周防監督『カツベン』題材は古いが逆に目新しい映画!

周防正行の
5年ぶりの最新作『カツベン』。

おもしろかったですね~。
力作でした!

細かい工夫がちりばめられていました。

・簡単なあらすじ
・見どころポイント
・キャスト&スタッフ

などを御紹介します♪

 

あらすじ

子供の頃に活動写真を見た
主人公・染谷俊太郎
活動弁士に憧れる。

やがて青年となった俊太郎は
憧れだった活動弁士として
舞台に立っていた。

しかしそれは
当時人気者だった活動弁士の真似をする
”なりすまし弁士”だった。

それも泥棒一家が盗みを終えるまで
皆を映像に引きつけておくための
役割だった。

しかたなく続けていた俊太郎だったが
あるとき一家が警察に捕まりそうになり
俊太郎だけうまく逃げることができた。

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ある街にたどり着いた俊太郎は
小さな活動小屋”青木館”で働くことに。

そこには小さい頃に憧れた
“山岡秋声”という活動弁士がいた。

しかし今は飲んだくれで
いつも酔いつぶれてばかり。
ガッカリする俊太郎だった。

代わりに“茂木貴之”という
人気スター弁士のおかげで
なんとか小屋は続けていられた。

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この街にはタチバナ館という小屋もあった。
ここは青木屋をつぶそうと
あれこれ仕掛けてくるライバルだった。

“茂木貴之”はタチバナ館に引き抜かれて
近々、移籍するという。

現スター弁士は引き抜きにあい、
元スター弁士は飲んだくれ。
青木屋はつぶれそうだった。

************************************

あるとき“山岡秋声”が酔いつぶれて
舞台に穴が空きそうになった。

すると
俊太郎が自ら弁士をやると言い出した。

「素人が何を言っているんだ」
と反対の中、見事にやりきった。

もともと活動弁士の真似が得意な
”なりすまし弁士”だった俊太郎。

人気もあがり
青木屋の主人も認めてくれた。

これからはモノマネではなく
オリジナルに磨きをかけようと
決意する俊太郎だった。

はたして俊太郎は
一流の活動弁士に成長することは
できるのか?!

 

 

キャスト

俊太郎(成田凌)主人公
梅子(黒島結菜)俊太郎の幼なじみ。女優

山岡秋声(永瀬正敏)かつてのスター弁士
茂木貴之(高良健吾)現スター弁士
内藤四郎(森田甘路)汗かき弁士

青木富夫(竹中直人)青木館主人
青木豊子(渡辺えり)妻
浜本(成河)映像技師
定夫(徳井優)青木館の楽士
金造(田口浩正)青木館の楽士
耕吉(正名僕蔵)青木館の楽士

橘重蔵(小日向文世)タチバナ館の主人
橘琴江(井上真央)ひとり娘
永尾(音尾琢真)泥棒の親分。橘の手下

二川(池松壮亮)映画監督
牧野省三(山本耕史)映画監督

木村(竹野内豊)刑事

梅子の母(酒井美紀)

〈無声映画に出演〉
城田優
草刈民代
シャーロット・ケイト・フォックス
上白石萌音

 

 

見どころ

※井上真央さんの衣装が素敵でした。

あの時代の一番オシャレで上等な服
ということで作られているんでしょうね。
とても似合っていました。

※無声映画はしっかりと観ていないと
誰が誰だか見逃してしまいますのでご注意を。

※実際に何ヶ月も特訓したという
成田凌さんの活弁のウマさ!
稽古したかいがあったのではないでしょうか。

※映写機を回す様子もおもしろいですね。
手で回していたんですね。

※昔の街並み。庶民の様子。
小屋の中などセットの作り込みが素晴らしい。

※映画の発展ってすごいですよね~。
未来の映画ってどうなるんだろう?!
と考えされられました。

 

スタッフ

【監督】周防正行

1956年
東京都目黒区出身

有名になった最初の作品は
『シコふんじゃった。』
樹木希林さんを義母にもつ
元シブがき隊の本木雅弘さん主演。
周防監督オリジナルストーリー。
日本アカデミー賞
最優秀作品賞受賞作品。

『Shall we ダンス?』は
日本アカデミー賞の
最優秀作品賞・最優秀監督賞など
史上最多の13冠を独占

他 代表作
『それでもボクはやっていない』
『舞妓はレディ』

TBSバラエティ番組
『ぴったんこカンカン』にたびたび出演。
興味深い一面を見せてくれています。

驚いたのは、
パソコンのスケジュール帳に
毎日の出来事を行動ごとにイチイチ
書き込んでいたマメさです。

朝起きてから夜寝るまで
奥さんの草刈民代さんの行動まで
記録に残していました。

面倒がらずに出来るという性格が
コツコツと作品を完成させていくことに
つながっているんでしょうかね。

凡人じゃないですね。

『カツベン』も原作小説はなく
オリジナルストーリーです!

