『ミッドサマー』現代のホラー・北欧夏至大祝祭のカルト教の恐怖

映画館で上映されている当時から評価が二分されている映画でした。絶賛している人もあれば酷評している人もいる、ホラーじゃないという人もいれば新しいホラーだという人もいる、そんなふうに極端に分かれていました。

鑑賞してみて、評価の振り幅が大きいことに納得。

 

大きな音響と心理をあおる音楽で今までにないグロテスクな映像を映し出して、観る人をビックリさせ、驚きと恐怖を感じるといったホラーではないです。

現代でも非道なカルト宗教を実践している閉ざされた村が存在していて、そこに知らずに紛れ込んでしまい、犠牲になってしまうという恐怖です。

 

 

カルト宗教となると、なにが起こるかわからない。非道であったとしてもその集団の中では正義として完結している

毒草をつかって人を惑わす

そこに目をつけ、題材に選んだのは当たりだったと思います。

 

 

ストーリーはよく作り込まれていて一貫しています。

残酷非道な場面もあり「こんなことはおかしい」と嫌気を感じる人もいるかと思いますが、それも作り手側の狙いかもしれません。

 

 

好奇心を持って生きることは人生を楽しむのに必要なこともありますが、ほどほどにしないといけない

また何事も慎重に行動しなければ

大変な目に遭ってしまう

と改めて思いました。

 

 

ストーリー

アメリカの大学生の仲間のひとりがスウェーデン出身で、夏休みに帰郷するのに合わせて、仲間と共に出身のホルガ村へ向かう。

その村は山に囲まれた美しい草原で、あちこちに牛もいる、牧歌的な風景。

ちょうど夏は白夜で夜になっても昼のように明るい季節。

村の人は男女とも夏至祭りのために自分たちで作るという独創的な白い衣装に包まれて、親切に迎え入れてくれた。

90年に一度という大祝祭が始まると、独特な儀式にとまどう大学生たち。

驚くような非道な儀式もあり、帰ろうとする者もあらわれたが、とどめられる。

ホルガ村はカルト宗教の閉鎖的な村だった。

そしてラストは生け贄の儀式に巻き込まれてしまう。

 

 

疑問

スウェーデンまで飛行機で行き、車で4時間、更にかなり歩いて到着したホルガ村は、一度到着したらもう逃げられなかったんでしょうかね。

白夜だから暗いうちに人目を盗んでというのは難しい。

でも堂々と帰ると言うと、波乱が起こりそうなので、やっぱり人目を盗んで逃げ出して、見つかってしまったら、なんとかうまい口実を並べて。

それには、道をちゃんと覚えておくしかないでしょうね。

 

 

 

ホルガ村出身の大学生、ペレはよっぽど人の心を掴むのが得意だったのでしょうね。

仲間に信頼されて疑いもされなかったなんて。

 

 

 

論文のテーマに選ぶくらいなので、行く前にその村がどういうところなのが徹底的に調べたんでしょうけど、詳しいことはわからなかった、だから論文のために行って取材するしかなかった。

でも今の世の中、調べてもわからないようなところには行かないことですね。

 

 

 

ホルガ村の長老は儀式で自らの命を差し出すことを強要させられます。それは命の循環のために必要なことで、当たり前のこと

と理屈づけられています。

ということは72歳までしか生きられないのですから90年に一度のこの大祝祭は誰も経験したことがないということ。

なのに、スムーズにとどこおりなく儀式が行なわれていったのは、出来すぎ。

長い年月の間にはこの儀式に疑問を持つ者も出てくるでしょうし、皆初めて行なうことですから、とまどったり、うまくいかないということもあるのではと思ってしまいます。

 

 

こういった細かい矛盾は見て見ぬふりをして、登場人物に自分に置き換えて鑑賞したならば、現代のホラー映画だと感じるのではないでしょうか。

映画
『ミッドサマー』
2020年2月公開

監督・脚本:アリ・アスター

 

 

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