記憶屋[小説]おもしろい発想&予想外の結末!

自分の記憶に絶対的な自信を持っている人に時々会います。

事実よく覚えているもので感心します。

また私は覚えているのに相手はまったく記憶がないと言われた場合は、寂しい思いをしてしまいます。

逆に

「これ、覚えているでしょう」

と当然のように言われ、覚えていないと

若年性認知症?!

という言葉が頭をよぎり、あせります。

私の場合、今までの人生でとてもツライ思いをしたところがスッポリ記憶が抜けていて、まったく思い出せません。

今生きているのだから、記憶が抜けている間もなにかしら生活していたハズなのですが、なにをどうしてどうやって乗り越えたのか、いくら考えても浮かばす、ただしんどかったな~という感情だけは残っているのです。

不思議なものです。

それを“記憶屋”という都市伝説に置き換える発想は見事だと思いました!

都市伝説

都市伝説という設定にしたのもお見事です。

なぜなら都市伝説そのものがキッチリとした定めはなく、あやふやで流動的。

いい加減なものです。

だからこそ神秘性、不気味さ、怖さが増し、ミステリアスな物語の軸となっていくからです。

主な登場人物

遼一 [主人公・大学生]
真希[幼なじみ・高校生]

杏子[大学の先輩]

高原[弁護士]
外村[高原の家政夫]
七海[高原のファン・高校生]

操(みさお)[女子高生]
要(かなめ)[幼なじみ・男子]
正(ただし)[要の叔父]

都市伝説サイトの仲間
RYO
ドクター
DD
イノキチ
ムーミン
イコ

あらすじ

遼一の大学の先輩、杏子は夜遅く帰るのを徹底して避けていた。

その理由は昔夜道で痴漢に遭ったトラウマからだという。

あるとき杏子から

「記憶屋って知っている?」

と言われた。

遼一は昔祖母から話を聞いたことはあったが、虚を突かれたので返答できなかった。

杏子は記憶屋のことを熱心に調べているようだった。

「記憶屋は忘れたいことがある人の前に現われて忘れたいことだけを忘れさせてくれる。

忘れた人は、忘れさせてもらったことも全部忘れて、悪い思い出は全部なかったのと同じになる」

という。

それは都市伝説のひとつとして、さまざまなウワサがあった。

夕暮れ時、公園の緑色のベンチに座って待っていると現われるとか

男性だという説もあれば女性だという説もある。

遼一は気になって都市伝説関連のサイトをのぞいてみた。

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ある深夜、杏子らしい女性が暗い夜道をひとりで歩いているのを見かけた。

まさかと思い近づいてみると、やはり杏子だった。

遼一は杏子に声をかける。

しかし杏子は

「誰ですか?」

という。

どういうことだ?

遼一はパニックになる。

夜道は絶対に歩けなかった杏子がひとりで歩いている。

それに自分のことを知らないという。

これは

“記憶屋”

に記憶を消されたからなのか?!

記憶屋は実在するのか?!

これで二人目だ。

幼なじみの真希にも記憶がなくなるということがあった。

記憶屋なんてただのウワサだ。

と自分に言い聞かせつつもこの謎の解明にのめり込んでいく遼一だった。

ラスト

予想外の結末でした!

小説『記憶屋』

織守きょうや 著作

2015年10月 刊行

映画も面白かったです♪

映画『記憶屋』

2020年1月17日公開

監督:平川雄一朗

遼一:山田涼介(主演)
真希:芳根京子
杏子:蓮佛美沙子
高原:佐々木蔵之介