【脚本】片島章三

周防監督作品
『終の信託』
『それでもボクはやってない』

三谷監督作品
『清洲会議』
『ステキな金縛り』
『ザ・マジックアワー』
などの助監督として
数々のヒット作に携わっています。

 

上白石萌音さん

周防監督は前作『舞妓はレディ』で
当時新人だった上白石萌音さんを
起用しましたが、
「誰?!」
と思った方は多かったはず。

上白石萌音さんは
『舞妓はレディ』で新人俳優賞を受賞。

その後も映画やドラマのヒットに連続出演。

なかでも大ヒットした『君の名は。』や
『天気の子』に抜擢されるなど
いまや大活躍されています。

上白石萌音さんは
無声映画「金色夜叉」
に登場しています。

 

 

成田凌さん

1993年埼玉県出身26歳
ソニー・ミュージックアーティスツ所属。

182cmの高身長を生かし
モデルとして活躍。数々のショーに出演。

もともと俳優志望だったこともあり
次第に俳優業の比重が増えます。

2017年東京ガールズコレクションにも出演。
美容師免許も持つ。
映画・ドラマともにヒット作に数多く出演。

2019年はとくに当たり年でしたね!

 

 

黒島結菜さん

1997年沖縄県出身22歳
ソニー・ミュージックアーティスツ所属。

NHK大河ドラマ『いだてん』に出演。
気丈で芯のしっかりとした
村田富江役を演じていました。

『カツベン』でも主役のお相手役として
大抜擢ですね!

 

 

音楽

周防義和

劇伴音楽の周防義和さんは
周防監督の従弟です。

1953年東京都出身
作曲家・編曲家

『Shall we ダンス?』
日本アカデミー賞最優秀音楽賞

『舞妓はレディ』
日本アカデミー賞最優秀音楽賞

『それでもボクはやってない』
日本アカデミー賞優秀音楽賞

 

エンディング曲
「カツベン節」
奥田民生
1965年広島県出身

バンド『ユニコーン』のボーカル
作詞作曲担当。
大人気バンドになる。

※『ユニコーン』は全員が曲を作る。
バンド解散後はソロ活動
”PUFFY”のプロデュースなど。

カツベン=活動弁士とは

映画のタイトルにもなった
『カツベン=活動弁士』とは
どういった人のことなのでしょう。

昔は映画のことを
活動写真
と呼んでいました。

そして初期の活動写真は
音声が入っていなく映像だけでしたので

流れている映像を
説明する人がいたほうがよい”

ということになって
映像の説明をしてくれる人をつけました。

それが活動弁士の始まりです。

現代の“ナレーター”にも似ていますが
“ナレーター”はそれほど感情を込めない
場合が多いのに比べて
活動弁士は映像によって
ときには感情たっぷりと表現します。

セリフとト書きの両方をうまく表現したり
わかりやすく解説したりと
腕のある活動弁士は売れっ子になりました。

ときには役者に
ときには解説者になるわけです。

現代は目にすることがほとんどないので
イメージがわきにくいです。

しいていえば
最近人気急上昇中の神田松之丞さん
をイメージしてはどうでしょうか。

神田松之丞さんは講談師なので
映像に合わせながらの芸ではないですし
自分が主役なので
ステージの真ん中で芸を披露します。

一方、活動弁士は舞台にあがり、
ななめに構えて奥のスクリーンと
観客席を交互に見ながら語ります。

やがて映画の技術が発達してくると
映像に音声が入るようになったため
活動弁士は職を失ってしまいます。

しかし現在もサイレント映画の上映があり
活動弁士も存在しているといいます。

その活動弁士に注目して
映画を作った周防監督は
目の付けどころが違いますね!

現代ではなく
活動弁士が盛んだった時代
約100年前にさかのぼる映画は
映像、ストーリーともに
逆に目新しい映画でした!!

 

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