下重暁子著『極上の孤独』享年105歳小林ハルさんがすごい!
『孤独』という言葉をどうとらえるか。
言葉の意味は時代によって変化するといいますが、『孤独』とは“ただひとりでいる”という意味だけではなく、“寂しいと感じる心理状態も含まれる”といくつかの辞書では示しています。(著者は「孤独」と「寂しさ」は違うと述べていますが)
『極上』とは、“きわめて上等なこと・この上なくすばらしいこと”ということなので、「極上の孤独」のタイトルをストレートにとらえると、
〈この上なくすばらしいひとりぼっちの寂しい状態〉
ということになるでしょうか。
新書の本題は、内容とタイトルと必ずしも一致していないことも多々あります。
しかし、著者のような有名人が、「孤独」をテーマには、本を出されたことで「孤独」を考えるきっかけにもなるかと思います。
また孤独をテーマに1冊ぶんもの本を書けるということが、著者がいかに孤独にこだわっているかを知ることができます。
人は孤独が平気なタイプと苦手なタイプに分かれるかと思います。著者は平気なタイプなのでしょう。それで提言しているのだと思いますが、苦手な人が無理に「孤独にならなくては」と思わなくてもいいと思います。
しかし日頃から「ひとりになってみたい」と感じている人は、本の通りに実行してみたら良いかと思います。
本書には「いかに孤独がすばらしいものか」が書かれていますから。
最後の越後瞽女・小林ハルさんについては、壮絶な人生だったと想像します。生まれつきほとんど目が見えない状態で昔の時代にあまり裕福ではない家に生まれ親も厳しい人となったら、どんなにか孤独を感じでしょうか。(この場合の孤独は、寂しい思いも含まれます)
「いい人と歩けば祭り、悪い人と歩けば修行」
というハルさんの言葉は、前向きに生きようとする姿勢がうかがえます。
途中で自らの命を絶つことなく、100歳すぎまで生き抜いたのは立派です。
晩年は施設に入ることができて良かったです。
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