原田マハ『旅屋おかえり』〈あらすじ&感想〉
原田マハさんの小説『旅屋おかえり』がNHK_BSでドラマ化されます。
小説を読んだときから「映像で見たい!」と思わせる内容でした。
それは旅の舞台が、秋田の名所・角館の桜や田沢湖近くの秘湯、昔ながらの街並みが美しい愛媛の内子だからです。
ストーリーは順調とはいえず、どうなってしまうんだろうとハラハラしますが、最後はハッピーエンドで終わってホッコリします。
美しい景色と心あたたまる人情味あふれるストーリーに期待せずにはいられません!
登場人物(キャスト)
★主人公
丘えりか(芸名)
岡林恵理子(本名):
タレント
演)安藤サクラ
のんの:
事務所の経理事務員
演)美保純
萬 鉄壁:
事務所の社長
演)武田鉄矢
玉田大志:
秋田県玉肌温泉の主人
演)眞島秀和
あらすじ(原作)
丘えりかは北海道の最北端、礼文島の出身。
高校の修学旅行で東京へ来たとき、芸能事務所社長の萬 鉄壁(よろず てっぺき)にスカウトされた。
高校卒業後は萬の事務所のタレントとして活動してきたが、鳴かず飛ばずで30歳をすぎてしまった。
今は「ちょびっ旅」という全国を旅してレポートする番組のレギュラーを持っているのみ。しかも事務所の所属タレントは丘えりか1人のみになってしまったため、この「ちょびっ旅」がただひとつの事務所の収入源となっていた。
しかし、ロケ中に番組スポンサーの「江戸ソース」をよかれと思って連呼したところ視聴者には「エゾソース」と聞こえてしまうということがあった。「エゾソース」は「江戸ソース」のライバル社。激怒した江戸ソースはスポンサーを降りてしまう。
「ちょびっ旅」のスポンサーは「江戸ソース」の1社のみだったので、番組は終了してしまった。
ひしがれる丘えりかだったが、あるファンから心温まる手紙をもらった。感動して読みふけっていると電車から降り損ねそうになり、あわてて出たところ、全財産が入ったバッグを電車に置き忘れてしまった。
更に落ち込んでいると、数日後、丘えりかのバッグを拾ったというご婦人が事務所まで訪ねてきた。
そのご婦人はバッグを届けるだけでなく、ある依頼をしてきた。
それは、
「難病のため旅をすることが出来なくなってしまった娘のために、代わりに旅をしてきてほしい」
というものだった。
ご婦人は華道「鵜野流」の四代目家元の妻。ひとり娘には幼い頃から一流の教育を受けさせてきた。
娘の病気が発症する直前に、家族旅行で桜の名所に行った。その翌春のニューヨークでの大きな発表会のテーマだったこともあり、満開のしだれ桜を見に行ったのだ。
ところが天候に恵まれず、散々な雨だった。
花が散ったあとの空っぽの枝を見ることになってしまった家元は機嫌が悪くなり
「お前は、こんなものを見せるために、私をここへ連れてきたのか?」
と言い放つ。
その一ヶ月後、娘はALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断され入院。
人工呼吸器をつければ外へも出かけられるが、二十四時間介護が必要になる。
忙しい家族を巻き込みたくない、自分がいなくなりさえすれば、親に苦しい思いをさせなくてもすむのではないかと生きる希望を失っている娘。
旅行が大好きだった娘の代わりに、昔家族で出かけていった場所をもう一度訪ね変わらない風景を見てきてもらえないか、そして娘に語りかけてもらえないか、きっとまた家族で出かけられると。
依頼を受けた丘えりかは、まずは悪天候で美しい姿を見ることができなかったしだれ桜を見に、秋田県角館に行くことになった。
角館の武家屋敷エリアへ向かい、途中で比内地鶏の親子丼のランチを食べ、武家屋敷と資料館、しだれ桜を見る。おやつには有名店「くら吉」で生あんもろこしを戴き、伝統の桜の樺細工や醤油を眺める。最後は桜並木が名所の檜木内川の川堤で満開の桜をめでる。
日が傾く前に、角館駅から田沢湖線に乗って田沢湖駅へ。レンタカーで秘湯・玉肌温泉へ行きかけ流し温泉の宿で地酒をいただき、温泉に入る。
2日目は田沢湖へ向かい、途中の「山のはちみつ屋」ではちみつシュークリームを食べ、八津・鎌足のカタクリの花の群生地を見て東京へ帰る。
というスケジュールだ。
超絶晴れ女を自負する丘えりは、自分こそ青空の下、満開の桜を見ることができると疑いもせずに新幹線に乗り込んだ。
ところが、下り立った角館の駅は、一面雨の中にあった。
「旅屋おかえり」
唯一の丘えりのレギュラーテレビ番組であり、事務所の収入源だった「ちょびっ旅」が終了してしまったため、萬社長は
旅代理人「旅屋おかえり」
を開業します。
旅行代理店はあっても旅代理人というサービス業は聞いたことがありませんね。
いったいこの商売は成り立つのでしょうか?
「おかえり」と「丘えり」はかけていますね♪
テレビドラマ
NHK BSプレミアム
『旅屋おかえり』
2022年1月放送予定原作:原田マハ
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