映画『ミッドナイトスワン』あらすじ&感想〈衝撃的な内容!〉

第44回日本アカデミー賞で最優秀男優賞と最優秀作品賞を受賞したときの草彅剛さんの驚いた表情がいまでも目に浮かびます。

欲のない勝利とでもいいましょうか。まったく予期しなかった受賞といった感じでステージにあがってきました。まわりも予想外といった雰囲気でした。

が、ある意味当然の受賞だったといえるでしょう。

時代もありますし、役者さんたちの渾身の素晴らしい演技。

ストーリーもよく出来ています。

場面切り替えも、うまい。

内容は衝撃的でした!

 

 

ストーリー

新宿でホステスとして働くナギサ(演・草彅剛)。トランスジェンダーで悩んでいる。男性だが心は女性なので、キレイに化粧をして髪をのばしてカールしスカートをはき、女性の格好をして暮らしている。

しかし見た目は男性が女装しているようにどうしても見えてしまう。

そんな中実家の母から電話があり「母親がネグレストで、姪っ子のイチカが保護された。しばらくイチカの面倒をみてほしい」という。

 

 

しばらくしてイチカが広島から上京してきた。狭いアパートの1室に一緒に暮らすことになった。イチカは高校生だ。転校の手続きに、イチカとナギサが学校へ行くと先生たちはナギサの格好をみて戸惑いを隠せない。

ナギサはイチカに対して当たりがつよく「帰ってくるまでに掃除しておきな」「開いているところに寝な」と冷たく言い放つ。

 

 

心に傷をもつイチカは自分の腕を噛むクセがあった。心を閉ざし、いつもふてくされている顔をしている。しかし道の途中でバレエ教室をみつけ、中をのぞき見学しているところをバレエの先生にみつかり、中へ誘われる。「見学でもいいのよ」と。

体験入学をしてみたイチカは先生より「バレエやってたの」と言われるほど筋がよかった。

学校へ行くとバレエ教室に通っている子も同じ学校だった。リンという名前の女の子だ。二人は仲良くなる。

 

 

 

リンは金持ちの娘だった。しかし満たされない気持ちを持っていた。充分なお小遣いをもらっているにもかかわらず、写真撮影をして小銭を稼いでいた。そこへイチカも誘う。

バレエ教室へ通いたかったイチカは写真撮影会に参加して、自分を撮影してもらい1万円以上のおこづかいを得、バレエ教室にナギサに内緒で通い始めた。

するとめきめきバレエが上達し、リンはヤキモチをやく。写真撮影会で「もっと稼げるよ」と個室で写真を撮らせるコースを紹介する。

すると執拗に要求する客に虫ずが走ったイチカは客に椅子を投げつけ、警察も出動する大騒ぎになった。

そこに呼ばれたナギサはイチカがこういうアルバイトをしていたこと、バレエを習っていたことを初めて知る。

 

激怒するナギサ。

 

 

しかしイチカの心の傷やバレエの才能に気づき、ナギサの心に変化が起きてきた。

イチカにバレエを続けさせたいと、就職まで考え、髪の毛をバッサリ切って男性の身なりで面接を受けた。

面接先では屈辱的なことを言われたが、耐え忍び採用された。

イチカは「頼んだ覚えはない」と反発するが、優しく抱きしめるナギサ。

やがてイチカはバレエコンクールに出場することになった。

ところが舞台の途中でイチカはまったく動かなくなってしまった。母親が会場に来ていた。「おかあさん」と叫ぶイチカ。駆け寄る母親。席を立つナギサ。

イチカの親友のリンは故障をしてバレエ教室をやめていたが、この同じ時間、屋上で両親の友人たちのパーティに参加していたリンは、イチカと同じ振り付けでパーティに集っていた人たちのまわりを踊っていた。イチカとリンクする場面。イチカは踊っている延長で、ジャンプして屋上から身投げした。

 

 

ナギサは海外で手術をする決意をした。からだはすっかり女性に。

そして広島に戻ってしまったイチカを取り戻しに来た。母親に罵声をあびせられる。母親の彼氏と揉み合いになり、胸がはだける。胸は膨らんでいた。一同驚く。

イチカは無事に広島の高校を卒業した。

 

 

そして上京。ナギサのアパートへひとりやってきた。

ところが部屋は荒れ放題。ナギサは股を血で真っ赤に染めて、息もたえだえにベットに横たわっていた。そしてイチカをボランティアの人と間違えて「きょうは遅いじゃない」という。視力がほとんどないようだ。

以前飼っていた金魚はもう泳いでいないのに、「ほら食べな」とエサをあげるナギサ。

「明日海へ連れて行って」

とイチカはナギサに頼まれる。

海岸を歩く二人。

ナギサは朦朧として、イチカに「踊ってほしい」と懇願する。

踊っているうちに目を閉じるナギサ(亡くなったのか?不明)。

イチカは踊りをやめて海の中へどんどん入っていく(死ぬのかと思った)。

しかし・・・。

 

 

男性目線の演出

草彅さん扮するナギサがイチカを連れ戻しに広島の家を訪れたとき、イチカの母の彼氏と揉み合いになって、ナギサの胸がはだけてあらわになるシーン。あのシーンはとっさに胸を隠してほしかった。女性だったらそうすると思うし。強調したいための過剰演出だと感じました。

もし膨らんだ胸を見せたいのであれば、チラ見えがよかった。チラッとみえたけどすばやく隠す演出だったら納得できました。

せっかくキレイな胸をとりつけたのだから、観客にちゃんとみてほしかったんだろうな-と思いました。

ナギサが手術後、股を血で真っ赤にして意識も朦朧とする中、ボランティアの人とイチカを間違えてしまうシーン。あそこもホントだったら、必死に隠そうとするんじゃないかと思います。死ぬ間際だったとしても恥じらいは捨てないのが女性ですから。

そのシーンも観客に見せたい意図がありあり。隠すしぐさがほしかった。男性監督、演出だなーと感じました。

 

 

 キャスト

ナギサ
草彅剛

イチカ
服部樹咲

リン
上野鈴華

リンの母
佐藤江梨子

イチカの母
水川あさみ

バレエ教室の先生
真飛聖

ニューハーフショークラブ
「スイートピー」のママ
:田口トモロヲ

 

スタッフ

監督 :内田英治
脚本 : 内田英治
製作 : CULEN
音楽 : 渋谷慶一郎

 

 

映画
『ミッドナイトスワン』
2020年9月25日公開

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