『夏の終わり』ノスタルジックな三角関係恋愛物語
瀬戸内寂聴原作。作者自身の体験をもとに描いた恋愛映画です。
瀬戸内さんは若い頃、望まない結婚をさせられ、愛せない夫と幼い娘を置いて、年下の不倫相手の元にはしった。
しかし更にまた別の男性を愛し、三角関係に悩んだ。
と著書でよく見かけるエピソードがあります。
原作はそれをそのまま小説にしたような感じがします。
50年以上の前の時代、こういったスキャンダルは、小説の格好のネタだったのかもしれません。
小説家は自分をさらけだしてなんぼという稼業だ
とおっしゃっている作家さんもいます。
赤裸々に綴られたエピソードは
ああ、こんなふうに自分の心に従って人を愛し、悩み生きてきたのね。
と恋愛に悩む女性の苦悩を身近に感じます。
キャスト
〈主人公〉
染色家
相澤知子:
満島ひかり
元恋人
年下
木下涼太:
綾野剛
恋人
妻子持ち
知子の家に通ってくる
作家
古杉慎吾:
小林薫
あらすじ
映画はこの3人が主な登場人物。
小杉慎吾(演・小林薫)は妻子持ちで家は別にあるが、知子(演・満島ひかり)の家に通い、泊まってもいく。
知子の家に仕事道具、資料、机なども構えていて、ここで一日中すごして仕事もする。
妻には知子の存在を知らせていて公認の仲。
といっても妻と知子は会ったことはない。
涼太(演・綾野剛)は、知子とは長い付き合い。知子が前夫と別れるきっかけになった男性だ。大騒ぎして夫と別れて駆け落ち同然で一緒になったのに、半年ほどで破局。涼太は南の島で他の女性と結婚した。
しかし涼太も結婚に破れ上京。知子と再会したときすでに知子のそばには慎吾がいた。が、涼太の関係も再開した。
知子がソビエトの観光旅行から横浜港へ帰ってきたときは、2人とも出迎えにきた。しかも朝早いので寝坊しないようにと2人で前日から横浜に泊まり込みだという。なんともモテモテの知子である。
涼太と慎吾はときどき誘い合って飲む仲になっていた。
慎吾は涼太のことを聞かされていた。昔の恋人だと。現在のことは知られたくないと知子は思っている。
“慎吾に涼太のことが発覚する瞬間を想像すると息が止りそうに恐ろしかった”
涼太はこのままの関係を続ける知子にいらだちを感じる。
涼太は知子が慎吾と別れて自分と一緒になってくれることを望んでいるが、知子はそんな気はないようだ。が、自分との関係も断たない。
慎吾も知子と涼太のことをわかっているような口ぶりをするが、ずるずると8年間もこの関係を続けている。
映画
映画は
昭和時代の家づくりと街並みがノスタルジーな雰囲気をかもしだしています。
小林薫さんのひょうひょうとした演技。
綾野剛さんの頭をかきむしるような、感情をぶつけるはげしい演技。
「どっちも好きなんだからしょうがないじゃん」
とでも言っているような主人公・知子を演じる満島ひかりさん。
こういう関係もアリなんだな~と思わざるを得ないといった感じでした。
映画
『夏の終り』
2013年8月31日公開
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