綾野剛主演映画『影裏』感想・原作小説あらすじ
原作の小説は小一時間ほどで読めてしまうほどの長さでした。
小説が原作の映画の場合削ることが多いと思いますが、逆に脚本で話を膨らませていくことが必要かと思っていました。
上映時間は134分と決して短くありません。
しかしそうではなく、セリフのない演技や風景のシーンなどで構成され、ゆったりとした映画になっていました。
原作ではわかりにくかったところが映像になることで理解できた部分もありました。
芥川賞受賞作品
『影裏』
沼田真佑 著作
発行日 2017年7月30日
ラストシーン
ただラストシーンの解釈は難しかったです。
それは
日浅の営業成績のために入らされた今野の互助会のプランが勝手に変更になっていた。
ということ解釈でいいですかね?
チラッと見えただけですが、最初2000円だった料金が、勝手に高い料金のプランにされていた。
それは日浅が勝手にやったことであり、今野は了承していなく、郵便で書類が送られてきたことで初めて知った?
そしてその書類を見た今野は泣くのですが、この涙はなに??
嬉しそうにも見えるし、悔しそうにも見えるし、感動しているようにも見えるし
わかりません。
「勝手に変更しやがって」と思ったのか
「あいつらしい」と思ったのか
「やっぱりこういうやつだった」と思ったのか
「こういう知らせでもいいのでつながってよかった」と思ったのか?
ちょっとスッキリしなかったです。
感想まとめ
という感じで全体的に「自分で考えて」的な映画でした。
なにも最後がスッキリとする映画ばかりではないことは承知しておりますし、こういう映画が好きな人もいると思います。
ワザとこういう作り方をしている狙いもあるかと思います。
綾野剛ファンの方にとっては嬉しいと思えるようなシーンも盛りだくさんかと思います。
岩手県の自然の美しい景色や川釣りの場面は興味深かったです。
ふつうのサラリーマンのふつうの日常の、何気ない生活に起きた東北の震災、日浅という得体のしれない存在に振り回された日々。
そしてまた穏やかな日常が戻ってきた。
そんな映画でした。
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主な登場人物
今野
(綾野剛)
主人公。
転勤で岩手県盛岡市在住の会社員。
釣り好き。
日浅
(松田龍平)
今野と職場が同じで課長だった。
友人。釣り仲間。
突然転職し居場所不明になったが今野と再会し、また姿を消す。
西山
(筒井真理子)
今野と日浅と同じ会社。
パート社員。
和哉
(中村倫也)
今野が盛岡に転勤する前の友人あるいは交際相手。
性別適合手術を受けるとの記述があるので交際相手か。
映画のキャスト紹介では旧友。
日浅征吾
(國村隼)
日浅の父親。
日浅 馨
(安田顕)
日浅の兄。
あらすじ(小説)
(途中まで)
同じ岩手県盛岡市の会社に勤める、今野と日浅はプライベートでも一緒に遊ぶ仲だった。
ところがある日、今野が出勤すると日浅が退職したと、同僚から聞かされた。
日浅との連絡手段は会社支給のPHSしかなく、たいていは会社で会った時に連絡をとりあっていたため、日浅とは連絡がとれなくなった。
今野は日浅に変わる友人を探し求めるようになった。
釣りが好きで、車の運転が得意で、酒も飲みあうことができる付き合いやすい、そんな男性を。
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(その後どうやって再会したのかは小説からは読み取れなかったです)
今野は日浅と再会する。
日浅は株式会社アイシンに再就職していた。
物流課で庫内勤務だった前職とは違い、営業職に就いていた。
成績優秀で表彰されたという。
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その後、川原で釣りをして夜を明かして飲み合おうということになった。
その場で日浅は今野を勧誘してきた。
成績が足りないという。
このままだとクビになるといわれた。
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今野のアパートでは回覧板を回す義務があった。
同じアパートの鈴村さんは、面倒な人だった。
やり方が気に入らないと、ときには怒声をあげた。
今野は”要警戒人物”と思うようになった。
その鈴村さんがアパートの郵便受けに1枚1枚何かを投じているのを見かけた。
それはかつての教え子の娘の投稿が掲載された新聞のコピーだった。
鈴村さんはかつて教師だったことが今でも誇りであり、その教え子の娘が新聞に載ったことは、人に触れ回らずにはいられないほどの悦びであること。
それを直接口でつたえる相手を持たない孤独を感じ身につまされる思いがした。
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今野は東北の大震災後、盛岡は揺れは強かったが、大きな被害が少なかったと、連絡をしてくれた友人や家族に返信をした。
ある日自分の車で勤務からの帰宅途中、同僚の西山さんから声を掛けられ、お茶をすることになった。
そこで
「課長、死んじゃったかも」
と告げられる。
西山さんにとって課長とは日浅のことである。
西山さんは日浅より勧誘を受けていて、自分と夫、長女の分を加入していた。
更にまだ中一の次女まで加入をお願いされたので、さすがに断ったが、お金を貸したという。
30万円も。
西山さんは震災によりお金が必要になって、少しでも返してほしいと思い、今の日浅の会社にまで電話をかけたという。
そこで日浅の「行方不明」を知らされたという。
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今野は思い切って日浅の実家へ行ってみた。
日浅の父親が出てきて家にあげてくれた。
そして思いがけないことを明かした。
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