。

いくら小説の発想がジョセフだからといって実際執筆していたのはジョーン。1日8時間も書いていたというのですから、百歩譲って両名に出来なかったのでしょうかね。

夫婦げんかのときジョセフは自分の発想が良かったから、よい小説になったんだといいます。ジョーンが執筆に集中できるように子どもの面倒も見てあげた、家事もしてあげた、だからノーベル賞を受賞するのは当然だと言い切ります。

本気で思っているとしたら馬鹿なのかと思ってしまいます。

 

 

ラスト

ラストはジョーンが
「帰ったら(本当のことをすべて?)話すわ」
と言って終わります。

いったいどこまで話すのか。

どう決着をつけるのか鑑賞者側にゆだねます。

映画
『天才作家の妻 -40年目の真実』
2019年1月日本公開

スウェーデン・イギリス・アメリカ合衆国の合作映画。

https://ten-tsuma.jp/

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