映画『ある女流作家の罪と罰』落ちぶれた女流作家の末路
女流作家リー・イスラエルが2008年に発表した自伝『Can You Ever Forgive Me?』を原作としています。
原題を直訳すると”あなたは私を許すことができますか?”
日本では劇場公開が見送られ、DVDや配信で鑑賞できます。
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主要登場人物
主役・作家
リー・イスラエル
(演:メリッサ・マッカーシー)
相棒・友人
ジャック・ホック
(演:リチャード・E・グラント)
要約
女流作家リー・イスラエルは伝記物の本が2冊、ベストセラーになったが、その後はパッとせず、生活に困っていた。
ふと著名人の手紙をねつ造して売ってみたところ成功したことに味を占め、その頃知合ったジャック・ホックと共に販売するビジネスを繰り返す。
その後指名手配になってしまい、ジャックは逮捕され、司法取引でイスラエルのことも話してしまう。
冒頭あらすじ
女流作家リー・イスラエルは猫と暮らすライター。伝記本が2冊ベストセラーになったが、その後は泣かず飛ばず。勤めていた会社でも禁酒のフロアで酒を飲みながら仕事をし注意されると罵声をあびせ、とうとうクビになる。
家賃は滞り、病気になった猫は動物病院でツケの半分でも支払わない限り診察はできないと言われ、古本屋に本を持ち込むも安値をつけられケンカして出入禁止に。
かつてお世話してもらったエージェンシーの元へ行って今度執筆予定の原稿の前借りをお願いするときっぱりと断られた。
もっと人当たり良く好感度をあげ、清潔な服を着て酒をやめ、言葉遣いを改めない限り面倒は見ない
と条件もつけられた。
うちひしがれながらも家に戻ると、女優・キャサリーヘプバーンの手紙を持っていることを思い出し、店に持込み売ってみた。
すると手紙の内容があたたかくて良いという評価がつき、175ドルで売れた。
また伝記を執筆するための資料閲覧に訪れた図書館の蔵書の中に喜劇女優・ファニーブライスの手紙がはさまれていたのを発見し、こっそり盗んでしまった。
これをまた売りに行くと、手紙の内容が薄いという理由で75ドルという低い値段だった。
手紙の内容が重要だと気づいたイスラエルは、手紙をねつ造することを思いつく。
飲み屋では以前パーティで知合ったジャック・ホックに再会し意気投合。調子に乗っていたイスラエルはジャックに自分が手がけていることを話してしまう。すると「演技には自信がある」と自称するジャックはこの犯罪の片棒をかついで、店に売り込みをかけるようになる。
イスラエルは家賃を払うことが出きるようになり、猫の病院にも通えるようになった。ビジネスは順調かと思われた。
しかし熱烈なコレクターから「手紙の内容がおかしい」と物言いがつき、ニセモノではないかと疑われるようになる。
感想
事実を元にしているということもあり、現実的なストーリーです。
生活困窮のすえ、犯罪に手を染めてしまい、それが一度うまくいくと繰り返してしまうというお話は身につまされます。誰だってありえるかもしれない。最初に痛い目にあっていたら違っていたかもしれない。
リー・イスラエル役を演じたメリッサ・マッカーシーはノーメイクに近く、小太りで脱力感がある売れない作家を作り出し、現実味を増しています。
リチャード・E・グラントは相棒ジャック・ホック役を調子のいいことは言うけれど本心は何考えているかわからないといったふうに演じることにより、信用取引をしてしまうシーンを「やっぱりな」と思わせます。
この二人の演技が映画にリアリティを持たせています。その辺で行なわれていてもおかしくなさそうな犯罪。
ケンカしてしまった二人でしたが、イスラエルがジャックを「良い友人だった」と思い直して仲直りしたところは良かったなと思いました。
「どうなっちゃうんだろう」と引き込まれて最後まで観てしまうといった感じでした。
映画
『ある女流作家の罪と罰』
2018年10月19日
アメリカ公開