井上由美子著『ハラスメントゲーム』時代を象徴した単純明快なお話
ドラマの人気脚本家・井上由美子さんが小説も書くのか?!知らなかったー。
と興味津々で読みました。
主人公の秋津は左遷された設定ではありますが、なにしろ出来すぎなくらい、良い人で仕事もできます。頼りになる妻の存在や、わかりやすい性格の部下の真琴、頼りない三代目社長や、秋津の元部下で今は上司の脇田、その秘書の美那子など人間関係は単純明快。
このメンバーに一話ごとに新たに登場人物が出てきてもめごとを起こし、主人公の秋津が見事に解決していくといったお話の中に、ハラスメントの解説が入ってくる。これがハシリだったら「へー、そんなハラスメントもあるんだー。勉強になるわ~」と思ったでしょうが、今となったらもはや常識。しかしまだ知らない人もいるかも知れないといった点では小説の中でとりあげてもらったのは良かったのかも。
しかし、エピソードがおおげさだし、秋津が出来すぎ。まあ、主役なんだから庶民の顔をしたスーパーマン的な存在が好まれるのでしょうかね。
このまま1話ごとにいろんなハラスメントの事件を秋津が解決していくといったパターンなのかと思っていたら、最後に誘拐事件が発生。この誘拐が安易。犯人もいい人で結局たいしたことなく単純に解決といった末路。この誘拐事件はいらなかったかなぁ。もし入れるんだったら、もっと複雑にしないと読み手としては物足りない。
ハラスメント問題を含んでいるから社会人向けなのかもしれないけれど、小説としてはティーンエイジャー向けな感じのライトさです。読み終わってからネットで情報をみたところ、すでにドラマ化していることがわかりました。ということは、ドラマのノベライズなわけですね。映像ありきの読み物と思えば、表現がおおまかなのも納得。
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