映画『百花』原作あらすじ・感想
息子は父親がだれなのか、何も知らされず母と二人で歩んできた。
息子は成長して結婚。やがて子供が生まれようとしている。
母親はいつのまにか認知症に。
壊れていく母を目の当たりにして葛藤する息子。
二人だからこその深い絆。
親が認知症になっていく過程の子の心境が繊細に描かれています。
息子が中学生のとき、母親は約1年家出をするという突飛なエピソードも挟んだ感動的なラスト。
「色や形は忘れても気持ちは残る」
半分の花火を自分は忘れていた。母は覚えていたのに。
花火が次々と打ち上げる様と、泉が体を震わせるほどの悔いと悲しみ、母との記憶は、映画の一番のクライマックスになるでしょう。
登場人物
葛西 泉:主人公。レコード会社に勤務。
葛西百合子:自宅でピアノの先生をやっていた。葛西 泉の母。68歳。
葛西 香織:泉の妻。職場結婚。
浅葉:泉が中学生の頃、家出をした百合子が一緒に暮らしていた男。
真希:香織と同期入社の同僚。帰国子女で英語が堪能。
太郎:真希の夫。
永井:泉の部下。担当していたミュージックビデオの制作費が予定の倍近い金額になった。泉も責任を取って始末書を書いた。作品はインターネットで話題になり公開後一週間で100万回以上再生された。
あらすじ
物心ついた頃から父がおらず母と二人で二人暮らしだった。泉は結婚して実家を出た。年に一度、年末には必ず実家に帰る。母の誕生日が1月1日でもあるから。
大晦日から元旦にかけて一緒に過ごし、新年の挨拶と母の誕生日を祝う。
この年の年末、実家へ帰ると母がいなかった。探しに出る。公園のブランコに母はいた。一緒に帰る。スーパーに寄って買い物をした。家に帰るとすでに食パンが2斤並んでいた。
「最近やっちゃうのよね」と母。
「昔からそうだよね。今に始まったことじゃないか」と泉。
台所のシンクには汚れた食器やグラスが積み重なっていた。こまめに洗い物をする母にしては珍しい。今思えばそれが最初の気づきだった。
母がスーパーでの万引き容疑で派出所へ連れて行かれ、泉が迎えに行った。警察官からも「病院に連れて行かれた方がいいかもしれません」と言われた。
診断は認知症アルツハイマー型。
同居も考えたが、妻が初産ということもあり、施設を探すことになった。
なかなか「母を入れてもいい」ような施設はみつからなかった。そんな中、唯一「いいかも」と思って入居待ちをしていた施設から空きの連絡が入った。
海の近くで景色も評判もいい。なんとかそこに落ち着いた。
母が「半分の花火が見たい」というので探したところ、諏訪湖祭湖上花火大会がそれにあたると思った。
半円の花火が水面に反射する。上半分は現実の光。下半分は湖上の虚像。
母と諏訪湖の花火大会へ出かけた。
花火見物した帰り、母がいなくなった。必死に探す泉。かき氷の屋台の前に母は立っていた。
いちごのかき氷を買って母に渡す。すると「半分の花火が見たい」と言い出す母。
「今見たばっかりだよ」といっても
「違う。これじゃないの」という母。
なにが違うというのか?母が見たいといった半分の花火とはいったい?
それは意外なものだった。
スタッフ
監督:
川村元気
原作:
川村元気
脚本:
平瀬謙太朗 川村元気
音楽:
綱守将平
キャスト
葛西泉:菅田将暉
葛西百合子:原田美枝子
葛西香織:長澤まさみ
浅葉:永瀬正敏
北村有起哉
岡山天音
河合優実
長塚圭史
板谷由夏
神野三鈴
映画
『百花』
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