中野京子著『オペラでたのしむ名作文学』オペラ初心者にこそ!

本書はオペラの良さを十分にわかって楽しんでいる人はもちろん、オペラに興味はあるけれどイマイチわからないといった人におすすめの一書です!

 

楽しむにはある程度の知識が必要

オペラというと、取っ付きにくい、解りにくい、退屈で眠くなってしまうといったイメージをもつ人が多いかと思いますが、ある程度知識をもってみることが必要な分野のひとつとのことです。たとえていうならば、マージャン将棋もそうですよね。ルールがわからないとちんぷんかんぷん。

 

マンガやファミコンのようにたいして苦労せずに誰でもすぐに楽しめるものもあります。トランプゲームもその場ですぐに理解できるルールが多いですよね。

しかしオペラを楽しむには、最初にいくらかの知識は必要とのことです。

”もしオペラがほんとうにつまらないものだったら何世紀にもわたって世界中で上演され続けられるわけがないですものね。

 

 

なぜオペラはセリフがなく歌ばかりなのか

それが約束ごとボクシングにたとえると、殴り合いばかりでイヤだから途中で口げんかをはさんでほしいといっているようなこと”

わかりやすいたとえですね。

 

歌うという行為自体は自然なことですが、歌で会話するというのは、日常からかけ離れたこと。そのため、神話や伝説に出てくる想像上の人物ならばセリフを歌い上げても違和感なく感じるだろうということで、始めは歴史上の出来事などが台本になることが多かったそうです。

 

 

 

ロックライブとの違い

”ロックライブは参加する喜びがあり一緒に楽しむ。オペラは自分も一緒に歌ったり手拍子をとりたいと思う人はいなく、むしろ歌手の声やオーケストラの小さな音ひとつも聞きもらしたくない。なるべく静かにしているのがエチケット”

これは、ミュージカルもそうですね。舞台がなまものなので、1舞台1舞台まったく同じということはない。歌手によっても表現が違うし、同じ歌手でも昨日と今日では違う。なので、少しでも見逃したくないと思ってしまいます。ガサゴソとコンビニの袋の音を出すのもNGです。

 

 

音楽と物語、どちらも重要

”お話自体がつまらなければ、どれほど音楽が美しくとも感動はうすまってします。逆にどれほど素晴らしい物語でも音楽に力がなければやっぱり十分楽しめない”

 

そして、やはり歌手の歌唱力によって舞台の出来不出来が決まってしまいます。それを楽しむのも醍醐味です。

 

本書は児童文学のコーナーに置かれていることが多いと思いますが、大人でも十分に楽しめる本です。