映画『はなれ瞽女おりん』瞽女の生き様と恋愛
岩下志麻さんが主演、夫の篠田正浩さんが監督を務め、多くの賞を受賞した映画です。
賞歴
第1回日本アカデミー賞
優秀作品賞
優秀監督賞:篠田正浩
優秀脚本賞:長谷部慶次・篠田正浩
最優秀主演女優賞:岩下志麻
優秀助演女優賞:奈良岡朋子
優秀音楽賞:武満徹
最優秀技術賞:宮川一夫<撮影>
第51回キネマ旬報ベスト・テン
日本映画ベスト・テン第3位
主演女優賞:岩下志麻
第32回毎日映画コンクール
日本映画優秀賞
女優演技賞:岩下志麻
撮影賞:宮川一夫
第20回ブルーリボン賞
主演女優賞:岩下志麻
瞽女
瞽女(ごぜ)は現代では馴染みのない言葉です。
盲目の女性で三味線などを演奏しながら唄ったり語ったりする人のことです。
現在でもその芸を継承し続けている人がいます。
全国的に存在は確認されていますが、特に新潟県の長岡と高田の組織が大規模でした。
はなれ瞽女
瞽女は親方の元、チームを作って行動して歩くのですが、そのチームから逸脱した者を「はなれ瞽女」と呼びます。
仕事も宿探しもなんでもひとりでこなさないといけないので大変です。
そのかわり、組織のしがらみはなかったでしょう。
瞽女修行中は必ず親方の元で修行するので、はなれ瞽女はある程度経験を積んだ者といえます。
チームを離れるのは自らという場合と、破門という場合があります。
子どもを宿してしまった瞽女は暗黙のルールとして「はなれ瞽女」になるという決まりがあったそうです。それは育てながら巡業していくことは困難だからです。
映画『はなれ瞽女おりん』は
岩下志麻さん演じるおりんは幼い頃両親を亡くした、生まれながらの盲目の子です。情を感じた薬売りの斉藤さんが、高田の瞽女屋敷まで連れて行ってくれ瞽女の修行を始めたのが6歳です。
そこには奈良岡朋子さん演じる親方と弟子数名が一緒に暮らしていましたが、全員盲目です。これには驚きました。
小林ハルさんを描いた小説でわからなかった
門付け
一列で歩く
といった瞽女の様子が映像でリアルにわかりました。
門付けとは、それぞれの家の玄関や門のところで、瞽女が演奏し、お米などをもらうことでした。
一列で歩くというのは、瞽女が歩くときにちゃんと歩けるように一列になって前の人の着物などをつかんで行列になって歩く姿でした。
寝るときは夜這いから身を守るために足をしばって寝たというエピソードも盛り込んでいました。
また原作にあった「のみシラミわかしためくらおなご」どおり、家に上がらせてもらって演奏するときに、家のものが「瞽女さん、シラミがいますよ」と言った場面もありました。
岩下志麻さん
岩下志麻さんのようにとびきり美しい瞽女だったなら、いろいろと大変だったのではと想像してしまいます。
樹木希林さん
若かりし頃の希林さんが瞽女で登場します。とてもかわいらしいです。
目をひらいた瞽女ですがその演技は「目が見えない」ように見えるのでさすがです。
あらすじ
薬売りの斉藤に連れられ6歳で高田御前の修行の身になったおりん。そこで修行後、わけあってはなれ瞽女になる。
平太郎(原田芳雄)と恋仲になるが、ある日嫉妬した平太郎は相手を殺害してしまう。それからは警察を追われる身に。
そしてとうとう逮捕されることに。おりんも一緒につれて行かれたがのちに釈放される。
冬の美しい景色
日本海の荒々しい海と街の屋根に降り積もる雪の光景は寒々しさと厳しさを映し出しているようです。
瞽女の様子を十分に知ることができる映画でした。
映画『はなれ瞽女おりん』
1977年11月公開
スタッフ
【監督】篠田正浩
【脚本】長谷部慶次・篠田正浩
【音楽】武満徹
キャスト
おりん:岩下志麻
平太郎:原田芳雄
一瀬たま(瞽女):樹木希林
テルヨ(瞽女のおかみ):奈良岡朋子
ツギ子(瞽女):神保共子
カネ子(同):横山リエ
ヤス子(同):宮沢亜古
ミツ子(同):中村恵子
老婆:原泉
おりんの少女時代:嶺川貴子
斉藤(薬売り):浜村純
伊助:加藤嘉
炭焼男:殿山泰司
袴田虎三(憲兵軍曹):小林薫
今西万太郎(刑事):桑山正一
山下(香具師):山谷初男
小杉(香具師):不破万作
野次馬の男:伊達三郎
トンネル工事の男:松山照夫
助太郎:西田敏行
別所彦三郎(香具師):安部徹
初井言榮
三戸部スエ
田中筆子
塚本信夫
阿藤海
矢崎滋
岩下志麻さんの代表作のひとつ
『極道の妻たち』を
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