大泉洋主演映画『グッド・バイ』レトロ感がおしゃれで素敵
太宰治作品は毎年のようになんらかの映像になっていてヒットしています。
それだけ物語に魅力があるからでしょう。
またいろんな解釈もできるから表現のしがいがあるのかもしれません。
成島出監督の『グッド・バイ』は大泉洋さんと小池栄子さんのダブル主演です。
配役を知った時、ナイスキャスティング!と嬉しくなりました。
キヌ子の豪放磊落でとびきりの美人という役には小池栄子さんがピッタリ!
もうほかに思い浮かばないくらいです。
おしゃれでモテまくるというより、キヌ子にやられっぱなしのこっけいな役どころと考えると大泉洋さんもピッタリ!
映画感想
ストーリー
前半はほぼ原作どおりでした。
愛人のひとり、青木さんは原作では美容師でしたが、映画では花屋さんになっていました。
田島の妻の疎開先が青森になっていたりと細かいところはアレンジしていましたね。
後半も話はよく練られているし喜劇も入っていておもしろいしお見事でした!
演出
キヌ子役の小池栄子さんは、原作どおりに”ダミ声”で演じていましたね。
”美人さんのダミ声ってこんな感じなのね”
とおもしろく感じました。
占い師扮する戸田恵子さんのメイクは”お笑い”が入っていましたね。
おてもやん的な、笑わせるためのメイクですよね~(笑)。
こんなふうにところどころに”お笑い”要素が入った映画でした。
劇場内も結構笑い声が起こっていました。
粉砕場
青森の恐山という設定のようですが、あたり一面真っ白の粉砕場は、必要だったのかな~という気もしますが、幻想的なシーンにも見え、映画に変化をつけた演出効果はあったように思います。
シーン
映画冒頭の夜の銀座は、見たことのない建物が映っていましたね。
昔の映像を探してきたのか、CGで合成したのか、良い雰囲気でした。
飲み屋街の看板が立ち並ぶシーンもGoodです!
『ルパン』の看板が引き立ちます。
『ルパン』といえば太宰治ですものね。
衣装・髪型・セット
衣装が素敵でした。
とくに女優陣の。
小池栄子さんはスタイル抜群なので、昔のデザインの衣装がとってもお似合い!
髪型も昔っぽいのですが、みなさんお似合いでした。
昔のお洒落なレディはこんな感じなんだろうな~と想像します。
昔っぽいセットも興味深かったですね。
まとめ
太宰治は熱心なファンが多いですが、そういう方々はどのように感じるでしょうかね。
「勝手に後半部分を作り上げるなんて」
と思う人もいるでしょうし
「どんなふうに出来上がっているのか見てみたい」
という人もいるでしょうね。
私はよくできた映画になっていると思いました。
ストーリーもセットもキャストも今時点のベストではないでしょうか。
おもしろかったです!
キャスト
大泉洋
田島
小池栄子
キヌ子
木村多江
田島の妻・静江
濱田岳
編集部員・清川伸彦
松重豊
作家・漆山連行
<愛人たち>
水川あさみ
女医・大櫛加代
橋本愛
挿絵画家・水原ケイ子
緒川たまき
花屋・青木保子
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皆川猿時
田中要次
池谷のぶえ
犬山イヌコ
水澤紳吾
戸田恵子
田島周二
34歳
雑誌「オペリスク」編集長
闇商売で儲けているらしい
大酒飲み
愛人は10人近い
先妻はひとり娘を残して肺炎で他界
後妻の実家は裕福後妻と娘を後妻の実家へ預け
ひとり上京。
闇商売でしこたま、もうけた。闇商売から足を洗い
雑誌の編集に専念しようか・・・。そのために、まず
女たちと上手に別れなければならぬ。
あらすじ(小説)
(途中まで)
文壇のある老大家が亡くなって告別式に参加した
田島周二(大泉洋)は
初老の作家・漆山連行(松重豊)と歩いていた。
漆山
「亡くなった大家は女が好きだったらしいな。お前もそろそろ年貢のおさめどきじゃねえのか」
田島「全部、やめるつもりでいるんです」
しかしどうやって別れたらいいか
自分ひとりでは到底できっこないと途方に暮れる。
すると漆山より提案された一計が。
「すごい美人をお前の女房になってもらい、それを連れて女たち一人ひとりをまわると、皆だまってひきさがる」
とのこと。
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しかし”すごい美人”はどこにいるのやら。
田島は目を皿にして探した。
が、見つからずあきらめかけていたところ、以前闇商売で仕事をしたことがある”かつぎ屋”のキヌ子に出会う。
キヌ子はモンペにゴム長、ドロドロのものを着て、サカナくさくて、ほとんど見た目は乞食のよう。
しかしその恰好を差し引くと、”すんごい美人”だった。
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そこで田島はキヌ子を食事に誘って話をつけようとした。
トンカツ、鶏のコロッケ、マグロの刺身、イカの刺身、支那そば、ウナギ、よせなべ、牛の串カツ、にぎりずしの盛り合わせ、エビサラダ、イチゴミルク。
キヌ子は大食いだった。
そこで条件をつけた
「人前でものを食べないこと。お茶一杯くらいにしてもらいたい。
それと一言もものを言ってくれるな」と。
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手始めに
日本橋のあるデパート内の美容室に二人は出かけ並んで行進した。
おしゃれな田島はここでパーマをかけ
三十歳前後の未亡人・美容師の青木さんと知り合った。
青木さんの寮では田島は公認の中だった。
しかしお店に田島が顔を出すことは滅多にない。
ここに奥さん連れで現れたのだ。
青木さんの目には涙がいっぱい。
田島は青木さんのポケットに札束をすべりこませて
「グッドバイ」
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ひとりめはうまくいった。
しかしキヌ子は遠慮なしに田島の財布から支払わせる。
キヌ子にさんざん無駄遣いをさせられっぱなしでは気が済まない!
「まずあいつを完全に征服し、遠慮深く従順で質素で小食の女に変化させてから
また行進を続行しよう」
と、決意した田島はキヌ子のアパートを探し当て訪ねた。
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ウイスキーとピーナツだけを買っていき、腹が減ったらキヌ子になにかおごらせよう。
もとをとってやる!
キヌ子のアパートのドアを開けた田島はおどろき、立ちすくむ。
乱雑、悪臭。
キヌ子は乞食姿だった。
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