小栗旬&星野源主演映画『罪の声』涙を誘う感動映画!あらすじ
小栗旬さん、星野源さんのW主演で2020年に公開された社会派ミステリー映画です。
原作は、週刊文春ミステリーベスト10の2016年国内部門で第1位、第7回山田風太郎賞を受賞した塩田武士著『罪の声』です。
内容が複雑なので、映画の冒頭は特に集中して観るとよいでしょう。
最後は怒濤の展開があり、一気に納得します!
涙を誘う感動的な映画です。
映画と小説の違い
小説は犯人を「怪人二十面相」としていますが、映画は「鞍馬天狗」です。
また星野源さん演じる曽根がカセットテープをみつけるきっかけが、小説は
入院中の母親から「アルバムと写真を病院に持ってきて欲しい」と頼まれ、探しているうちに黒い手帳とカセットテープを見つける。
となっているのに対し、映画は
クリスマスツリーの部品の一部が壊れて妻が「買ってこようか」と言ったことに「(家の中に)古いのがあるかもしれない」といって天袋を探していたら、古い缶を見つけ、その中に入っていた。
となっています。
ギン萬事件は前年にヨーロッパで起きた誘拐事件を真似していると言われている。
その事件名は小説は
フレディ・ハイネケン誘拐事件
と実際に起こった事件名ですが
映画は
ベックマン事件
とその名を変えています。
変える必要があったのでしょうか?
その効果はいかに?
あらすじ
京都で紳士服のテーラーを営む曽根俊也(演・星野源)は妻と娘、母の3人暮らし。
クリスマスツリーを飾っていた妻と娘が部品の一部が壊れていたことに気づき、娘が曽根を呼ぶ。
曽根は「(家の中に)古いのかあるかもしれない」と言って天袋を探してみたところ、古い缶を見つけた。
中には亡くなった父親が大事にしていた古いものがいろいろと入っていた。
そこにカセットテープと黒い手帳を見つける。
曽根はカセットテープを再生してみた。
すると、子どもの頃の自分がしゃべっている声が録音されていた。
調べてみると、インターネットの”まとめサイト”で目にした「ギン萬事件」の子どもの声とまったく同じ内容だった!
なぜ父親がこんなものを持っていたのか?
なぜ自分がこんなことをしたのか?
黒革の手帳は英語で書かれていた。父親の筆跡ではない。叔父の物なのか?
自分が犯行に関与していた可能性があると知った曽根はいてもたってもいられなくなり、ひとり調査を始めた。
阿久津(演・小栗旬)は大日新聞大阪本社に勤務する新聞記者。
社会部にいたが自ら希望して文化部に異動。にもかかわらずやりがいを見つけられず惰性で記事を書く日々。
そんな折
新聞社の年度末企画「深淵の住人(仮)」
平成・昭和の未解決事件
ギン萬事件ー35年の真実
の企画が立ち上がり、英語が話せるという理由で阿久津がイギリス出張を命じられた。
ギン萬事件は、その前年に起きたオランダのベックマン事件と似ている。
その取材のためだ。
「30年も前の事件を今さら掘り返してどうする?!」
と不満に思いつつ取材をして歩いた。
ギン萬事件の前年にベックマン事件のことをカギ回っていた男がいたことは確からしい。
また当時つきあっていたと言われる大学教授に会えたが「私はそんな中国人は知らない」と言われ結局成果を出せずに帰国。
犯行に使われた子どもの声は3人いた。
曽根は他の2人と関係しているかもしれない叔父を探すことにした。
犯人グループが打ち合わせをしていたという居酒屋がみつかった。
話を聞きに行くと、始めは知らぬ存ぜぬで歯が立たなかった板前が
曽根が「自分が犯行に使われたテープの声の主だった」と悔やむように懇願すると女将に内緒でおしえてくれた。
居酒屋の2階に確かに集まっていたと。
阿久津もこの居酒屋にたどり着く。
そして阿久津と曽根は出会う。
入院していた曽根の母が念願していた一時帰宅を果たす。
母親が真っ先に向かったのは、あのカセットテープと黒い手帳がしまわれていた天袋だった。
慌てるように天袋から缶を取り出して中を確認する様子をみていた曽根は
「退院したいといっていた目的はそれだったのですね」
と母親に言う。
母親は、自分が犯行テープを幼い曽根に吹き込ませたことを自白した。
その理由は・・・。
キャスト
曽根俊也:星野源
妻:市川実日子
母:梶芽衣子
叔父
達夫:宇崎竜童
大日新聞
記者
阿久津英士:小栗旬
社会部
鳥居:古舘 寛治
出向先社長
水島:松重豊
河村和信:火野正平
須藤みち:正司照枝
生島千代子:篠原ゆき子
生島望:原菜乃華
スタッフ
監督:土井裕泰
脚本:野木亜紀子
音楽:佐藤直紀
原作:塩田武士『罪の声』
公開日
映画
『罪の声』2020年10月30日公開
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小説は
1985年(昭和60年)に起きたグリコ・森永事件をモデルにして創られています。
著者いわく
21歳のとき、私は事件に子どもの声が利用されていることを知った。犯人グループは身代金受け渡しの指示書代わりに、子どもの声が入った録音テープを流したのだ。一説には3人の子どもが関わっているとされるが、私は最年少の未就学児と同世代で、しかも同じ関西に育った可能性が極めて高い。どこかですれ違っているかもしれない……そう思った瞬間、全身に鳥肌が立ち、どうしてもこの子どもたちの物語を書きたくなった。それから『罪の声』を完成させるまで、15年の歳月を要した
と。
私はグリコ・森永事件をよく知らないので、どのあたりが実際にあった事件をモデルにしているのかさえ想像できずにまったくのフィクションとして読みました。
またこの小説を読むまではグリコ・森永事件の事件名は知っていましたが、犯人がつかまっていない、未解決事件だったことを今さらながら知りました。
「三億円事件」はテレビで何度かとりあげていましたので、未解決というのはわかっていましたが、グリコ・森永事件もそうだったのですね。
この小説を読んでことがきっかけでグリコ・森永事件を調べてみましたら、驚くような事件でした。
グリコ・森永事件
・犯人が自らを「かい人21面相」と名乗ったことから「かい人21面相事件」とも呼ばれている。
・最初に江崎グリコ社長を誘拐して身代金(現金10億円と金塊100kg)を要求した→社長は無事に保護された。
・江崎グリコに対して脅迫や放火を起こした。
・その後、丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二家、駿河屋など食品企業を次々と脅迫した。
・犯人らしき人物は目撃されたが逃げられてしまい、犯人が誰なのかわからずじまいとなった。
・青酸ナトリウム入りの菓子をばらまいた。
・脅迫は何度も繰り返されたが犯人逮捕には一度もいたらずじまい。
・犯人側から休戦状が届く。
・失態を苦にした警察幹部が焼身自殺をはかった直後に犯人側から「くいもんの 会社 いびるの もお やめや」と終息宣言が届く。
・事件の捜査員は延べ1,301,000人。捜査対象は125,000人。
このように何度も何度も犯人側との接触があったのに、犯人の割り出しさえできなかった
ということが衝撃的でしたが、これが事実なのですね。
ミステリー小説のように最後は犯人がつかまって、トリックの謎が解明されるということはないのが厳しい現実です。
犯人は恐ろしいくらい頭のキレる人たちなのですね。
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