葉室麟著『散り椿』複雑な人間関係、人間心理の微妙な移ろい
来週2018年9月28日公開の映画「散り椿」の原作本です。
主な登場人物は、
もともと平山道場で若いときに稽古を積んだ同志の4人。その家族を中心にストーリーは進みます。
瓜生新兵衛は、かつての上役だった榊原采女の父親・平蔵の不正を訴えます。
そのせいで、藩を追放されます。
采女と新兵衛と篠
榊原采女は、父・平蔵を通して篠に縁談を申し込んだことがありました。
しかし、ヒステリックな采女の母親に縁談を壊されてしまいます。
その後、篠は新兵衛の妻となりました。
結局、采女は妻をめとらなかったのですが、それは篠を想い続けていたからではないかと回りから思われることになります。新兵衛も篠も采女のことを想っていたのではないかと疑っていました。ですが、実は・・・。
藤吾の上昇志向
坂下藤吾の父親・源之進は無実の罪をきせられ自害してしまいます。えん罪ははらされず、坂下家は家禄を減らされます。藤吾は出世することで家が復興すると思い職務に励みます。そしてどの派閥につくべきか思惑をめぐらせて行動します。
しかし藩を追放された叔父・新兵衛が戻ってきて坂下家に居着くことは、出世の妨げになるのではないかと危惧します。
新兵衛はなぜ戻ってきたのか
妻・篠のたっての願いを遂げるためでした。
平蔵を斬ったのは誰か
采女の父・平蔵は誰に暗殺されたのか。真相は闇に葬られていましたが、斬り口から、平山道場の四天王の内の誰かではないかとのウワサはたっていました。
篠原三右衛門は自分はやっていないと言い、回りは親子である采女であるハズがないと言い、新兵衛か平蔵ではないかと言われておりましたが、新兵衛が帰ってきて自分は違うと言い、残るは平蔵ですが死人に口なしでわからずじまい。
と二転三転しますが、殺害現場に居合わせた篠原三右衛門が実は采女がやったのを見たと言いだします。途中で記憶が喪失してしまった采女は確証がないまま、篠原三右衛門の言葉を信じて苦悩してしまいます。
その真相は・・・。
雷斬り
雷斬りというワザが平蔵を斬った犯人を示すカギとなります。
篠原三右衛門
篠原三右衛門が最後の最後で正体を、真実を明かします。
藩内の抗争
全員が派閥争いに巻き込まれていきます。それぞれが生き残るために尽くされる画策も読みどころです。複雑な人間関係、人間心理の微妙な移ろいも物語のおもしろさとなっています。
現代にはない価値観の中、それぞれの想いが少しずつ変わっていきます。
派手なストーリーではありません。映画ではどのように表現されているのでしょうか、楽しみです。
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