映画『凪待ち』白石和彌監督×香取慎吾〈謎が多くモヤモヤする〉
脚本が秋田出身の方で県内の新聞にコラムを載せていたのを読んだことがあります。調べてみると過去に堺雅人さん主演の“クライマーズ・ハイ”の脚本を共同執筆していた方でした。この映画は劇場で観ましたが、素晴らしかったです。なんといっても原作が素晴らしいのですが、映画は映画で良かったです。
監督は日本アカデミー賞でよくおみかけする白石和彌監督。私は少し前に“麻雀放浪記2020”を観ましたが、独特の世界観がおもしろく感じました。“孤狼の血”“凶悪”は高く評価されていて受賞されていますが、私は観ないと思います。
ネットのレビューはかなりの高評価。これは期待が高まります。
舞台を宮城県にしているので撮影時の宮城の様子を少し観ることができなんともいえない気持ちになりました。
以下、ネタばれがあります。
映画は謎を残した作りになっています。
1番の謎は「なぜあんなに主人公・木野本郁男(香取慎吾)はまわりの人によくされるのか」ということ。木野本の魅力がまったくわからない。
次に「小野寺修司(リリー・フランキー)の殺害動機・なぜ殺したのか」がわからない。殺害後、普通に暮らすことができる心理がわからないし、いきなり逮捕することで観る人を驚かせようというだけのことなのか。
最初、ぶっきらぼうで無愛想だった亜弓の父親。もともとそういう気質ということで描かれていたのに、後半は急にものわかりのよい、人当たりの良い人に変化している。
亜弓の父親と木野本はそんなに交流がなかったのに、急に仲良くなる。かたくなに売らなかった船を売って大金を作って木野本に差し出すのがわからない。なにかきっかけがあったなら理解できるがとくに感じられない。
こんな感じで謎が多く、納得できないストーリーになっています。映画を観る人がそれぞれ考えてといった映画なのでしょうか。
映画のストーリーの作り方はいろいろあって、この映画はどう作ったのかは、制作秘話でも発表されないかぎりわかりません。オリジナルストーリーのようですが、監督の原案をもとに作ったのか、脚本家の本が先だったとかわからないので、ストーリーが納得できないからといって脚本がどうのとはいえないと思います。ただ、モヤモヤっとした気持ちが残りました。
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